ロッキード・マーティン、月に通信網を築くため新会社を設立

GIZMODO

月の時代が来そう。

Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が、月周辺での通信とナビゲーションサービスを構築するために子会社を立ち上げました。

同社は先週、Crescent Space Services LLCの設立を発表。新会社は「月でのミッションのためのIaaS(コンピューターやインターネットのインフラを貸し出すサービス)」を提供することになると、プレスリリースには書かれています。月面および月周辺の宇宙船を支援するために独自の衛星ネットワークを月周回軌道上で運用し、地上と月上ミッションとの間の途切れない通信を可能にするそう。

このネットワークは「Parsec」という名称で、Lockheed Martinが製造した小型の通信衛星によるコンステレーション(複数の人工衛星によるシステム)を用います。衛星の第一陣は2025年に打ち上げられる予定。Lockheed Martinは連邦通信委員会(FCC)に前述の衛星だけでなく、ユーザーターミナル230個の月面への打ち上げと運用に関する書類も提出。

その内容からして、同社はこれらのサービスを必要とするような月へのミッションが今後たくさん行なわれると見込んでおり、地球の携帯電話サービスに似た通信・ナビゲーション網を築くようです。

これまでの月面ミッションは、古くはアポロ計画の宇宙飛行士たちがSバンドトランスポンダ(人工衛星などに搭載される通信機器)を使うなど、月の表側(地球を向いている面)から交信していました。しかしこれからのミッションは月の裏側での活動も含まれるため、地球に信号を送り返すのにParsec衛星の支援が必要になるというわけです。

CrescentのCEOを務めるJoe Landon氏は、前述のリリースに「弊社はNASAアルテミス計画の有人月面着陸を含む、今後の月での科学および探査ミッションの波に貢献するにふさわしい企業です」とコメントを寄せています。ちなみに同氏はロッキード・マーティン・スペースのAdvanced Programs Developmentの責任者だった人物。

NASAは現在進行中のアルテミス計画で、月面を再訪する予定です。しかしアポロ計画とは異なり、国際的な月周回有人拠点「ゲートウェイ」の建造に加えて、月面に人類の長期的な駐留拠点も確立したい模様(ゲートウェイは地球‐月面間での通信を確保するため、楕円形のハロー軌道上で運用されるという点も興味深いですね)。

NASAは既にLunaNetという月での通信とナビゲーションサービスを網羅する独自のアーキテクチャを開発中です。しかし、宇宙飛行士たちが月面探査しているときに通信が弱くなったり、落ちたりした際に備えて複数のシステムを連携させる必要性を訴えていました。

民間主導の月へのミッションも増えています。日本のスタートアップispace(アイスペース)のHAKUTO-Rプログラムの月着陸船は4月下旬ごろ月に着陸する予定。月への民間輸送サービスの提供を目指す同着陸船は、官民両方のペイロードを届けることになっています。

月での信頼できる通信サービスという需要を見込んでCrescent社が設立されたということで、月上のインフラ構築に向けての取り組みはますます活発になりそうです。

Source: Lockheed Martin, Federal Communications Commission, NASA,

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