「アヒルの餌やり」が原因で老夫婦が家を失う事態に、弁護士は「これまでに見た中で最もバカみたいな訴訟」

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近所に住むアヒルに餌やりをしていた老夫婦が、自治会から最大25万ドル(約3400万円)を求める訴訟を起こされました。金銭が用意できない夫婦は、家を売りに出したと報じられています。

Texas couple was sued for up to $250K by their HOA for feeding ducks
https://www.houstonchronicle.com/news/houston-texas/houston/article/A-Cypress-HOA-sued-a-couple-250K-for-feeding-17292935.php

Texas couple who feed ducks should lose their home, HOA’s lawsuit says – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/nation/2022/07/09/hoa-ducks-foreclosure/

2022年6月11日に、テキサス州サイプレスに住むジョージ・ロウ氏と妻のキャスリーン・ロウ氏が、近所に住むアヒルに餌をやったとして地元の自治会であるLakeland Village Community Associationから訴えられました。自治会は、「夫婦がアヒルに餌をやっているのは当該分譲地の一般計画に反しており、差し迫った損害と回復不可能な被害をもたらす」と主張し、近隣の野生動物への餌やりの停止と最大25万ドルの賠償金に加え、裁判費用の支払いを求めています。

賠償金が支払えない場合、自治会は家を差し押さえるとしています。金銭を工面するあてがないロウ夫妻は、差し押さえられる前に自宅を売りに出すことを決めました。


2022年時点で72歳のジョージ・ロウ氏と65歳のキャスリーン・ロウ氏らがこの地域に住み始めたのは、約11年前のことです。当時一人娘を亡くして意気消沈していたキャスリーン氏は、近所のアヒルに餌をあげることを楽しみにするようになったとのこと。しかし、2年ほど前から「アヒルが芝生や歩道にフンをする」「庭をくちばしで荒らす」と近隣住民から苦情が出始めました。

ロウ夫妻の弁護士であるリチャード・ウィーバー氏によると、自治会が家の差し押さえを武器に訴訟を起こすのはよくあることで、同氏はこれまで3000ドル(約41万円)という低額の罰金で家を失うことになった一家も見てきたとのこと。しかし、こうした訴訟の多くは制限に違反した建築物を建てたり、家を不適切な色で塗ったりしたことをとがめるものであって、野生動物に餌をやったことが問題になるケースは見たことがないそうです。

ウィーバー氏は、「私は認定を受けた不動産弁護士ですが、この訴訟は私が見たことがある中で最も愚かな訴訟です」「自治会の規則には、アヒルに餌をやってはいけないというようなことは書かれていませんでした」と話しました。

野鳥保護を目的とした非営利団体・American Bird Conservancyのリチャード・ギボンズ氏は、訴訟に発展するかはともかく、野鳥への餌やりは多くの地域でよく起きている複雑な問題だと話しています。特に、アメリカではイースターのお祭りで買ったアヒルのひな鳥が成長し、手に負えなくなって近所に捨てられることがよくあります。


キャスリーン・ロウ氏も、餌を食べに来るのはこの地域に住むアカハシリュウキュウガモではないので、誰かに捨てられたアヒルの可能性が高いと話しています。

人間に捨てられたアヒルは野生では生きられないため、人間に餌をねだります。アヒルへの餌はパンが主流ですが、パンは栄養に乏しいので翼の変形といった問題を引き起こすとのこと。また、餌がなんであれ地域の問題になることがあることから、ギボンズ氏は「買ったアヒルを捨てたりしないことと、アヒルがいても餌をやらないこと」を推奨しました。

また、近所に住む男性はテキサス州の地元紙・Houston Chronicleの取材に対し、「ロウ一家が訴えられることには賛成していませんが、餌付けが迷惑なことには同意します。アヒルがみんなの庭を荒らしているんです」と話しました。

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