起業家でリアリティ番組のスターであるキム・カーダシアンは、自身のスキンケアブランド「スキン・バイ・キム(Skkn by Kim)」の新しい広告に、QRコードを使用している。これはテクノロジー企業のフローケア(Flowcode)との提携によるもので、設立から6カ月、同ブランドが消費者との長期的な関係を育むのに役立つことを期待して実装したもの。
カーダシアンは、今後もソーシャルメディア上で抱えるオーガニックなフォロワー数を活用して新ブランドを消費者に売り込むだろう。これはWWEのスーパースターであるマンディ・ローズとソーニャ・デヴィルがD2Cのドーナツブランドを立ち上げた時の戦略と似ている。
同時に、スキン・バイ・キムは、最初の30秒の広告スポットをコネクテッドテレビ・プラットフォームのHuluとYouTube、リニアテレビケーブル・ネットワークのE!で展開し、また同ブランドのTikTok、インスタグラム、LinkedIn、Twitter、Facebookページにも投稿した。広告はキオスクやデジタル・ディスプレイを通じても表示され、いずれもフローコードによって運営されるQRコードが表示される。スキン・バイ・キムとフローコードの間で交わされた契約の金銭的な詳細は公表されていない。
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カーダシアンは米DIGIDAYに対し、フローコードとの提携により、スキン・バイ・キムは「消費者とつながることができる」ポジショニングを獲得し、それによって「購入を促進し、リアルタイム分析でキャンペーンの影響を測定」できると述べている。同ブランドのQRコードキャンペーンのターゲット層は、スキンケア、美容、ファッションに関心のある18歳から55歳の女性である。
市場で唯一GDPRとCCRAに準拠しているフローコードを評価
同氏によると、このキャンペーンの広告費の約90%はストリーミングとリニアテレビに使われており、残りは屋外広告に使われている。とはいえ、これは店内、屋外、テレビ、ソーシャル・プレイスメントを含む全方位的なキャンペーンである。その上で、広告費の大部分はスキン・バイ・キムの消費者が時間を多く費やすテレビやデジタルチャンネルに費やされている。「このキャンペーンの目的は、顧客がいる場所でブランドに目を触れてもらうこと。そしてブランド・コンバージョンを促進し、CRMを獲得することだ」。
同社は先月、ロサンゼルスのウェストフィールド・センチュリー・シティのショッピングモールでホリデーシーズンのポップアップ広告を使ってスキンケア製品を宣伝した。また新製品の予告や新製品の早期入手などの独占的な特典を受けられる、同ブランドのコミュニティに登録してもらうように促した。
このQRコードキャンペーンにおいてフローコードと提携するというブランドの決定には、最近のプライバシー規制の変更の影響がみられる。「フローコードのプラットフォームのプライバシーを当社は信頼している。そのことはこのパートナーシップの大きな要因である。フローコードは最も安全なQRプラットフォームであり、市場で唯一EU一般データ保護規則(GDPR)とカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)に準拠している企業である」とカーダシアンは述べた。
QRコードは効果的なリーチの実験的な方法に
プライバシー問題の対処法としては、QRコードはブランドたちにとって、効果的な顧客リーチの実験的方法となっている。実際、スタティスタ(Statista)の調査によると、昨年夏の時点で、米国の買い物客の45%が過去3カ月以内にマーケティング目的でQRコードを使用していた。
デジタルマーケティング代理店モングース・メディア(Mongoose Media)の創業者であるローレン・ペトルロ氏は、「QRコードはユーザーが情報を得たいと思っているブランドとつながることを可能にし、ブランド側はFacebook、TikTok、Googleの広告リターゲティング用ピクセルを通じて関心のある顧客にアクセスできる」と述べている。「ジオロケーションの設定や、店頭および1週間前に購入した顧客データと重ね合わせることで、パーソナライズされた広告が可能になる」。
スキン・バイ・キムは2023年を通して製品ラインを拡大する予定だ。ブランドは新しいカテゴリーへの参入に熱心であり、その最近の例がホーム・アクセサリー分野である。顧客がブランドのすべての製品をウェブサイトで購入できる、シームレスな体験を作ることが目標として掲げられた。カーダシアンは、「私たちは、パフォーマンス主導であり、かつ市場のギャップを埋めてくれるような、専門的に作られた普遍的に愛される製品をもって、製品ラインを開発・拡大し続けたいと考えている」と述べている。
[原文:Why Kim Kardashian is sold on QR codes for Skkn by Kim]
Julian Cannon(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)