iPhone 13のA15チップはCPUの進歩がやや鈍化しているのか?

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2021年9月15日、Appleが2021年の新型iPhoneとなる「iPhone 13」シリーズを発表しました。このiPhone 13シリーズの目玉の1つとされるSoC「A15 Bionic」について、「人材流出が原因でCPUよりもGPUに比重を置かざるを得なくなったのでは」という指摘が報じられています。

A15 benchmarks reveal nearly 21% CPU performance gain over A14 | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/09/16/a15-benchmarks-reveal-nearly-21-cpu-performance-gain-over-a14

Additional Benchmarks Reveal A15 Bionic Performance Improvements in iPhone 13 and iPhone 13 Pro – MacRumors
https://www.macrumors.com/2021/09/15/a15-geekbench-cpu-gpu/

Apple CPU Gains Grind To A Halt And The Future Looks Dim As The Impact From The CPU Engineer Exodus To Nuvia And Rivos Starts To Bleed In – by Dylan Patel – SemiAnalysis
https://semianalysis.substack.com/p/apple-cpu-gains-grind-to-a-halt-and

日本時間2021年9月15日、Appleが新製品発表イベントの中で2021年の新型iPhone「iPhone 13」シリーズを発表しました。iPhone 13シリーズは、より高性能に進化したメインカメラやどんなスマートフォン向けカバーガラスよりも頑丈なセラミックシールドなどを採用しており、その他の詳細は以下の記事からチェックできます。

「iPhone 13/iPhone 13 mini」発表、A15 Bionicは6コアCPU&4コアGPU – GIGAZINE


「iPhone 13 Pro/iPhone 13 Pro Max」が登場、トリプルカメラは進化してマクロ撮影も可能に – GIGAZINE


iPhone 13シリーズに関する発表の中で、大きな目玉とされたのが新型SoC「A15 Bionic」でした。A15 Bionicに関する説明は発表会の中で他の項目よりも長い時間を割り当てられていた他、その後に公開されたiPhone 13の公式ページでは「A15 Bionicは他社のチップよりもずっと高速で、より優れた性能とより良い電力効率をもたらすため、iPhone 13のラインナップでは、あらゆることがこれまで以上に流れるように動作します」と強調されています。


このA15 Bionicについて、「Appleは具体的な性能をわざとぼかしたのでは」という疑惑が話題を呼んでいます。Appleは発表会において新型デバイスについて過去機種との比較を行うのが通例でしたが、今回のiPhone 13に際しては「主要な他社製品より最大50%も高速」と、比較対象として抽象的な「他社製品」という表現を用いました。


具体的な性能を類推できる部分は、iPad miniの発表中に用いられた「A15 BionicのCPUパフォーマンスはA12 Bionic比で40%高速になった」という表現です。40%高速というと飛躍的な進化を果たしたように思えますが、ベンチマークの結果から考えると、A14 BionicはA12 Bionic比で約40%の高速化を達成しているため、「A15 BionicとA14 BionicはCPU的には同等なのでは?」という疑惑が浮上しました。


この疑惑が浮上した段階でメディアが報じたのは、「2019年に半導体部門幹部3名らがAppleを去った一件が響いているのでは?」という内容。2019年、A12 BionicなどのApple Aシリーズの開発リーダーを務めた経歴を持つジェラード・ウィリアムズ氏らがAppleを退社して設立した「NUVIA」という企業は、2021年1月に約1450億円でQualcommに買収されることとなり、QualcommのCPU設計能力の向上に寄与しました。

約1450億円でQualcommがAppleの半導体部門元幹部のチップ企業「NUVIA」を買収 – GIGAZINE


なお、A15 BionicのCPU性能にまつわる疑惑以降にiPhone 13シリーズとみられるベンチマークスコアがベンチマーク大手のGeekBench上で発見されており、このスコアがiPhone 13シリーズのもので間違いないならばA15 BionicはA14 Bionicに比べてシングルコアスコアが約10%増、マルチスコアが約20%増となっています。

GeekBench上に存在するiPhone 13シリーズのスコアは以下から参照可能です。なお、発売前の段階であることが原因なのか、登録名称は「iPhone14」となっている点に注意してください。

iphone14 – Geekbench 5 CPU Search – Geekbench Browser
https://browser.geekbench.com/v5/cpu/search?utf8=%E2%9C%93&q=iphone14


シングルコアスコアを比較した場合、A13 BionicはA12 Bionicよりも18%増、A14 BionicはA13 Bionicよりも20%増となっているので、現状の情報ではCPU性能の向上率がやや鈍化したという印象です。

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