北欧のファッションブランド、ロテート(Rotate)とリメイン(Remain)は1月16日、イフランド(Ifland)との独占コラボレーションをリリースした。イフランドは、韓国最大のモバイルプロバイダーであるSKテレコム(SK Telecom)が2021年7月にローンチしたメタバースプラットフォームで、1280万人のユーザーがいる。
姉妹ブランドであるロテートとリメインは、150年の歴史あるブランド、バーガークリステンセン(Birger Christensen)のスピンオフであり、ブランドアウェアネスのためにメタバースを活用する。イフランドは2022年11月に欧州市場を含む49カ国に拡大しており、現在、韓国のメタバースプラットフォームとしてはゼペット(Zepeto)に次いで2番目に大きく、アプリはiPhoneのApp StoreやGoogle Playで入手可能だ。今回のコラボレーションは、このプラットフォームのために限定制作されたワンピース、トップス、ボトムスなど20種類の無料のデジタルファッションアイテムから成り、今後1年でさらなるスタイルをリリースする。ロテートとリメインは、イフランドでは韓国以外の国として初のファッションパートナーである。
Advertisement
ロテートとリメインを所有するバーガークリステンセンコレクティブのCEO、デニス・クリステンセン氏は次のように語る。「今回のコラボレーションは2022年のソウルへの旅行がきっかけとなった。その旅は、サステナビリティに焦点を当てたデンマークのライフスタイル&デザインクラスター(Lifestyle & Design Cluster)が企画したもので、目的は、デンマークのライフスタイル産業をデジタル化し、さらなる循環型経済へと転換させることだった」。
デンマーク初のメタバースにおけるファッションブランド
デンマークのファッションブランドは、デジタルファッションに飛びつくのが遅かった。だがドレスX(Dress X)やデマテリアライズド(The Dematerialised)のようなヨーロッパのデジタルファッション小売業者の多くがこの分野の世界的リーダーであり、デンマークのブランドのサステナビリティの目標を共有している。ドレスXは、スナップ(Snap)を除けば、ブランドによるARファッション最大のプラットフォームとなっており、ダンダス(Dundas)のコレクションをローンチしている。一方、デマテリアライズドは、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)やロテート(Rotate)といったハイエンドなファッションブランドと協働し、商品のローンチを行っている。
2022年11月、コペンハーゲンファッションウィーク(Copenhagen Fashion Week)の一環として、ロテートは、同社のテレサ(Theresa)のドレスに炎のアニメーションをフィーチャーしたフィジタルNFTでデマテリアライズドと提携した。また、キャットウォーク後にARでそのアイテムを試着するオプションをユーザーに与えている。「この限定版フィジタルNFTは数分のうちに800ユーロ(約11万円)で販売され、実際の衣料品に置き換わることになるとまでは言わないにしても、デジタルファッションが有効な収益源になり得ることを示唆した」とクリステンセン氏は述べている。
また彼女は次のようにも付け加えている。「SKテレコムとのパートナーシップは、バーガークリステンセンというブランドにとって、メタバースにおけるデンマーク初のファッションリーダーとなり、ウェブ3領域でのコミュニケーションを世界的に強化するための独特な機会である」。
ロテートは世界40カ国以上で販売されており、ネッタポルテ(Net-a-Porter)、セルフリッジズ(Selfridges)、ブラウンズファッション(Browns Fashion)、マイテレサ(MyTheresa)などの小売店で取り扱われている。リメインは、エッセンス(Ssense)、ブラウンズ、ネッタポルテ、セルフリッジズを含む35カ国の120店舗以上で販売されている。
メタバースエコシステムの構築に注力する韓国
世界的なデジタルプレゼンスのあるイフランドによって、ロテートは店舗を開くよりも大幅に低いコストで、新しい市場におけるブランドの需要を試すことができるようになる。同社は、メタバースのアクティベーションへの投資額については言及を避けた。韓国の行政機関である科学技術情報通信部は、韓国のメタバース・エコシステム構築に少なくとも1億8600万ドル(約257.7億円)を費やす計画だと述べている。またソウル特別市庁は2023年までにメタバース・ソウルを構築したいと考えていた。
SKテレコムの2022年第3四半期決算で、SKテレコムのサブスクリプションおよびマーケティング室を統括するユン・ジェウン氏は、イフランドのユーザーの70%は20代だと述べた。「サブスクリプションの48%以上がオンラインチャネルで行われており、こうしたメタバースサービスが、オンラインサービスを活用できる若い世代にアピールしていることを示している」。また、昨年9月のBNVとヴァインサント(Weinsanto)のように、同社のバーチャルワードにおけるIPコラボレーションにK-POPのコネクションを活用していくつもりであるともいう。
ファッションにとって、こうした国際的なメタバースプラットフォームの成長は、市場浸透機会の増加を意味している。韓国最大のメタバースプラットフォームであるゼペットは、全世界の月間アクティブユーザー数が1500万人から2000万人で、グッチ(Gucci)、ラルフローレン(Ralph Lauren)、ナイキ(Nike)といったブランドとファッション提携を行うライセンスモデルを有している。また、ゼペットはブラジルでも人気がある。イフランドに関しては、韓国に加えて、米国やブラジルのファッションファンを惹きつけている。
「Web3ネイティブな企業として、SKテレコムとのコラボレーションは、メタバースの発展が私たちが熟知している物理的なファッションエコシステムを超越していく中で、テクノロジーのサイバースペースへと私たちを誘い、新たなことにすぐに全力で取り組んでいくことを可能にした」とクリステンセン氏は述べている。
[原文:Scandi brands Rotate and Remain launch in the metaverse]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)