スーパーでは1秒でも早いレジに並びたいもの。
でもオランダに700以上の店舗を持つ大手スーパーチェーンのJumboが2019年夏、Vlijmen店で導入したのはファストレーンならぬスローレーン。急がずにゆっくりおしゃべりが楽しめるレジです。
1本だけ残された「おしゃべりチェックアウト」
最近はどのスーパーもセルフチェックアウトのレーンが増えていますよね。買い物客が自分でピピッてバーコード読み取って清算するほうが人件費も浮くし早かったりします。
Jumboでも全部セルフチェックアウトに切り替える案があったんですが、それだと話し相手がひとりもいない独居老人とかあまりにもかわいそうだってことになり、厚生省の「孤独と戦う全国コアリション」の協力も得ながら試験的に遅いレジを1本残すことにしたんです。名付けて「Kletskassa(おしゃべりチェックアウト)」。
するとこれが村人に大反響で、気をよくした経営陣が2021年10月に全国展開することを発表。シニアの孤独が深刻な地域を選び抜いて、1年がかりで200のレジをスローレーンに切り替えて今にいたる、というわけです。
「真のふれあいのお手伝いをしたい」
Jumboではこのほかにも、ちいさなテーブルを店内に用意して、ゆっくりコーヒータイムを楽しめるようにしています。こちらは市民団体との共同プロジェクト。ボランティアが話し相手を務めてくれるんだそうですよ? いいなあ、やさしい社会。
以下は、拡張を決めたときのColette Cloosterman-van Eerd COOのコメント(英訳)です。
「当店を大切なふれあいの場と捉えてくださる方は大勢いますし、孤独をキャッチして軽減する面で当店が果たせる役割があれば果たしていきたいです。さまざまな取り組みをしていますが、Kletskassas(おしゃべりチェックアウト)もその一環。Kletskassasを担当したがるレジのスタッフが多いのが当社の誇りです。みなこの取り組みをサポートして、純粋な人への関心から真のふれあいのお手伝いをしたいと考えているのです」
余裕を感じるなあ…。アメリカにいると行列ガン無視で客と長話する店員にブチ切れることもしばしばですが、あれって怠けてる店員さんもいるとは思いますが、なかには独り暮らしの人が寂しくないように一生けん命声をかけてる店員さんもいたんですね…。まったく思い至りませんでした。日本人はせっかちだから。
急ぐ人と共存できるように、ファストレーンとスローレーンに分けるのは大正解ですね!