成長著しい リセール 企業たち、新年度のグロース計画を比較してみた

DIGIDAY

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最新の決算発表によれば、スレッドアップ(ThredUp)やポッシュマーク(Poshmark)などのリセール企業は、この分野が成長し、より多くの企業が参入してくるにつれ、自社を目立たせる方法を模索している。

アパレル再販売の分野は、グローバルデータ(GlobalData)によれば、2021年に90億ドル(約1兆500億円)成長し、合計で432億ドル(約5兆500億円)に達して、今後4年間はリセール以外のアパレル市場と比較して11倍の割合で成長すると予測されている。それに加え、ポッシュマークとスレッドアップはどちらも過去1年間に株式を公開した一方で、カーテシー(Curtsy)リバッグ(Rebag)などほかのオンラインリセール業者は、より多くのキャピタルファンディングを確保している。

同時に、スレッドアップとザ・リアルリアル(The RealReal)が3月に発表した第4四半期の決算発表でそれぞれ35%と67%の売上高増加を報告したように、リセールマーケットプレイスで収益の増加が報告されるなか、競合が立ちはだかりコストが増加している。2021年にエム・エム・ラフルー(M.M.LaFleur)、ダグネドーバー(Dagne Dover)、フィリッパ・コー(Filippa K)、ルルレモン(Lululemon)、ネッタポルテ(Net-a-Porter)、マイテレサ(MyTheresa)などのブランドや小売業者はすべて、自社独自のリセールプラットフォームを開始した。一方で、スレッドアップ、ポッシュマーク、ザ・リアルリアルなど、オンラインリセール分野を最初にはじめた各社は、ほんの数年前には比較的揺籃期だったこの分野において目立つための方法を模索している。

米モダンリテールは、株式を公開しているリセールプラットフォーム各社のエグゼクティブたちの決算発表を要約した。エグゼクティブたちは、サービスとしての再販売、実店舗のストアフロント、および自動化などのコスト削減手法への投資により、この分野で抜きん出るための計画を語った。

サービスとしての再販売

再販売に参入するアパレルブランドが増えるのに対応し、スレッドアップはそれらのブランドと競合するより提携することを考えている。

同社の第4四半期の決算発表で、スレッドアップの共同創設者でCEOを務めるジェイムズ・ラインハルト氏は、同プラットフォームのサービスとしての再販売の提供について語った。同社は、ウォルマート(Walmart)などの小売業者に加えて、メイドウェル(Madewell)、アディダス(Adidas)、マイケルスターズ(Michael Stars)などのブランドとも提携している。スレッドアップは、利益の一部と引き換えに、それらのブランドが自社の中古品用のサブサイトを立ち上げて維持し、それらの在庫を配送するための支援を行う。ラインハルト氏は第4四半期に、スレッドアップが合計28のブランドおよび小売業者と協力していると公開し、これは前四半期の約24よりも増加している。

ラインハルト氏は次のように述べている。「当社は、あらゆるブランドがリセール戦略を持つようになり、スレッドアップは小売業界にエンドツーエンドのリセールソリューションを提供する主要なプロバイダになると、常に確信している。当社は年末までにさらに十数個のブランドのクライアントを追加する見込みで、非常に傑出したブランドや大手のブランドも当社のプラットフォームに移行する予定だ」。

カンター(Kantar)の小売インサイトディレクターを務めるティファニー・ホーガン氏は、この戦略が「市場全体を成長させるための興味深い方法」だと語っている。同氏は「これによってThredUp.comでの直接販売が増えないとしても、マーケットプレイスは成長し、結局は同社のビジネスも間接的に成長するだろう」と付け加えている。

サービスとしての再販売のモデルは、スレッドアップだけのものではない。アーカイブ(Archive)やトローブ(Trove)などの競合他社も最近、ザ・ノース・フェイス(The North Face)やルルレモン(Lululemon)などの著名な新しいクライアントを加え、自社の同様なサービスモデルについてVCファンディングを受け取っている。しかし、スレッドアップのように個別の販売者とも協力している会社にとって、このモデルは新しい収益のストリームと、ブランド侵害に対する保護を与えるものだ。

ラインハルト氏は、サービスとしての再販売は短期的には「供給の利点」を持つプラットフォームを支援し、「セルスルー」や「総資産利益率」を引き上げると述べている。より長期的には、このモデルにより「繰り返し発生する利ざやの高い収益ストリームを生み出し」、プラットフォームを収益性に近づけると同氏は考えている。

