ナイキ第2四半期、依然として過剰在庫に苦闘:収益の鍵を握る中国市場とD2C販売

DIGIDAY

ナイキ (Nike)は膨れ上がった在庫を少しずつ減らしているが、依然多くの問題を抱える。高い在庫水準は「前年のサプライチェーンの混乱に伴うユニット数の増加と投入コストの増大」によるものだ。第2四半期の収益は、前年同期比17%増の133億ドル(約1兆7700億円)でその大部分はD2Cビジネスの成長によるものだ。

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ナイキ(Nike)は膨れ上がった在庫を少しずつ減らしているが、フットウェアおよびアパレルの大手である同社は依然として多くの問題を抱えている。

同社は、2023年度の第2四半期の決算が予測を上回っていたことを2022年12月20日に発表したが、そこで、前年同期を43%上回る93億ドル(約1兆2400億円)分の商品を保有していることを明らかにした。この数値は、97億ドル(約1兆2900億円)分の在庫を計上した前の四半期からわずかに改善され、前年同期比で44%増となった。同社はプレスリリースで、依然として高い在庫の水準について、「前年のサプライチェーンの混乱に伴うユニット数の増加と、投入コストの増大」によるものだとしている。第2四半期における収益は、前年同期比17%増の133億ドル(約1兆7700億円)で、その大部分はD2Cビジネスの成長によるものだ。

エグゼクティブバイスプレジデントと最高財務責任者を務めるマシュー・フレンド氏は次のように述べている。「ナイキのブランド・ポートフォリオに対する消費者からの需要は、流動的な環境のなかでもビジネスの強い推進力となり続けている。当社は自分たちでコントロールできるものに集中し、運用と財務の目標を着実に達成して、持続可能で収益性の高い成長基盤を確立する見込みだ」。

大幅値下げが利益を圧迫

同社の最新の決算は11月30日までの3カ月を対象としているため、ブラックフライデー(Black Friday)とサイバーマンデー(Cyber Monday)の売上は含まれているが、クリスマスやスーパーサタデー(Super Saturday)の売上は含まれていない。このことは、「ホリデーシーズンは、ほかのほとんどの企業の会計四半期に完全に含まれているのに対し、ナイキにとって2つの四半期に分割されている」ため重要であると、ウェドブッシュセキュリティーズ(Wedbush Securities)の普通株調査担当シニアバイスプレジデントを務めるトム・ニキック氏は米モダンリテールに語った。

全米小売業協会(The National Retail Federation)は、11月と12月のホリデー全体での売上額は、昨年を6%から8%上回ると予測している。

ほかのアパレルやフットウェアのブランドと同様、ナイキも最近になって過剰な在庫を処分するために、販売やプロモーションを強化した。同社は「特に北米において、在庫を清算するための大幅な値下げ」が、粗利益率の300ベーシスポイントの低下を招いたことを認めた。

中国もまた、決算全体において、重要な鍵を握る存在だ。同社は従来から売上を支えるため中国市場に傾倒してきたが、中国はサプライチェーンの問題と、Covid-19の感染件数増加に苦闘してきた。さらに、中国の一部の買い物客は、特にアスレチックウェアやスニーカーについて高価な海外ブランドよりも安価な現地ブランドを選んでいる。ナイキの中華圏での売上額は、2022年11月30日までの期間で合計5億1100万ドル(約680億円)で、前年同期比10%減となった。北米での売上額は逆に、この四半期で15億ドル(約2000億円)に達し、2021年の同時期から21%も増加した。

D2C販売が好材料に

ナイキにとってせめてもの救いとなっているのは、ここ数年力を入れているD2Cビジネスだ。今四半期のD2C売上額は54億ドル(約7180億円)に達した。前の四半期のD2C売上額は51億ドル(約6780億円)だった。同社は卸売パートナーから手を引きはじめている。同社は昨年、DSW、アーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)、オリンピアスポーツ(Olympia Sports)などいくつかの小売業者での自社商品の販売を停止し、D2Cに集中することを発表した。

ナイキにとって最終的には、「商品とイノベーションがビジネスの原動力であり、長期的かつ健全で、持続可能な成長を促進する」と、ニキック氏は述べる。5年前も、同社は過剰な在庫を抱えていたという。そのときは主に、アディダス(Adidas)など他社との競合によるものだったと、同氏は語る。しかし同社はベイパーマックス(Vapor Max)やエアマックス270(Air Max 270)といった新しいスタイルのスニーカーによって形勢の逆転に成功した。「どちらも大ヒット商品だった」と、ニキック氏は説明している。

「同社を落ち込みから救い出したのは、消費者のイマジネーションをかき立てる革新的な新商品を出したこと。それが鍵となった。そのため、2023年はナイキの強力なイノベーションパイプラインに期待することになるだろう」。

[原文:Nike is still battling high inventory as it sees a slowdown in China]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)


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