電通 が広告費成長率予測を発表、2023年広告費の動向は:デジタル分野がけん引、緩やかな成長だが約100兆円に

DIGIDAY

2022年12月15日 、電通は「世界の広告費成長率予測(2022~2025年)」を発表。来年は成長がいくぶん鈍り、世界の成長率は3.8%増、7409億ドル(約100兆円)に達すると予測した。これは2022年の8%増と比較すると、緩やかな成長である。

日本の広告代理店最大手、電通グループの世界広告費最新予測によると、2023年は景気が停滞するもののいくぶん成長が見られるという。さらに今後数年は楽観的であると予測している。

2022年12月15日 、電通は「世界の広告費成長率予測(2022~2025年)」を発表。来年は成長がいくぶん鈍り、世界の成長率は3.8%増、7409億ドル(約100兆円)に達すると予測した。これは2022年の8%増と比較すると、緩やかな成長である。今回のデータは約60市場にわたる電通インターナショナルの一部ブランドから算出されたもので、この予測は半年に一度発表されている。

2022年末には企業広告費の合計が7136億ドル(約96兆3000億円)におよぶと見ており、これは、前回(2022年7月発表)予測した8.7%よりも0.7ポイント低い。また、2022年に影響を与えた要因には、インフレ率の上昇、高めの金利、市場の景気後退、企業や消費者の支出に影響を与える政情不安が挙げられるという。

リテールメディアとCTVが、デジタル広告を押し上げる

「2022年は、政治的にも経済的にも不安定な状態が表面化していたにもかかわらず、広告業界にとって強気の1年であることが証明された」。電通インターナショナルのメディア&グローバルクライアント、グローバルCEOのピーター・ハイブーン氏はあるステートメントでそのように述べている。「弊社の報告と予測から、この影響が2023年にも見られるのは明らかであり、私たちは今、これが業界やインベントリー、さらには、可能な予算から得られるべきリターンにどのような影響を与えるのか、現実的に考える必要がある」。

しかし電通は、2024年と2025年も数字はさらに上昇し、広告費は2024年に4.8%増で7769億ドル(約104兆9000億円)、2025年に4.5%増で8116億ドル(約109兆6000億円)に達する予測している。

さらに、デジタル分野の支出は引き続き成長を牽引しており、2022年の広告費のシェアは55.3%で、2024年には58.2%になるという。リテールメディアやCTVなど、デジタル内の比較的新しいカテゴリーで広告費の増加が最も大きい。

電通の展望は、メディアエージェンシーであるグループM(GroupM)とマグナ(Magna)が12月上旬に発表した分析とも同じようである。この2社も、収益はCTVとリテールメディアが牽引すると指摘し、屋外広告(OOH)に関してはとくに楽観的な見方をしている。

屋外広告業界団体の全米屋外広告協会(Out-of-Home Advertising Association of America)でプレジデント兼CEOを務めるアナ・ベーガー氏は「主要セクターはますます多くの予算を投資している。とくに、屋外広告への政治関連の支出は過去最高を記録した」と先の米DIGIDAYインタビューに答えている

そのほかの主要な情報

今回の電通の予測から、そのほかの情報は次のとおり。

  • 2023年は地域全体をみると、分析の対象となった58市場のうち51市場で小幅な成長になると見ている。また、トップを走る地域はAPAC(アジア太平洋地域)で4%の成長、次いで3.8%のEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)となっている。
  • ほぼすべてのチャネルで成長が見込まれている。たとえばテレビ広告費は0.2%増で、1827億ドル(約24兆7000億円)に達し、屋外広告は2%増、シネマは6.1%増、ラジオも成長率が2%増と予測している。
  • デジタル広告費はまだ成長に余裕があり、とくにCTVの成長は2022年に横ばいだった従来のテレビの支出よりも早い成長を見せている。CTVは2桁の成長が見込まれ、2022年には23.7%、2023年には20.2%と予測されている。Netflixとディズニープラス(Disney+)は新たな広告付きプランでチャンネル登録者数を増やす可能性もあり、今後市場における役割は大きくなるだろうと電通は見ている。
  • デジタル広告費の70%以上はプログラムで処理され、その内訳は、オンライン、CTV、デジタルオーディオ、デジタル屋外広告をはじめとしてさまざまなプラットフォームに分散するだろう。つまり、今後は広告キャンペーンのオプションが広がり、柔軟な選択が可能になる。そうなれば、プランニングと自動化がより手軽に実現できるようになるだろう。
  • 今後もアテンション指標には注意が必要になるだろう。予算が厳しくなれば、「数字をできる限り厳しくチェックしよう」と考えるため、こうした指標の重要度が高まる可能性もあるという。なお、電通はアテンションエコノミーの調査プログラムで、2017年以来30万件以上の広告に対して1万人におよぶ対象者の動向を調査している。

[原文:Dentsu’s forecast for 2023 shows a year of slowing growth reaching $740B, led by digital

Antoinette Siu(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)


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