オンラインからオフラインへの移行

実店舗でのアパレル再販売は新しいものではない。グッドウィル(Goodwill)、アークスリフト(Arc Thrift)、および地元の中古品特売店は何十年も、あるいは何百年も前から存在していた。しかし、アパレルリセール業者はパンデミックによるオンライン再販売のブーム以後の成長を目指すため、新しいオフラインのストアフロントを立ち上げようとしている。

ラグジュアリーファッション小売業者のリアルバッグ(Realbag)でCEOを務めるチャールズ・ゴーラ氏は、実店舗により「新たな顧客」を引き入れ、平均注文価格を引き上げることができると、米モダンリテールに以前語った。2月後半に行われたザ・リアルリアルの第4四半期の決算発表で、同社の創設者でCEOを務めるジュリー・ウェインライト氏も、同プラットフォームの19の実店舗は「新しいトラフィックを促進し」、「平均販売価格」を引き上げるため役立ったと述べている。

ウェインライト氏は、同社の決算発表で次のように述べている。「当社には、開設から1年未満の店舗が9つある。当社の新しい荷主の30%は、依然として当社の小売拠点からのものだ。地域的なハロー効果が続いていることがわかる」。

特にラグジュアリーのリセール業者では、多くの店舗はロサンゼルスやニューヨークのような高コストの都市において、高価格の商品を販売するブティックとして機能する。実際に、リバッグはもっとも高額な商品を自社のリセールブティックのひとつで販売し、ザ・リアルリアルのもっとも新しい店舗はカリフォルニア郊外の高級住宅街にあたるブレントウードに開設された。

しかし、スレッドアップのように価格帯が多様なプラットフォームや、ポッシュマークのようなピアツーピアモデルのプラットフォームでは、店舗はそれほど有用ではない可能性がある。

ホーガン氏は次のように述べている。「特定の場所で店舗を運営するために十分な在庫があることを保証するのは、オンラインで1日に受領する在庫が比較的少ない、または不明なレベルの場合と比べて、やや複雑なものとなる。しかし、リセールにおいてデジタルだけでなく、物理的な店舗も運営する方法を見つけ出すのは、誰にとっても利益になると考えている」。

業界全体での自動化

これらの企業は、コストを削減する方法も模索している。リセール会社の運営は、商品の獲得、保管、リストへの掲載、再販売のコストを、商品の購入手数料の一部のみでまかなう必要があるため、高くつく可能性がある。さらに、これらの会社が新興企業という枠を超えて成長するにつれ、顧客の獲得にかかるコストがより高くなり得る。

ポッシュマークは6四半期にわたって利益を生み出し続けてきており、第4四半期の業績はまだ報告していないが、ザ・リアルリアルとスレッドアップはまだ利益を出していない。ザ・リアルリアルの第4四半期の純損失は5200万ドル(約60億8000万円)で、2020年の5100万ドル(約59億7000万円)より増加している。スレッドアップの純損失は、2020年の1700万ドル(約19億9000万円)から1790万ドル(約20億9000万円)に増加した。対策として、これらの小売業者は将来の損失を食い止めるため、自動化のソフトウェアやテクノロジーに投資している。

スレッドアップは今四半期に、より迅速なクリーニングと商品のリスト記載の能力によって米国とEUの業務を支援するため、テキサスとブルガリアにある自動化された倉庫保管と配送の施設に投資した。

ラインハルト氏は次のように述べている。「当社のフラグシップである、ダラスのすぐ南にある配送センターは、今年後半に稼働を開始する。この施設は60万平方フィート(約5万5700平方メートル)近い面積を持ち、当社で最大の、もっとも自動化された配送センターとなる。100%稼働となったときには、当社の4階建ての施設により、当社の合計ネットワークライブ容量が150%以上増加すると期待している」。

これに対してザ・リアルリアルは、アルゴリズムのアップグレードによる価格設定の自動化と、配送センターでの自動化されたワークフローへの投資に重点を置いている。

ウェインライト氏は次のように述べている。「具体的には、当社の認証センターにおいて、当社独自のダイヤモンド測定機器や、機械学習とAIアルゴリズムなどの革新的なテクノロジーにより、運用の効率化を推進してきた。さらに、当社は価格設定アルゴリズムの洗練によって、平均販売価格の増加を促進し続けていく」。

[原文:How resale players are charting new paths for growth in 2022]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)
Image from ThredUp

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