ショップトークで見えてきた「 AIツール 」についてのブランドの意見

DIGIDAY

この2年間、ファッション・小売業界はメタバースとWeb3に対する憶測であふれて、その多くは誇張に過ぎなかった。ショップトーク2023において、経営陣は、最新の技術ブームであるAI、そして特にオープンAIのChatGPTのような大規模な言語モデルに対して過大な期待を抱かないよう、控えめな態度で対応している。

この2年間、ファッション・小売業界は迫り来るメタバースとWeb3に対する憶測であふれていたが、その多くは誇張に過ぎなかった。ショップトーク(Shoptalk)2023において、経営陣は、最新の技術ブームであるAI、そして特にオープンAI(OpenAI)のChatGPTのような大規模な言語モデルに対して過大な期待を抱かないよう、控えめな態度で対応している。

AIの活用にはユースケースが重要

BMOキャピタルマーケッツ(BMO Capital Markets)のマネージングディレクター、サイモン・シーゲル氏は、AIコンテンツ生成をビジネスモデルに統合するというアイデアには多くの可能性があると考えているが、それはブランドがどのような種類のユースケースを思いつくかに大きく依存すると述べている。

「それはバズワードに過ぎないのか、それともリアルなものになるのだろうか」とシーゲル氏。「我が家の子どもたちが宿題でズルするために使う以外に、実際に使えるようになるのだろうか。iPhone(と付随するモバイルアプリ)で見てきたように、このような技術と並行して必要なイノベーションの層が存在する。ひとつには、それを企業が使いやすいものにする必要があるし、最終的には、消費者にとってすでに可能なものよりもはるかに優れたものを提供できるのかと問いかける必要がある」。

この最後のポイントこそが、メタバースのようなWeb3アプリケーションが大勢から批判されていた点だ。確かにメタバースは興味深いものだが、バーチャルストアを介してアバターを誘導することは、通常のeコマースストアでのショッピングだけではできないことを実際に付け加えているのだろうか。一方、AIはすぐにわかるユースケースをいくつか提供している。たとえば、ヴェリショップ(Verishop)ではChatGPTの機能をテストして、夏の水着などをテーマにしたパーソナライズされたコンテンツに製品レコメンデーションを表示できるようにしている。製品は、レコメンデーションカルーセルに挿入されるのではなく、たとえば、(製品を基にして書かれた)夏におすすめの10製品の記事というような独自のテキストで紹介されている。

コンテンツを迅速にパーソナライズできるChatGPTは、ショップトークにおいてAIテクノロジーのもっとも魅力的な要素のひとつとして取り上げられた。

「我々はオープンAIのアーキテクチャのアプリケーションのいくつかに注目している」と述べているのは、小売企業、リープ(Leap)の共同創業者兼共同CEOであるアミッシュ・トリア氏だ。「効率性と顧客とのさらに緊密な関係の両方を生み出すために、AIをどのように利用できるかを検討しているところだ」。

AIの使用そのものではなく目標達成が重要

アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)のEVP兼最高デジタル・技術責任者であるサミール・デサイ氏は、AIに対して同様の目標指向のアプローチを取っていると述べている。しかし、トリア氏もデサイ氏もAIの特定のユースケースには言及しておらず、両者ともまだ初期のテスト段階にあると語っている。デサイ氏は、アバンクロンビーの業務にAIツールを適合させる方法を見つけようとするのではなく、ファネルトップでの顧客獲得を増やしたり、AIが目標達成に役立つかどうかを確認するなど、同社の目標に注力している。

「我々は、戦略ではなく、成果を求めている」とデサイ氏。「ChatGPTのような新しいツールが出てきたら、目標達成のために使えるかもしれない。それがChatGPTであろうとほかのテクノロジーであろうと、我々が関心を寄せているのは成果なのだ」。

[原文:At Shoptalk, brands were cautiously optimistic about AI

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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