リーバイス、第1四半期で22%増収:「ワイドレッグデニム」がけん引役に

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リーバイス(Levi’s)は4月6日、第1四半期の決算発表で前年比22%の増収を報告した。これは主に、ワイドレッグシルエットの人気によるものだ。

デニム全体が復調傾向に

調査会社のNPDグループ(The NPD Group)は3月、ストレートレッグのジーンズが2021年の売上額でスキニージーンズを超え、もっとも売れたジーンズとなり、このカテゴリーの3分の1、33億ドル(約4090億円)に達したと発表した。またNPDグループによると、2021年はデニムカテゴリー全体についても2019年と比べて9%増加し、アパレルの平均成長率を上回った。リーバイスでは、第1四半期においてボトムスの売上の約半分をゆったりとしたスタイルが占めた。スキニーデニムからの転換、そしてイベント回帰に伴うクローゼットの入れ替えの必要性は、今後のさらなる成長機会を示唆している。

リーバイスのプレジデント兼CEOのチップ・バーグ氏は、第1四半期決算発表のプレゼンテーション中、同社がルーズデニムのトレンドの「発端となった」と主張した。この主張を明確に立証することは困難だ。ワイドレッグは時代によって流行り廃りを繰り返してきたからだ。そのあいだに70年代にはフレアが、90年代にはバギーが流行した。さらに、ほとんどのデニム小売業者は長年にわたってワイドとスキニーをミックスしたシルエットを販売してきた。

しかし、1853年に有名な「501」のストレートレッグスタイルの販売から操業を開始したリーバイスは、2022年のワイドスタイルに対する需要に対応できる体制を整えていた。リーバイスの501スタイルだけでも、第1四半期に前年同期比50%増となった。

バーグ氏は次のように述べている。「当社は全世界で圧倒的な市場リーダーで、デニムカテゴリー全体の成長を促進することは、当社の責任の大きな部分を占めると自認している。我々のもっとも象徴的なアイテムがこのように急成長しているなら、それはブランドの総合的な強さを示すものだ」。

ワイドレッグはメンズでも人気

ワイドレッグスタイルへの関心を強めている小売業者はリーバイスだけではない。

アパレルブランドのゲス(Guess)のCOOを務めるカルロス・アルベリーニ氏は、先月行われた同社の第4四半期の決算発表において、昨年ゲスノースアメリカ(Guess North America)が販売したデニムの75%がスキニージーンズだったと、投資家に説明した。ただし同氏は、「当社が今後販売する商品のうち、スキニージーンズの占める割合は50%程度になっていくだろう」と述べた。

ギャップ(Gap Inc.)のCEOを務めるソニア・シンガル氏は、3月に行われた同社の第4四半期の決算発表で、「オールドネイビー(Old Navy)の在庫の構成は、顧客の好みの変化に合わせて劇的に変化しつつある」と述べた。これらの顧客は「新しいレッグの形を持つデニム」を買い求めていると、同氏は付け加えた。

ジェーン・ハリ・アンド・アソシエイツ(Jane Hali and Associates)の小売リサーチアナリストであるジェシカ・ラミレス氏は次のように述べている。「リーバイスは明らかに、ワイドレッグのトレンドに大きく関与しているブランドだ。これはアパレル業界全体にとって良いことで、デニムは確実にその恩恵を受けるだろう」。

ラミレス氏は、このトレンドが新しいものではないことは確かだとしているが、NPDグループの調査結果を、ワイドレッグがアーリーアダプターから、よりメインストリームのアパレルへと移行し、販売の機会が広がったという証拠だと述べている。

同氏は次のように述べている。「イノベーターがトレンドを作り、アーリーアダプターが使いはじめ、その後メインストリームや大衆に流行するという正規分布は依然として変わっていない。通常、このメインストリームがビジネスの大部分を占め、そして我々はその方向に向かっている」。

多くの場合、ワイドのスタイルは女性向けデニムに関して語られるが、同氏はこのトレンドが男性向けデニムにも同様に当てはまったと述べている。

リーバイスでは今四半期において、メンズとレディスともに、ボトムス売上の半分をワイドのスタイルが占めており、メンズ用ボトムス全体の売上は前年同期比24%増だった。これは、メンズボトムスでは、「過去10年間で最高の第1四半期の収益」だとバーグ氏は付け加えた。

デニム、そしてリーバイスは、パンデミックの初期、消費者が自宅に留まりスウェットパンツを着るようになったころに、販売が減少した。2020年にリーバイスは1億2700万ドル(約157億円)の損失を計上し、ラッキー(Lucky)やジースター(G-Star)などの同業他社は破産を申し立てた。しかし2021年には、ワイドのスタイルのデニムによって、人々は自宅外のイベントに再び参加するためにドレスアップしながらも、快適なまま過ごせるようになったと考えられる。

ラミレス氏は次のように述べている。「快適性の要素はいまだ存在する。しかし、ファッションへの熱意も強く存在する。人々が街頭に踏み出したときの着こなしは、久々に心躍るようなものになっている」。

値上げの影響

リーバイスにとって、2022年にもまだ逆風はある。特に重要なのはインフレだ。

同社は今四半期に、アイテムの平均販売価格を10%値上げした。同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼CFOを務めるハーミット・シング氏は、収益増加の「半分」が値上げによるものだとしている。一方でバーグ氏は、「今年やそれ以後の収支次第では、当社ポートフォリオの一部でさらに価格を上げる余地は残されている」と付け加えている。

しかしバーグ氏は、「現時点で、値上げに対する反発は見られていない」とも述べている。

ラミレス氏は、人々が再びイベントに参加していくことと、新しいデニムスタイルの人気上昇から、消費者はインフレのさなかでもワードローブの衣服を入れ替え続けるだろうと付け加えている。

同氏は次のように述べている。「販売される商品は、デニムに限らずすべての商品にわたって、消費者が望んでいるものにますます合致してきている。そして、サプライチェーンに問題が発生して在庫が不足している現在、必要な商品を入手するために、支払うべき金額を支払うことになるだろう」。

[原文:Levi’s first-quarter sales growth is driven by wider-leg denim]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Levi’s X Nordstrom

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