ジョブズ亡きAppleを10年以上支え続けているティム・クックCEOの哲学とは?

GIGAZINE
2023年04月09日 17時00分
メモ


by Budiey

2011年にジョブズ氏が亡くなってからAppleを背負ってきたのがティム・クックCEOであり、Appleを2兆ドル(約260兆円)以上の価値を持つ企業にまで育て上げたのもクックCEOです。しかし、生前から人生や企業哲学が多く語られたジョブズ氏と異なり、クックCEOの経歴はそこまで知られていません。そんなクックCEOについて、海外メディアのGQがまとめています。

Tim Cook on Shaping the Future of Apple | GQ
https://www.gq.com/story/tim-cook-global-creativity-awards-cover-2023


SpaceXのイーロン・マスクCEOやMetaのマーク・ザッカーバーグCEOなど、ビッグテックのCEOは経営者である以前に技術者である側面も持っているケースが多く、根幹技術の立ち上げに大きく関わっていることがよくあります。しかし、クックCEOはそうではありません。

クックCEOは1960年にアメリカのアラバマ州モービル市で、造船所工員の次男として生まれました。オーバーン大学で産業工学を、デューク大学で経営学を学びMBAを取得したクックCEOはIBMで12年勤めます。その後、中古コンピューターを取り扱うIntelligent ElectronicsのCEOを務めたあと、PC企業のCompaqの企業資料担当ヴァイスプレジデントとなり、1998年にAppleに入社しました。

クックCEOが入社した頃のAppleは経営不振で倒産寸前でした。クックCEOは、当時追放されてから再びAppleに戻ってきたばかりのジョブズ氏から初めて面接された時について、「クリエイティブな天才と話をしていたら、気がつくとこの人の下で働きたいと思うようになりました。これまで会ってきたCEOは、実際に働いている人たちや会社の製品から切り離され、孤立していました。しかし、ジョブズ氏は自社の製品についてとても生き生きと語っていました。ジョブズ氏は、シリコンバレーの魔法のようなものではなく、本当に世界を変えたいと思っていました。そんなCEOを見たのは初めてでした」と述べています。

by Dan Farber

そんなクックCEOがAppleで高く評価されたきっかけは入社2年後のことで、Appleの物流を見直し、iMacの在庫を1カ月分から2日分に減らしたことだそうです。クックCEOはジョブズ氏からCEOの座を引き継ぐまでの13年間にわたり、サプライチェーンと工場管理の詳細、材料調達、システムまですべてにおいて効率を突き詰めるオペレーション部門で働いていました。こうした手腕を評価され、晩年のジョブズ氏はクック氏に全幅の信頼を置き、病気で休暇を取った際には全てをクックCEOに任せたそうです。

クックCEOはジョブズ氏と自分を比較する質問をぶつけられた時、「自分がジョブズ氏になれないことは分かっていました。ジョブズ氏になれる人はいないと思いますし、彼はどう考えても百年に一度の独創的な人物だったでしょう。だから、私は自分自身を最高のバージョンに仕上げなければなりませんでした」と答えたとのこと。

by Dan Farber

クックCEOは「ジョブズ氏は、社内の特定のグループからイノベーションやクリエイティビティが生まれることは期待していませんでした。社内のあらゆる場所でそれを期待していたのです。私がオペレーションを担当していた時は、他の場所でクリエイティブであるのと同じように、オペレーションでも革新的でクリエイティブであろうとしました。Appleの製品を作るためには、基本的にそうあるべきなのです」と述べています。

また、クックCEOは「私たちは歴史をあまり振り返らないのです。常に未来に焦点を当てて、ある種の過去に縛られることなく、大きな夢やアイデアを持てるスタートラインにいるようなものだと思っています」と語っています。また、ジョブズ氏と違って技術開発畑出身ではない自身について、「自分の経歴からして、批判されることには慣れていますし、攻撃されることにも慣れています」とも語りました。

by FORTUNE Global Forum

Appleの環境・製作・社会イニシアチブ担当ヴァイスプレジデントであるリサ・ジャクソン氏は「クックCEOは政治家にありがちなタイプではなく、ダマされやすい人です。彼は声が大きい訳ではありませんし、部屋の中の酸素をすべて吸い取ろうとはしません。しかし、彼のリーダーシップを疑う余地はありません」とコメント。GQは「クックCEOはAppleの事業を再構築し、ジョブズ氏の時代よりもさらに恐ろしいほどの巨大企業に成長させたにもかかわらず、自身のクリエイティブな功績を語ることに消極的です」と評価しています。

一方で、クックCEOはテクノロジーに対して一定の懐疑心を抱いているとのこと。クックCEOはiOSでスクリーンタイムによる使用状況レポートを導入した際に、「私は自身の哲学として、もし誰かの目よりも携帯電話を見ているのであれば、それは間違っていると思っています。だからスクリーンタイムのようなものを導入しました」と述べており、「私たちは人々ができなかったことをできるようにする、あるいはできなかったものを作れるようにする、学べなかったものを学習できるようにするテクノロジーを開発しています。それこそが私たちの原動力なのです。私たちは人々にiPhoneを使いすぎてほしくはありません。私たちはiPhoneの使いすぎにインセンティブを持っていませんし、望んでいません。そうならないように私たちはツールを提供しているのです」とコメントしています。

by iphonedigital

GQは他にもクックCEOのさまざまな考えや評価を紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。

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