書き出し小説大賞 261回秀作発表

デイリーポータルZ

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

書き出し小説の更新は隔週なんですが、あっという間ですね、二週間って。以前までは二週間って10日じゃない?と思うくらいの早さでしたが最近は8日くらいじゃね?と思うようになりました。このペースだと二週間の体感が一週間を切りそうです。

それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!

書き出し自由部門

 

私は教科書に載れなかった。

もろみじょうゆ

引きのある一言目。つづきが聞きたい。

追い風が吹いた。膨らんだウインドブレーカーで足元が見えない。前を向くしかなかった。

おなかまる太郎

貴女を私の「青春」と定めました。付きまといますが、善意です。

正夢の3人目

朝起きてすぐ、いまが何年だったかを確認すると、私はちょっとした時間旅行者。

葱山紫蘇子

今日何度目かもわからないため息は、教室を抜けてグラウンドの掛け声に飲み込まれていく。

早百合

貪るような、ディープキス。目を開けると、君はいなかった。

いちもくれん

何かにつけて瀬戸内ぶる女だった。

いちもくれん

遠浅だと思いがち。

天井のプロペラが光を切り分けていく。

みよおぶ

新聞屋の前の自動販売機は安い。

井沢

いったん広告です

おれの名前は力作。小学五年生。

Y agio

名前と学年だけでなぜこんなにキャラが立つんだろう。

前歯を磨きながら、失恋ソングを唄う。

S.マウンテン

おひるねしてたら、ふたりになってたの。

正夢の3人目

誰がふたりになったのか想像すると面白い。

意見がぴたりと合う人でも、ミュートとブロックしたくなる場合はある。

prefab

坂道に転がったレモンを、その上から転がって来た父が拾い上げ、転がっていった。

タカタカコッタ

加速がついた(笑)

「これはキミの為なんだよ」はだいたい自分の為だし、夢グループの商品はほんとうに良いモノばかりです。

さくさく

ウソ考案代行業者の、狸山と申します。

もろみじょうゆ

?肉を両手で上にあげて鏡を睨む、何してんだ私。

ナックルボール

振り向いた猫は、そのまま鏡の中へ消えていった。

タカタカコッタ

⏩ 書き出し規定部門モチーフ『親切』

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