フットロッカー、大胆なコスト削減に着手:アルタビューティー出身CEOのもと事業合理化へ

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

フットロッカー(Foot Locker)は、さまざまな変更を進めている。

1月下旬にSEC(米国証券取引委員会)に提出された8-Kフォームで、同社は欧州において、ストアブランド事業のひとつであるサイドステップ(Sidestep)を縮小し、「中核および成長中のストアブランド事業に注力」し、同時に、全社にわたり、企業およびサポートの多くの役割を廃止することを明らかにした。さらに、1月23日付けのWARN通告によれば、同社はウィスコンシン州オシュコシュのコールセンターを4月に閉鎖する。同社は、2023年度以降、年間1800万ドル(約23億2000万円)の削減をめざしているという。

この発表は、同社と、以前アルタビューティー(Ulta Beauty)のCEOを務めていた同社CEOのメアリー・ディロン氏による、抜本的なコスト削減の最新の動きだ。ディロン氏が秋に就任してから、同社は日本への参入を中止し、同社の関連会社イーストベイ(Eastbay)のウェブサイトを廃止して、ウィスコンシン州ウォーソーの配送センターを閉鎖する計画を発表した。また、経営陣の入れ替えも行い、最高商務責任者、最高執行責任者、最高人事責任者、ならびに投資家リレーションと金融プランニングおよび分析担当のシニアバイスプレジデントの役割について新たに任命することを発表した。ディロン氏は、CEOとしてはじめての決算発表において、同社の方針を「商品主導から消費者主導に」切り替えていくことも含め、「事業を簡素化する方法を模索していく」と宣言した。

新CEOによる抜本的改革

フットロッカーは、ほかのフットウェア企業と同様、消費者の支出の減少などいくつもの逆風に直面している。同社は「高価なスニーカーを販売しており、今後のマクロ経済の環境が好ましくないものになれば、その方針によって困難に直面するだろう」と、ウェドブッシュセキュリティ(Wedbush Securities)のシニア普通株調査アナリストを務めるトム・ニキック氏は米モダンリテールに語った。

10月29日までの第3四半期について、同社が報告した純利益は、1年前は1億5800万ドル(約204億円)であったのに対して9600万ドル(約124億円)だった。同社の粗利益率は前年比で270ベーシスポイント減少し、これは主にプロモーション活動の増加と、サプライチェーンの圧力が原因だ。

調整は次々と行われているが、事業の根本的な改革が必要だと、アナリストは米モダンリテールに語った。

「フットロッカーには多くの変更が必要で、ディロン氏はそれらの変更を恐れずに行ってきた。短い期間に多くのことが起きているが、このような大胆な決定を行う人物がいるのは好ましいことだ」と、グローバルデータリテール(GlobalData Retail)のマネージングディレクターを務めるニール・サンダース氏は米モダンリテールに語った。

フットロッカーは「自社の事業と小売業界の情勢の新しい現実に適応しつつある」と、ニキック氏は語る。「これらのすべての変化に共通するのは、事業の合理化という目標だ」。さらにニキック氏は、ディロン氏がアルタビューティーから来たことについて「アルタは単一のストアブランドで事業展開している小売業者だ。そのため、店舗のストアブランドを統合し、事業をより簡素化するという方針を同氏が掲げているのは偶然ではないだろう。筋が通っていると考える」と指摘している。

「変更の機が熟した」

フットロッカーにはナイキ(Nike)との関係もある。過去数年間にわたってナイキは、自社のD2C事業の成長を促すため、卸売業者とのパートナーシップを縮小してきた。フットロッカーは、ナイキの総購入額に占める自社の割合が、2021年の70%、2020年の75%から、2022年には60%に減少するとの見通しを同年2月に示した。

「フットロッカーは、ナイキの商品をこれまでと同じ質で揃えておらず、フットロッカーで買い物をするナイキ愛好家にとってはちょっとした問題となるだろう」と、サンダース氏は述べる。「しかし、フットロッカーは実のところ、的確に商品のバランスを取り戻している。同社はほかのブランドとの提携を大幅に増やしている」。たとえばプーマ(Puma)は11月、フットロッカーとのパートナーシップを拡大し、バスケットシューズや、パウパトロール(Paw Patrol)、ポケモン(Pokémon)といったブランドの「限定商品コレクション」を取り入れた。

全体としてフットロッカーは「変更の機が熟した」と、ニキック氏は述べている。同社が2019年に開催したアナリストデー(Analyst Day)の時点で在籍していた経営幹部はすべて同社を去ったと、同氏は指摘している。「これらの経営陣の多くは、同社に20年、30年、40年も在籍していたが、この5年間に業界には多くの変化があった。そのため、新しい視点を取り入れる必要に迫られていたのだろうと、私は考えている」。

[原文:What’s behind Foot Locker’s ‘bold’ cost-cutting spree]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

Source

タイトルとURLをコピーしました