「Web3.0やメタバースを活用し、DX推進や社会課題解決を加速」、JEITAが3年ぶりに新年賀詞交歓会を開催 

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会場には、会員企業のトップなど約500人が出席した

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は1月6日、東京・芝公園のザ・プリンス パークタワー東京において、2023年新年賀詞交歓会を開催した。

 JEITAが賀詞交歓会を開催するのは、2020年1月以来、3年ぶりとなった。会場には、会員企業のトップなど約500人が出席し、新年の挨拶とともに、積極的な意見交換が行われた。また、4年目に突入したコロナ禍において、新たな成長に向けた決意を示す経営トップの姿も見られた。

時田会長「デジタルイノベーション市場は3倍以上に拡大する見通し」

JEITAの時田隆仁会長

 JEITAの時田隆仁会長(富士通社長)は、挨拶のなかで、「新型コロナウイルス感染症などにより、企業活動はもとより、協会活動もさまざまな制約を強いられてきたが、JEITAではこれを新しい業界活動のかたちを作る好機と捉えた」と述べた。

 また、「JEITAの会員には、デジタル技術を提供する企業と、デジタル技術を活用する企業の双方が名を連ねている。デジタルトランスフォーメーションの実現には双方の視点と、双方の取り組みが必要である。JEITAは、デジタル産業界をリードするとともに、ときには縁の下の力持ちとなり、会員企業とともに、未来のため、社会の期待に応えていく。JEITAは、事業環境の整備や、新市場の創出を推進することで、会員企業のビジネスに貢献するとともに、デジタル産業および社会、経済の発展に力を尽くし、経済成長と社会課題解決を両立するSociety 5.0の実現に向けて取り組む」と語り、卯年である2023年は、大きな飛躍の年にしたいと述べた。

 さらに、2022年12月にJEITAが発表した「電子情報産業の世界生産見通し」についても触れた。「2023年は、ウクライナ情勢の長期化への懸念など、世界経済の不透明感は残るものの、各国での景気対策やデジタル変革に向けた投資拡大への期待から、電子情報産業の世界生産額は、2年連続で過去最高を更新し、2023年は約3兆5300億ドルになると予測している。さらに、注目分野に関する動向調査では、今後、社会のあらゆる分野での先端テクノロジー活用がより一層進み、Web3.0や量子コンピューティング、メタバースなどで構成される世界のデジタルイノベーション市場は、2030年にはこれまでの3倍以上に拡大する見通しである」とし、「これらのテクノロジーの活用により、デジタルトランスフォーメーションの促進と社会課題解決が加速することを期待している」と、前向きな期待を表した。

中谷経産副大臣「大胆な支援によって投資イノベーションを実現したい」

来賓として挨拶した経済産業省の中谷真一副大臣

 来賓の挨拶として登壇した経済産業省の中谷真一副大臣は、「世界はいま、時代の転換点を迎えている。気候変動、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵略という3つの危機に加えて、日本では少子高齢化、人口減少への対応が求められている。その一方で、変化の兆しも見られている。年間約90兆円の国内投資が行われ、5年後には100兆円の国内投資が計画され、増加傾向にある。バブル期に匹敵する過去最高の水準であり、経済産業省では、企業の投資意欲を後押しするための大胆な政策が必要であると考えている。大胆な支援によって、民間の投資を呼び込み、イノベーションによって生産性を高め、所得を向上させる、投資イノベーションを実現したい」と語った。

 また、半導体産業についても言及。「TSMCとJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)の先端半導体工場の建設をはじめとする複数企業の大規模国内投資が実現した。次世代半導体技術の開発については、LSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)の立ち上げと、Rapidusへの支援を公表した。昨年の補正予算では、先端半導体から部素材をはじめとした半導体サプライチェーンの強靭化のために、1兆3000億円の予算措置を行った。桁が違う措置になっている。2023年は、これまでの取り組みを加速しながら、半導体に関する取り組みの幅を広げ、より具体的に進めていきたい」と述べた。

 さらに、デジタル人材の育成、確保にも言及。「2022年には、九州をはじめ、全国各地に人材育成のためのコンソーシアムを立ち上げた。2022年9月には文部科学省と共同で、デジタル人材育成推進協議会を設立し、産官学一体でデジタル人材育成に取り組んでいる。JEITAにおいても人材育成に向けた体制整備や、CEATECの場を活用した情報発信など、産業界を代表する取り組みを進めてもらっている。デジタル人材は一朝一夕に育てられるものではない。国と地方、産業界、教育界、官民が一体となって着実に取り組みを重ねることが、極めて重要である。自動車を作るのは分かりやすいが、半導体を作るのは分かりにくい。子どもたちにもわかるように説明をしていく必要があり、そうしないと人材が集まらない。半導体産業やデジタル産業の魅力向上が大切である」と語った。

 最後に、中谷副大臣は「2023年は、癸卯(みずのと・う)となる。努力が実を結び、勢いよく成長、飛躍する年になる。世界に向けて、日本が変わりつつあり、また変わっていくという姿を発信できるように、経済活動をしっかりと後押ししたい」と述べた。

沖津筆頭副会長「産業界が一体となり希望を示す年に」

乾杯の音頭をとったJEITAの沖津雅浩筆頭副会長

 乾杯の音頭をとったJEITAの沖津雅浩筆頭副会長(シャープ副社長)は、「これからわれわれの進む方向は、デジタルトランスフォーメーションである。先端テクノロジーが、業種・産業を問わず、社会のあらゆる分野での応用が期待されていることを、日々、肌で感じている。しかし、これを着実に社会実装していくためには、社会における理解の向上はもちろん、ともに推進していく仲間づくりが必要不可欠である。そこで重要な役割を果たすのが、JEITAが主催するCEATECである。2023年も、10月に幕張メッセにおいて大々的に開催する」と発言した。

 「癸卯は、希望とも呼ばれることがある。この3年ぶりの賀詞交歓会を新たな時代へのキックオフの場にして、希望ある未来を築いていきたい。政府、産業界が一体となり、2023年を、希望を示すことができる素晴らしい年にしたい」と、抱負を述べた。

会場には富士通の時田社長、シャープの沖津副社長のほか、NECの遠藤信博特別顧問、三菱電機の漆間啓社長、日立製作所の小島啓二社長、ソニーグループの石塚茂樹副会長などの姿が見られた

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