新興企業の「コミュニティ構築」責任者の役割が進化している:顧客体験や研究開発にインパクトをもたらす存在に

DIGIDAY

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新興企業におけるコミュニティマネージャーやカスタマーエンゲージメント・スペシャリストといったコミュニティ構築の役割は、ブランドのソーシャルメディアでのプレゼンスを管理するだけでなく、進化を遂げている。

食品メディアサイトのフード52(Food52)、調味料ブランドのフライバイジン(Fly By Jing)、そしてカスタマイズできる眼鏡やサングラスを扱う企業であるペアアイウェア(Pair Eyewear)の経営幹部は、自社のブランドを成長軌道に乗せるため、コミュニティの役割をどのように調整してきたかについて、米モダンリテールに語った。新興企業は常に、自社ブランドを中心とする強いコミュニティを育成することに強く特化してきた。しかしこれまで、これらのコミュニティの役割は、主にソーシャルメディアの活動と、インフルエンサーとの関係構築を担当してきた。現在、新興企業は、このような役割が顧客体験や研究開発などの分野にどのように貢献できるかを評価している。

マーケティング企業のベラルディウォン(Belardi Wong)のプレジデントであるポリー・ウォン氏は次のように述べている。「コミュニティ構築の責任者の役割は、ブランドに命を吹き込むことだ。彼らの目標は、コンテンツを構築し、ロイヤルティを作り上げ、信頼性を示すことだ」。

コミュニティ構築の責任者の役職はさまざまだが、最終的な目標は1つ、熱心な顧客層を作り上げることだ。「コミュニティ構築」はすぐに新興企業のあいだでバズワードになったが、積極的な顧客層を持つことには、売上の安定や、商品に対するフィードバックやアイデアが得られることなど、確固とした利点がある。コミュニティを構築する役割のひとつとして、たとえばフード52での役割は、コミュニティを大きくするためのパイプ役となることに徹しているのに対して、フライバイジンなどほかの企業はコンテンツの作成を強く重視している。

顧客とブランドを物理的に代表する者

フード52の場合、新しいコミュニティエディターのという役割は、本質的に、同社がさまざまな戦略を熟慮する際に、そのコミュニティを代表することになる。たとえば、この役割は顧客リレーションシップ管理チームと協力して、同社のロイヤルティ活動を改善するためことになるが、Five Two(ファイブトゥー)チームとともに商品の開発も行う。同社はキッチンの必需品をFive Twoブランドで販売しており、顧客からのフィードバックを参考にしている。

ロイヤルティを築き上げ、エンゲージメントを生み出すために、フード52はレシピのコンテストや、バーチャル料理教室を催し、コンテンツへの独占アクセスを提供している。同社は、これらの取り組みは短期的な見返りを期待しているのではなく、エンゲージメントを中心にした長期的な取り組みだと語る。同社のコミュニティエディターの役割は、将来を見据えてコミュニティのためのプログラムを作成し、エンゲージメントの結果を追跡することも担当する。同社は毎月3000万人以上のリーチを持つ。

同社の最高成長責任者を務めるジョイ・ピーボディ氏は次のように述べている。「この特定の役割に就いている人物は、組織内で交わされるすべての会話において、我々のコミュニティを物理的に表現しているかに、多大な注意を払っていると言える。当社は従来から、顧客のための席を必ず残しておくということについて話し合ってきた。当社は実際に、これらの話し合いを行うとき、部屋に代表者を置いていると考えている」。

実際に同社は、会議室にコミュニティのメンバーを置くよう心がけている。この役割に就くための条件のひとつは、同社のコミュニティメンバー、またはほかのオンラインコミュニティのメンバーとして2年以上の経験があることだ。同社はウェブサイトで討議を促進し、コミュニティのメンバーがレシピや商品のアイデアを共有し、質問できるようにしている。

「ブランドの顔」としての役割も

フード52のコミュニティエディターが、数百万人の会員を抱えるアクティブなウェブサイトで、コミュニティ関連の取り組みを活性化することが主な役割なのに対して、フライバイジンのコンテンツ&コミュニティマネージャーは、コンテンツを制作し、象徴的な存在になることが主な役割だ。

