「常にもっとも効率的なチャネルを見つける」: 婦人服 エムエムラフルアー CEOサラ・ラフルアー氏が語る、低迷後の新店舗戦略

DIGIDAY

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2020年、2021年と苦境に立たされた、オフィスで働く女性のためのアパレルブランド「エムエムラフルアー(M.M.LaFleur)」が、再び成長を遂げている。

同社は新店舗とショールームに投資しており、パンデミック中に事業が低迷したあとで売上が再度回復したと語る。

「もう駄目だ、会社が存続できないと思ったことが何回もある」と、創設者でCEOを務めるサラ・ラフルアー氏は語る。同氏は米モダンリテールのポッドキャストに参加し、同社が新たに店舗に力を入れていることや、今後の総合的なマーケティングをどのように位置づけているかについて語った。

エムエムラフルアーは今年で創設10周年を迎える。同社のオンライン事業としての軌跡は、デジタルブランドが直面している力学の変化をうかがわせてくれるものだ。同社は、当時人気だったサブスクリプションモデルを取り入れ、コーディネートを届けるボックスサービスからスタートした。これは、女性を取り込み、毎月さまざまなオプションを試してもらうことを狙いとしていた。サブスクリプションビジネスだけを意図したものではなかったが、同社は何年にもわたってサブスクリプションビジネスとして知られることになった。

この期間、同ブランドは成長するために古いデジタル獲得戦略に頼っていた。「1人当たり16ドル(約2140円)で顧客を獲得していた頃を思い出す。その頃は、ある意味異常だった」と、ラフルアー氏は述べている。

しかしそのあとで、2つの大きな事態が起きた。顧客獲得コストの急騰と、パンデミックの発生だ。2019年からエムエムラフルアーはサブスクリプションビジネスを中止した。また、マーケティング予算の多様化にも取り組んだ。

現在、同社の店舗はもっとも優れた顧客獲得チャネルのひとつになったと、ラフルアー氏は語る。「獲得チャネルを切り替え、店舗を顧客獲得のソースにするべきだと考えた」と、同氏は述べる。

同社は、ショールームと1階の小売店という2種類の小売モデルを採用している。ショールームは、エムエムラフルアーの顧客に親密な環境でショッピングを楽しんでもらえるように行えるように長いあいだ使われてきた。一方、より大きな1階の小売店の形式は、街路を歩く人々の目を引くことを目的にしていた。同社は最近、アッパーイーストサイドに1階の店舗を開設し、アッパーウエストサイドにも別の店舗を開設する準備をしており、年内にさらに2つの同様な店舗の開設を計画している。

ラフルアー氏によれば、これらの店舗は大きな収益をもたらすわけではなく、同社の売上の90%は依然としてオンラインでのものだが、店舗は健全な成長をもたらしている。

「現在どこに労力を注ぎ込んでいるかということで言えば、現在運用している店舗が十分な業績をあげるようにすることを特に重視している」と、同氏は述べる。

対話からいくつかの要点を以下に示す。これらは明瞭化のため多少の編集を加えたものだ。

Covidのあと、再び成長モードへ

「Covidは我々のビジネスにとって非常に困難な障害だった。誰もが、これはブラックスワン・イベント(予測不可能な重大事件)だと語っている。オフィスで仕事をする女性向けの衣服を主に販売している会社に起こり得る、考えられる限り最悪の事態がCovidだった。Covidによってビジネスは破壊的な影響を受けた。ちょっと数字を示すと、2020年は2019年よりも55%も減少した。そして、もう駄目だ、会社が存続できない、と思ったことが何度もある。つま先ほどのわずかな差で会社はどうにか生き延びたが、その数年間は非常に困難な時期だった。そして、幸運にも会社が存続でき、再び成長することができた」。

小売は新規顧客の獲得チャネル

「当社はちょうど創設10周年を迎えたところだ。我々は常に、サブスクリプションボックスを顧客獲得チャネルとみなし、顧客が当社のショールームやeコマースチャネルで自身の買い物をすることになると考えていた。つまり、顧客はこのような道に誘導されることになる。そして、パフォーマンスマーケティングが変化し、サブスクリプションだけではもはや獲得チャネルとして機能しなくなった。そのため、獲得チャネルを切り替え、店舗を顧客の獲得源にするべきだと考えた。実際に店舗はその通り機能している。そして今、ショールームや小売店を、顧客維持のためだけではなく、顧客獲得のチャネルとしても活用している。これは新しい考えではない。小売業者はずっとこの方法をとってきた。しかし、マーケティングにおける秘訣は、マーケティングの予算が5年ごとに変化するという点にある。つまり、常にもっとも効率的なチャネルを見つけることが重要だ」。

エムエムラフルアーが新店舗の場所を見つけるまでの経緯

「VIPの顧客も、我々の店舗で買い物をしてくれるのが理想的だ。しかし、それは、私が店舗を開設する本当の理由ではない。そして同時に、当社のことを知らない市場に参入した場合、それは非常に高価な計画となるだろう。そのため、私はその中間的ものを求めている。店舗を開設するなら、人々が我々のことを何回か聞いたことがあるが、購入の決心はしていないような市場が理想的だ。このような顧客は、最適な時期が来るのを待っている。そのような状況だと、当社の店舗を見て、『よし、今度こそ試してみよう』とか、『店舗があるとは知らなかった、中に入ってよく見てみよう』と顧客にいわせるきっかけが生まれる」。

[原文:‘There were multiple times I thought maybe we won’t make it’: M.M.LaFleur CEO Sarah LaFleur on the womenswear brand’s new store strategy]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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