ブランド向けのTwitterの新しいゴールドチェックマークは認証を意味するが、これには混乱がつきまとっている。
混乱する美容企業の認証
イーロン・マスク氏による10月のTwitter買収以来、Twitterの認証システムはあわただしく変更されている。ブルーのチェックマークのサブスクリプションサービスであるTwitterブルー(Twitter Blue)の指定、一時停止、再開があった。ビジネス向けのゴールドのチェックマークと正方形のプロフィール画像が12月12日に導入されて、ゴールド認証の企業はモデレーションをすりぬけた詐欺アカウントと視覚的に区別されている。美容ブランドに関して言えば、なぜゴールド認証を受けたブランドとそうでないブランドがあるのかは不明だ。
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エスティー ローダー(Estée Lauder)、ランコム(Lancôme)、ロレアル パリ(L’Oréal Paris)、セフォラ(Sephor)、アルタビューティ(Ulta Beauty)といった主要な美容ブランドや小売業者は最低でも傘下ブランドの1社にゴールドチェックマークを受けている。だが、どうやらブランドの規模だけが要因ではないようだ。というのは、クリニーク(Clinique)やレブロン(Revlon)といったおなじみのブランドの中には依然ブルーのところもあるからである。
Twitterはどのようにしてゴールドを得るブランドを選択したかについては明らかにしておらず、説明のリクエストにも応じていない。この新機能に関する同社の発表では「Twitterの一部のビジネスアカウント」に提供されると述べられていた。さらに、Twitterは、ゴールドチェックはバイラルなブランドのパロディアカウントに対処するために一部のアカウントのバイオに表示された短命の「公式」のプロフィールタグに取って代わるものであると述べている。チェックマークについて詳しく説明しているTwitterのあるブログ投稿では公式タグが認証としていまだにリストされている。
ゴールドとブルー認証が混在する美容コングロマリットの例
世界最大の美容コングロマリットのポートフォリオにはゴールドとブルーのアカウントが混在している。エスティー ローダー カンパニーズのブランドのうち、MACコスメティクス(MAC Cosmetics)とジョーマローン(Jo Malone)はゴールドだが、傘下のほかの企業ではクリニークの米国と英国のアカウントに加えて、ボビイ ブラウン(Bobbi Brown)、バンブル&バンブル(Bumble & Bumble)、オリジンズ(Origins)、トゥーフェイスド(Too Faced)、スマッシュボックス(Smashbox)などまだブルーチェックを表示しているブランドもある。
1つまたは複数のゴールドチェックを受けたTwitterアカウントを持つロレアルグループ(L’Oréal Group)のブランドには、ランコムのほかに、セラヴィ(CeraVe)、スキンシューティカルズ(SkinCeuticals)、ガルニエ(Garnier)、ピュアロロジー(Pureology)、キールズ(Kiehl’s)、メイベリン(Maybelline)、アーバンディケイ(Urban Decay)などがある。NYXプロフェッショナルメイクアップ(NYX Professional Makeup)はまだブルーだ。メイクアップフォーエバー(Make up For Ever)、ベネフィットコスメティクス(Benefit Cosmetics)、フェンティビューティ(Fenty Beauty)、ゲラン(Guerlain)、フレッシュ(Fresh)といったLVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのビューティポートフォリオのほとんどは、ウラヘンリクセン(Ole Henricksen)を除いて少なくとも1つのアカウントでゴールドを受けている。
国も基準ではない?
複数の国に対して固有のアカウントを持っているブランドの場合には、状況はさらに複雑である。米国のアカウントでゴールド認証を持つ美容ブランドが英国のアカウントではブルーという場合も多い。これに該当するのは、ロレアル パリ、ランコム、キールズ、レッドケン(RedKen)、ガルニエ、メイベリンだ。ロレアル パリについてはフランスとブラジルをはじめ他国のアカウントではゴールド認証になっている。
しかし、英国のアカウントのいくつかにはゴールド認証がある。ベネフィットコスメティクスは米国と英国の両方でゴールドであり、スキンシューティカルズも同様だ。
日本拠点の資生堂傘下のブランドに関しては、日本の資生堂にはゴールドチェックがあるが、米国、英国、カナダのアカウントには認証チェックがまったくない。資生堂が買収した米国のスキンケアブランド、ドランクエレファント(Drunk Elephant)は、日本のアカウントはゴールドで、メインのアカウントはブルーである。一方、ナーズコスメティクス(Nars Cosmetics)のアカウントはまだブルーのままだ。どうやら、日本のアカウントがゴールドを取得しているのはその拠点とは無関係のようだ。クリニークの日本アカウントはゴールドだが、ほかの国ではブルーである。
なりすまし防止になるのか?
この現状は混乱していると思うのは当然だ。ブランド側も蚊帳の外である。アルタビューティの広報担当者によると、Twitterからは連絡がないまま同社のチェックマークは自動的に変更されたという。
ゴールド認証がある場合には、なりすましのブルーチェックサブスクライバーアカウントと区別することが可能だ。なりすましは表向きは禁止されているが、Twitterで行うのは簡単である。ワシントン・ポスト紙のコラムニストであるジェフリー・ファウラー氏は、1月5日、エド・マーキー上院議員になりすましたアカウントでブルーチェックの認証を受けることに成功した。マーキー議員は当初ブルーチェックシステムが取り入れられたときにTwitterでなりすましをされたことがある。このシステムに対するマーキー議員の批判に対して、同議員はイーロン・マスク氏からマーキー氏の「本当のアカウントのほうがパロディのようだ」と言われた。
ゴールドチェックが導入されたのは、最初にTwitterブルーが取り入れた直後に無料のインスリンについて発表した偽のイーライリリー(Eli Lilly)のアカウントや、コカコーラ(Coca Cola)を宣伝するなりすましのペプシ(Pepsi)アカウントなど、ブランドのパロディアカウントが登場したためである。マスク氏は、Twitterに関する多くの議論の中で主な広告主がキャンペーンを一時停止したため、Twitterの広告収入が「大幅に」減少して1日あたり400万ドル(約5億円)の損失を被ったと述べている。
ブルーチェック認証ブランドによる疑わしいツイートについては、ユーザーはアカウントがサブスクライバーアカウントなのか、それとも「レガシー」のブルーチェックなのかを依然確認することができる。小規模でまだ認証されていないスタートアップブランドには、認証に対して支払うのか、それとも、どのような基準でTwitterからゴールド認証が与えられるのかはわからないにしても、ゴールド認証を取得するエリートブランドの仲間入りができるまで待つのかというジレンマは残っている。
[原文:Twitter’s confounding golden check system: Which beauty brands have it and which ones don’t]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:)