フライバイジンのコンテンツ&コミュニティマネージャーは、社内でコンテンツを制作するのが職務で、カメラの前で話し、ブランドの顔になることも役目に含まれる。この役割は同社に以前存在していたコンテンツコミュニティアソシエイトの役職を少し変更したものだ。コンテンツ&コミュニティマネージャーは、ブランドのソーシャルメディアカレンダーの作成と管理、コミュニティのエンゲージメントの管理、トレンドの特定も行っている。

同社のブランド責任者を務めるジャズリン・パトリシオ・アーチャー氏は次のように述べている。「当社がこの役割の担当者を最後に雇用したのは2年半前で、当時のブランドの情勢は大きく異なるものだった。現在はオーガニックコンテンツが非常に重要となっている」。同氏は、オーガニックコンテンツを迅速に制作する方法のひとつが、社内に担当者を置くことだとしている。

コンテンツ&コミュニティマネージャーの役割は範囲が広く、コンテンツの制作にはるかに深く関わっている。フライバイジンはこの役割から、新しい職務を行う余裕を与えるため、インフルエンサーとの連携の管理などいくつかの担当業務を除外した。同社のインフルエンサー関連の活動は、現在はブランドマネージャーによって行われている。「企業の信頼性」の獲得に伴う苦労が大きくなっている現在、ブランドを代表する人物が存在することで、より個人的な方法で顧客と関われるようになると、アーチャー氏は述べる。

同氏は次のように述べている。「コンテンツには付加価値の要素もあるが、主な役割は依然としてコミュニティの構築だ。この人物は、当社と、当社のオーディエンスとを橋渡しする役割を果たす」。

1人より2人

ペアアイウェアでは、コミュニティ構築の担当者が2人いる。同社にはカスタマーエンゲージメント専門家と、ソーシャルメディアマネージャーが存在し、どちらも別のチームを率いている。カスタマーエンゲージメント専門家はカスタマーエクスペリエンスチームとマーケティングチームのあいだに位置し、ソーシャルメディアマネージャーはグロース(成長)面を率いている。

ソーシャルメディアマネージャーは以前から存在していたが、カスタマーエンゲージメント専門家は比較的新しい役割だという。「マーケティング面にも非常に深く関わるようなカスタマーサポートの役職が必要だと知った」と、同社のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるグラント・ゴールドマン氏は語る。「当社はカスタマージャーニーを理解し、さまざまな方法での対話に慣れており、商品を理解している人物を求めている」。

カスタマーエンゲージメント専門家は、顧客との日々の会話に焦点を当て、コンテンツチームと協力して、長編の詳細資料を作成する。この役割に課せられる任務の大部分は、顧客が何を必要としているかを理解し、そして、それをどのように活用して商品に関する対話に反映できるかを理解することだ。

これに対してソーシャルメディアマネージャーは、自社ブランドが顧客へどのように話しかけるかのトーンを設定し、コンテンツカレンダーを作成する役割を担っている。同社にはさまざまな種類の顧客が存在するため、この役割は顧客に応じてブランドのメッセージングを調整する任務があると、ゴールドマン氏は語る。また同社は、ソーシャルメディア管理をグロースのためのツールとみなしているため、この役職は組織図にも配置されている。

財務的なインパクトへの理解

コミュニティ構築の役割を複数の職位に分けることには、いくつかの利点がある。マーケティング企業のベラルディウォンのウォン氏は、この役割が「帽子をいくつもかぶる」、すなわちいくつもの職務を兼ねる傾向があるため、管理とインパクトを生み出すことが困難になる可能性があると述べている。

組織におけるコミュニティの役割は多くの利点を生み出すものの、この役割がビジネスに財務的なインパクトをもたらし続けていることを、ブランドは確認する必要があると、ウォン氏は語る。そうでなければ、これらのコミュニティの役割は、厳しい経済環境のなかで経費を増やすだけに終わる可能性があるという。

さらに、同氏は次のように述べている。「特に現在のD2Cブランドは、事業に定量的な影響を及ぼさない役割を社内に抱え込む余裕はない。最大の課題は、この役割が最終的に企業の収益増加のため役立つようにすることだ」。

[原文: How 3 startups are approaching community-building roles]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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