1日16時間週7日にわたり自身の活動を他人に監視させることで生産性を3倍に高めることに成功

GIGAZINE
2023年02月06日 21時00分
メモ



Metaでソフトウェアエンジニアとして働くシモン・ベレンス氏が、「アシスタントを雇って1日16時間にわたって自身の活動を監視してもらう生活を1カ月続けたところ、生産性が3倍に向上した」と報告しています。

I Hired 5 People to Sit Behind Me and Make Me Productive for a Month — Simon Berens
https://simonberens.me/blog/i-hired-5-people

ベレンス氏はこれまでさまざまな方法で生産性を上げるための試みを行ってきました。独自ツールを開発するなどもしてきたそうですが、それでも生産性は20%ほどしか上げることができなかったとのこと。さまざまな取り組みを行ってきたため、「もはや自分の努力なしで生産性を向上させたいと思っていた」とベレンス氏は語っています。そこで、ベレンス氏は自身の後ろに座って作業を監視するアシスタントを雇い、自身を監視させることで「昼寝したりウェブサーフィンしたりする無駄な時間を減らす」効果を期待しました。

雇用したアシスタントは、シフト制でベレンス氏の活動を1日16時間週7日にわたり監視しています。ベレンス氏の作業環境は以下の通りで、デスクの後ろに用意された机で常に1人のアシスタントがベレンス氏の活動を監視しました。


アシスタントに自身の作業を監視させる実験の初日、ベレンス氏が最初に感じたのは「仕事場とトイレが近くにあるためトイレに行くのが少し不快に感じた」という感想だったそうです。それを除けば初日は間違いなく成功だったそうで、アシスタントには食事の準備なども頼んだとのこと。しかし、シフト初日にベレンス氏がデートに出かけたところ仕事場兼自宅で待機するよう依頼していたアシスタントが帰ってしまうという事件も発生したそうです。他にも、ベレンス氏の監視を担当しているアシスタントがひっそりとポルノを見ていたことが明らかになるなど、さまざまなアクシデントが発生した模様。

ベレンス氏は実験中は活動が生産的になった実感はなかったものの、振り返ってみると以前は丸1週間かかっていたタスクが1日で完了しているなど、生産性の向上を実感できる成果があったと語っています。

また、ベレンス氏は自身の活動を監視するアシスタントを募集する際に、「雑用を行ってもらうことがある」と明記していたそうですが、料理などの雑用を実際にアシスタントに頼むのは「やはり申し訳なかった」と語っています。しかし、アシスタントが用意してくれた料理は自身で作るものよりもはるかに質が高かったため、「食事の満足度が上がり、生産性の向上につながった可能性がある」とベレンス氏は語りました。

さらに、アシスタントに自身の活動を監視させることの大きな利点として、ベレンス氏は「生産性につながらない悪いウェブサイトにアクセスすることを防ぐ役に立ち、タスクからタスクへの移行が迅速に行えるようになりました。いつもならタスクからタスクへの移行時に休憩を取ったりダラダラしたりしています。しかし、部屋にアシスタントがいるとすぐにタスクを開始するか、少なくとも新しいタスクを意識的に探すようになりました」と述べました。

ベレンス氏は自身のタスクを客観的に測定するために、PC上で何にどれだけ時間を割いたかを監視するオープンソースツールの「ActivityWatch」を利用して、自身の活動がどのくらい生産的になったかを測定しています。なお、ActivityWatchはPC上での作業を計測することができるため、ソーシャルメディアやブログ、サイドプロジェクトなどに費やした時間を計測することができるものの、ヨガやジムへ行った時間などは計測できないため、これらは手動で記録したそうです。

そして、計測データをベースに1週間の活動時間を「生産的(Productive:青線)」と「非生産的(Unproductive:赤線)」に分類しました。なお、実験が終了したのが10月30日なので、30日以降はアシスタントによる監視なしということになります。10月30日以前は生産的な活動時間が非生産的な活動時間を上回っていたのですが、監視の目がなくなってからは非生産的な活動時間が生産的な活動時間を上回るようになりました。なお、ベレンス氏は11月5日から6日間のハッカソンに参加したそうで、「徹夜でハッカソンに参加していたにもかかわらず生産的な活動(コードを記述している時間)は1日わずか9時間程度でした」と記しています。


同じく運動に費やした時間が以下のグラフ。監視の目がある間は1週間あたりジムには2~6時間、ヨガには4~7時間取り組んでいますが、監視の目がなくなってからは明らかにジム・ヨガに費やす時間が減少しているのがわかります。


さらに、実験中(During)と実験後(After)の1週間あたりの生産的な活動時間(Adj. Productive)と非生産的な活動時間(Adj. Unproductive)を比較したのが以下の数値。なお、前述の通りベレンス氏は11月5日から約1週間にわたりハッカソンに参加していたため、この間のデータは以下の数値比較には使用されていません。監視の目により生産的な活動時間は約2.8倍に増加しています。


ベレンス氏は実験中に行った読書・ダンス・スポーツに費やした時間は計測していないため、「実質、実験により私の生産性は3倍以上に向上したと言っても過言ではありません」と記しました。

実験中、ベレンス氏は常に監視の目にさらされることとなったため1日の終わりには少しイライラを感じることもあったそうです。これは疲労回復のルーティンが不足しているためだと感じていたそうですが、実験中と実験後の睡眠時間をアクティビティトラッカーのFitbitと、睡眠測定ツールのEight Sleepを使って計測したところ、睡眠時間にはほとんど変化がなかったことがわかります。


なお、1日16時間、1カ月にわたり自身を監視してもらうためにベレンス氏は1万ドル(約130万円)の予算を用意していたそうですが、アシスタントが逃げたり用事があり監視業務の必要がないタイミングなどがあったりしたことで、最終的にアシスタントの雇用にかかった費用は5000ドル(約66万円)程度だったと明かしています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました