消費者行動 の最新トレンドから予測する2023年のマーケティング

DIGIDAY

ソーシャルメディアにおける消費者行動の相関関係を見ることで、特定の動画の視聴者がどのように買い物をしたりメディアと関わったりするかについて、思いがけないことが明らかになる可能性がある。

先日、動画視聴分析のチューブラーラボ(Tubular Labs)がAIを使用した消費者インサイトツールを拡張し、YouTube、Facebook、Twitter、インスタグラム、Twitch、TikTokの約100万項目にわたるトピックの約110億本の動画について、動画カテゴリーとソーシャルオーディエンスの行動に関する分析を始めた。

スーパーボウル観戦パーティーで食べたものからヘアエクステのハウツー動画まで、さまざまな話題を対象に分析を行った結果、視聴内容と他サイトでの購買行動とのあいだに相関関係があるかもしれないことが示されている。

動画視聴と購買行動の相関関係

このようなデータポイントから、マーケターは自社ビジネスの範疇を超えた先に予算を向けるような施策案を得られる可能性がある。チューブラーラボによると、たとえばフードネットワーク(Food Network)のソーシャルメディアのオーディエンスは、ステートファーム(State Farm)やガイコ(GEICO)などの保険会社のウェブサイトを訪れる可能性が9倍も高い。

最近の調査では、ビューティー動画の視聴者が平均的な視聴者に比べ、AmazonでニンテンドーDSを購入する可能性が5.84倍高いことも判明している。

チューブラーラボのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるクリッシー・ワーナー氏は、「ソーシャルプラットフォーム上の動画コンテンツは急激な伸びを見せている。動画視聴と購買行動との間にどのような相関関係があるのかを掘り起こすことで、先の見えない2023年にソーシャルプラットフォームに投資する根拠を広告主に提供できる」と話す。

チューブラーラボは、ソーシャル動画の現況に関する最新レポートで、2023年の検索、マーケティング、クリエイターエコノミーに関する予測を示している。レポートでは、メタバースやその他の没入型環境といったVRプラットフォームにおけるARの台頭についても取り上げている。

クリエイター主導のコマースソリューション

チューブラーラボの予測では、2023年には経済の牽引者としてクリエイターがより大きな存在感を示すようになる。同社の調査によると、過去1年のインフルエンサーコンテンツの視聴回数は、メディアとブランドのコンテンツの視聴回数を合わせた数字の13.2倍にも上る。チューブラーラボはインフルエンサー市場が拡大を続け、2022年1月の段階では月間5兆回だった全プラットフォームの総再生回数が、2023年には月間10兆回に達すると予想している。

2022年のトレンドであったクリエイターマーケティングによって、多くのエージェンシーがコンテンツクリエイターやソーシャルメディアのインフルエンサーを起用する戦略を再検討している。多くの大手代理店グループでは、コマース戦略を作成する際もクリエイターに目を向ける。

ピュブリシス・コマース(Publicis Commerce)のCOO、エイミー・ランジ氏は、「ショッピング可能なライブストリームや動画コンテンツに、信用できるインフルエンサーと視聴者コミュニティからの熱烈な高評価コメントを合わせれば、説得力と信頼感のあるスポンサード投稿が即座にできる」と話す。

「この青写真を基に、当社では(中略)TikTokやSpotifyなどのパートナーと共にパーソナライゼーションを強化しクローズドループ測定ができる、クリエイター主導のコマースソリューションを構築している」。

テクノロジーとの統合

チューブラーラボは、マーケターがバーチャルな世界やプラットフォームに関する試行を進めるに従って、ARに大きな注目が集まるとも予測している。ソーシャルメディア企業のスナップ(Snap)が、VRコンテンツ用にスペクタクルズ(Spectacles)という独自のARメガネを開発し、本格的に取り組んでいる分野だ。

チューブラーラボによれば、「AR」または「VR」に言及するコンテンツの過去1年の視聴回数は全プラットフォームを合わせると1500万回に上る。前年に比べると38%の増加で、ソーシャルメディアのオーディエンスの関心の高まりが見て取れる。

AI広告企業のアドルディオ(Adludio)のCTO、イアン・リディコート氏は、5Gやロボティクスなどのテクノロジーとの統合が進むにつれて、企業側では「より高速で動きの速いソリューション」を期待でき、消費者側では体験の向上が見られるだろうと話す。

「動画検索」の存在感

動画人気は、検索がソーシャルメディアで行われるようになっていることを示す。これはTikTokを見れば一目瞭然だ。情報を探すときには、文字情報より動画、なのである。チューブラーラボのデータは、マーケターが新しいオーディエンスを探すときにこのことを覚えておくべきことを示唆している。

検索の人気キーワードに関する分析では、たとえばレシピ検索する人がAmazonでグリーンジャイアント(Green Giant)の商品を探す可能性は、204倍高くなることがわかっている。スポーツ動画を見る人は、オーヘイ(OREI)やライアットゲームズ(Riot Games)などのようなブランドに向かう傾向が強い。

ワーナー氏は次のように述べた。「クリエイターエコノミーの重要性が引き続き高まっていくなかで、ブランドやエージェンシーは単純にオーディエンスがどこにいるのかだけではなく、コンテンツが消費者の購入の意思決定にどのように影響するのかについても探る必要がある」。

[原文:What these latest consumer affinity trends tell us about marketing in 2023

Antoinette Siu(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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