古代エジプト・アマルナ時代の壁画の研究が進み、描かれた鳥の種類が判明

GIZMODO

3,300年以上前の写実性。

一時期古代エジプトの首都とされていたアマルナの王宮に存在していた、さまざまな鳥類を描いた見事な壁画。その壁画に登場する鳥の種類を特定したという最新研究が発表されました。

高度な写実性

この研究チームが調べた対象は、厳密に言うとアマルナの北王宮のグリーンルームにあった壁画…ではなく、20世紀になって制作されたその複製画。その壁画にはあらゆる鳥が描かれていますが、これまで分類学的な特定はされていませんでした。チームの研究成果は考古学ジャーナル『Antiquity』に公開されています。

壁画自体はアマルナで1920年代に発見され、Nina de Garis Davies氏によって複製画が描かれました(彼女は夫のNormanと共にエジプト美術の複製を数多く制作)。アマルナは、ツタンカーメンの父であるアクエンアテン(アメンホテプ4世とも)時代の新都だったことで有名な都市です。彼は太陽神アテンという唯一神のために、古来の神々を捨てて伝統を破りましたが、後にツタンカーメンが多神教信仰を復活させています。

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古代都市アマルナ
Image: Wikimedia Commons

研究の著者らによれば、グリーンルームにあった壁画は「エジプト王朝時代の、最もうまく表現された写実的な鳥の絵の1つとして知られている」んだそう。確かに複製画に描かれていたリアルさは、古代エジプト芸術と聞いて思い浮かぶ美術様式とは異なります。

研究者たちがその地域に3,300年前に生息していたと思われる種類を特定できたほど、動物の描写は非常に写実的なものでした。見分けがついたのはヒメヤマセミ(Ceryle rudis)、カワラバト(Columba livia)、ワライバト(Streptopelia senegalensis)。他の鳥はベニバトかセアカモズかもしれません。

カワラバトはパピルスと共に描かれていましたが、昔から湿地という生息環境とは結び付かない生き物です。研究者たちは従来考えられていたよりも幅広い生息地に住んでいた可能性を考慮したものの、ただ“非現実的な”鳥の描写というだけかもと書いていました。

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複製画のカワラバト
Image: Stimpson et al., Antiquity 2022

残念なことに、元の壁画はもはや存在しません。論文によると、壁画を保存するための試みが裏目に出て、作品を「変色させ黒ずませてしまった」という出来事があったとのこと。

「それらを保存できた唯一の方法は、砂による部屋の埋め戻しだっただろう」とLive Scienceに伝えたのは、共著者でケンブリッジ大学のエジプト学者Barry Kemp氏。「考古学者たちは現地人に傷つけられるという不安から、これをしないと決めた。おそらくは行き過ぎた不安だった」と続けていました。

ただ壁画の破片のいくつかは現在、カイロやロンドンなど世界各地の美術館に所蔵されているようです。

Source: Antiquity, Live Science

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