B-Corp認証 取得のウルフ&バジャーがサステナブルな小売業競争に勝つ方法

DIGIDAY

サステナビリティを重視したマルチブランド小売のウルフ&バジャー(Wolf & Badger)は、店舗におけるブランドアクティベーション、マーケットプレイスモデル、そしてTikTokでの存在感向上に注力し、今年の売上高を1億ドル(約134.3億円)に到達させる方向へと進んでいる。

サステナビリティを重視したマルチブランド小売のウルフ&バジャー(Wolf & Badger)は、店舗におけるブランドアクティベーション、マーケットプレイスモデル、そしてTikTokでの存在感向上に注力し、今年の売上高を1億ドル(約134.3億円)に到達させる方向へと進んでいる。

この独立系ファッションおよび家庭用品小売は、2010年にロンドンのノッティングヒルで創業した。それ以降、前年比売上を伸ばしていき、英国の実店舗とオンライン販売で足場を築いてきた。ウルフ&バジャーはロンドンのキングスクロス地区に1店舗を構え、独立系やニッチなファッションブランド、ジュエリーやホームウェアを扱う英国で人気の小売業者となった。オンラインビジネスも海外の顧客のあいだで人気を博しており、昨年、同社のウェブサイトには、英国および米国市場全体で月平均400万人が訪れている。

ウルフ&バジャーは2017年に米国に進出、ニューヨークに2500平方フィート(約232平方メートル)の店舗を開いた。続く2022年にはLAのメルローズ・アベニューに1600平方フィート(約149平方メートル)の店舗をオープンしている。独立系デザイナーやブランドを支援する小売業者として、同社が優先事項の上位に位置づけているのがサステナビリティだ。サイト上で紹介している15のサステナビリティ基準に従って、取り扱いブランドをランク付けし、顧客との明確なコミュニケーションを可能にしている。ブランドがウルフ&バジャーで取り扱ってもらうには、最低ひとつのバッジを獲得しなくてはならない。そのバッジは、幸せな労働者、ブランドの低影響、職人のクラフトマンシップに対して付与される。ブランドがバッジを受けるには、原材料まで追跡可能な透明性のあるサプライチェーンなど、裏付けとなる証拠を提供する必要がある。

2021年にB-Corp認証を取得したウルフ&バジャーは、多様なブランドを取り込むために、互換性のあるリテールデザインと入手しやすい価格設定に重点を置く。マーケットプレイスモデルを通じて、各ブランドはウルフ&バジャーのマーケティングにおけるプロモーションと、店舗内の一等地に毎月375ドル(約5万円)を支払う。ブランドの売上の97%は現在もオンラインビジネスによるもので、ウルフ&バジャーは2022年後半から黒字を維持している。

以下では、ウルフ&バジャーの共同創業者でクリエイティブディレクターのヘンリー・グラハム氏が、同社のサステナビリティ・バッジの活用やB-Corp取得への道のり、米国への展開や小売業への戦略について語る。

「ブランドから直接得たフィードバックでは、バッジがブランドの仕事をレベルアップし、どのように影響を与えられるかを考える機会や意欲となっていることがわかった。バッジは個々のサステナビリティへの影響を明確でわかりやすい方法で確認できるため、我々のプラットフォームに置くだけでなく、ブランドの自社のウェブサイトや店舗、他の仕入れ先で販売する際にもブランドの役に立っている」。

ーーブランドとくらべて小売業がB-Corp認証の組織になるのは難しいか?

「B-Corp認証を取得するのに2年かかったが、マーケットプレイスにとっては難しい。B-Corp認証を取得したとき、英国のマーケットプレイスで認証を受けていたのは我々だけだった。扱っているものが単一のブランドや自社製品であれば、提供しなければならない回答が少なくて済むので、もっと簡単だ。だが、我々は多くのブランドと取引し、複数の地域で販売しているため、何段階もの複雑な手続きを踏まなくてはならなかった。いま我々がつねに考えているのは、サステナビリティに関する法律だ。当社は消費について考える人々のこうした動きの先駆者でありたいと思っている」。

ーー英国と比較して、米国市場で同社はどのような共感を得ているか?

「ニューヨークへの進出を検討し始めた頃は、米国は当社のビジネスの20%程度だった。この市場に参入するきっかけには、ふたつのことがある。 ひとつは顧客の需要があること、もうひとつは、そのオーディエンスに対応できそうなローカルブランドが米国にあるとわかっていたことだ。現在、当社はニューヨークよりもカリフォルニアでのほうが実際に多く販売している。ニューヨークとカリフォルニアでは商品構成が大きく異なっており、オンラインでは約25万点の商品を扱っている。米国での平均注文は、英国よりも20〜30%高い。我々がリーチしている米国の顧客は価格に対してはあまり敏感ではなく、個性的なデザイナーを求めており、品揃えやトランクショーのイベントが差別化要因になっている」。

ーー店内でどのような体験を提供しているのか教えてほしい。

「ブランドが現実世界で顧客にリーチできるように、我々は(eコマースの)アドオンの機会として店舗を提供している。販売しているブランドからの、こうした店舗におけるプレゼンスを求める要望が多いので、四半期ごとに店舗の商品を変更し、店全体で再利用できるような小売の要素を回転させている。すべてのブランドは追加費用なしで、どの店舗でもポップアップイベントを開催することができ、また我々はほとんど常時イベントを開催している。我々にとってサステナブルな小売業とは、顧客にブランドの背景にある職人的なプロセスやストーリーを身近に感じてもらうことであり、それをTikTokで共有している。顧客には気に入ってもらえている。イベントでは顧客はデザイナー本人に会うことができるし、昔ながらのデパートのトランクショーのような感じだ」。

[原文:How Wolf & Badger is winning the sustainable retailer race]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


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