カナダグース はインフレと消費減退にどのように対応しているか?:挽回を図る2つの施策

DIGIDAY

多くのブランドと同様に、カナダグース(Canada Goose)もまたインフレと米国の厳しい経済状況による圧力に直面している。2月2日に発表された第3四半期の収益は前年同期比で約2%減少し、CEOのダニ・リース氏はこれを米国での「需要の軟化」のためとしている。

同社の小売売上は減少し続けており、同様に工場の生産量も落ちている。カナダグースは、米国の経済状況が悪化するにつれて、中国が同社の収益にとって救いになることを期待していたが、12月に始まったCovid-19による混乱で、中国も難しい市場になっている。全体では、北米が2500万ドル(約33億円)、中国が6000万ドル(約79億円)の減収となった。

「あるレベルの混乱は予想していた」とリース氏は述べた。「予想外だったのは、12月上旬に(中国が)突然再開したことだ。そのため感染が急増し、いつもならもっとも生産性の高い取引月なのだが、当社のビジネスに大きな影響を及ぼした。消費者のトラフィックが劇的に減少し、病気のためにスタッフのレベルでも影響を受けた」。

在庫管理と新たな再販プログラムで挽回を図る

カナダグースのエグゼクティブバイスプレジデントでCFOのジョナサン・シンクレア氏は、よりスマートな在庫管理がブランドの回復に一役買うだろうと述べた。中国の22店舗に商品を届けるには「相応の時間」がかかるため、必要以上の在庫を送ったという。全体では、前四半期の3億6800万ドル(約484億円)に対し、4億8200万ドル(約635億円)の在庫を抱えることになった。

「1年のこの時点で予想したよりも、いささか多くの在庫を抱えており、おそらく望ましい量よりもやや過剰となっている」とシンクレア氏は決算説明会で述べた。

カナダグースは、海外チャネルに出荷する在庫の量を減らし、すでに現地に到着している在庫の販売に注力する予定だ。海外市場に出荷する在庫は、そのほとんどが通年の主力商品となるだろう。さらに同社は、数は非公開だが、生産量を削減する可能性がある。同社はカナダに自社工場を持っており、ほかの多くのブランドよりも細やかな生産量のコントロールが可能だ。

またカナダグースは、個人消費が落ち込んでいるいま、1月31日に開始した新プログラムが、顧客獲得が困難になっている時期に新規顧客を獲得し、収益を上げることを期待している。リセール企業トローヴ(Trove)とともに立ち上げたカナダグース・ジェネレーションズ(Canada Goose Generations)は、同ブランド初の再販プログラムだ。

カナダグースのプレジデントであるキャリー・ベイカー氏はGlossyに対し、ジェネレーションズはより手頃な価格でブランドを購入できる選択肢を提供することで、新規顧客の獲得と既存顧客の生涯価値の向上の両方を目的としていると語った。ジェネレーションズはまず米国でローンチされたが、ベイカー氏は米国市場はブランドの「主要市場のひとつであり、大きな成長機会がある」と述べている。

2022年、カナダグースの米国での売上は3億ドル(約395億円)以上で、最大の市場であるアジアの3億2800万ドル(約432億円)をわずかに下回っている。

「当社の製品の中古市場が堅調で、成長していることは知っている」とベイカー氏は言う。「当社の調査では、米国における『中古のカナダグース』のオンライン検索が前年比50%増だった。消費者はそれを求めており、本物であることを望んでいる」。

再販で新しいオーディエンスを取り込む

リセールの開始は、未開拓の大きな市場であるため、カナダグースにとって今期の主な優先事項であったという。ジェネレーションズの価格は、小売価格より大幅に安い。たとえば、カナダグースのシェルバーン(Shelburne)コートの新品は1500ドル(約19万8000円)だが、現在ジェネレーションズでは795ドル(約9万8000円)である。ジェネレーションズは、オーガニックに発見されるようカナダグースの米国のオンラインショップで目立つように表示されている。また、カナダグースが現在行っているサステナビリティ・マーケティングキャンペーン、ネクストジェン(Next Gen)の一環として、チーフプロダクトオフィサーであるウッディ・ブラックフォード氏を起用したソーシャル広告でも宣伝されている。

「ブランドのお墨付きの再販のローンチは、カナダグースのエコシステムに新しいオーディエンスを取り込むための賢い動きだ」と話すのは、小売コンサルタント会社スケーリングリテール(Scaling Retail)のCEO、シャマ・ミーガー氏だ。「本物であるかどうかの認証が再販市場では問題になっており、ブランドがお墨付きを与えるというソリューションは信頼性を与える。さらに、これらの新しいオーディエンスを理解することで、カナダグースはそのデータを新しい製品やブランド体験に反映させることができるかもしれない」。

[原文:How Canada Goose is responding to inflation, lowered spending]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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