Mastodonのように多くのユーザーがコンテンツをネットに公開するアプリをセルフホストする際にDMCAなど法的問題について知っておくべき事まとめ

GIGAZINE
2022年12月26日 20時00分
メモ



Twitterが大きな変革を迎えている中で、誰かがホストしている「インスタンス」に参加したり、無料のオープンソースソフトウェアを自分の管理するサーバーで動かして自分自身のインスタンスを作ったりして、Mastodonのようなソーシャルメディアの代替サービスに乗り換える人が増えています。Mastodonのインスタンスをホストすることに付きまとう法的リスクについて、電子フロンティア財団がまとめています。

User Generated Content and the Fediverse: A Legal Primer | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2022/12/user-generated-content-and-fediverse-legal-primer

インスタンスを通じてユーザーの一部が著作権を侵害する素材を共有したとして、インスタンスの管理者に責任があると認められた場合、巨額の損害賠償につながる可能性があります。ただし、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)512条では、インスタンス管理者を含むサービスプロバイダーが著作権侵害の通知に対して迅速に対応した場合、セーフハーバー免責が認められています。

ただし、このセーフハーバー免責は自動的に適用されるわけではなく、一定の基準を満たす必要があります。例えば、DMCAエージェントの連絡先情報や著作権に関するポリシーへのリンクを、自身のウェブサイトやインスタンスに提示しなければなりません。DMCAエージェントは著作権に関する苦情に対応する公式窓口であり、3年ごとに登録を更新する必要があります。


DMCAに基づいた著作権侵害の通知に含まれている必要がある情報は以下。これらの要素をすべて含んでいない通知には対応する必要がありません。

・申し立てを行った当事者の氏名、住所、物理的または電子的な署名
・URLなど、侵害する素材の特定とそのインターネット上の場所
・著作物を特定するのに十分な情報
・申し立てられた使用には法的根拠がないと十分に信じられる著作権者による声明
・通知の正確さ、申し立てた当事者が著作権者の代理として行動することを承認されていることを示す声明

逆に、コンテンツをプロバイダに削除されたユーザー側が「私は著作権侵害をしていない」と拒否する「反対通知」を申請するには、以下の要素が必要です。

・ユーザーの指名、住所、電話番号、物理的または電子的な署名
・削除前のコンテンツとその場所の特定
・コンテンツが誤認によって削除されたことを示す陳述書
・地元の連邦裁判所の管轄権、あるいは適切な司法機関への同意

さらに、法的トラブルでユーザーの個人情報について開示するような請求が飛んでくることもあります。また、法執行機関が犯罪捜査や訴追の一環で個人情報の提供をせまってくることもあります。こうした場合、その請求に従うかどうかはかならず弁護士に相談する必要があります。加えて、IPアドレスやデータスタンプなど、どういったデータをログとして残しているのかを把握し、どういう情報なら提出できるかをまとめておく必要があります。可能であれば、定期的に透明性についての報告書を発行しておくと、ユーザーからの信頼度も上がりやすくなります。


アメリカにおいては「SNSや掲示板などの運営企業はユーザーが掲載したコンテンツに対して法的責任を負わない」と定める「通信品位法230条(セクション230)」が存在します。しかし、セクション230については、フェイクニュースやヘイトスピーチの拡散防止を目的に改正が叫ばれています。

米大統領、SNSの免責廃止訴え 憎悪犯罪対策で演説 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-hate-idJPKBN2QH02L

また、FOSTA/SESTAと呼ばれる法案は、性的人身売買を助長するプラットフォームに関してはセクション230の適用外になることを定めた法律で、2018年に成立しています。FOSTA/SESTAについては合憲かどうかが議論されているところですが、記事作成時点では有効。そのため、自身のインスタンスで性的人身売買をほのめかすような投稿があった場合は積極的に対応する必要があります。

なお、日本の場合はプロバイダ責任制限法という法律が存在しているので、わからない場合は弁護士に相談してみてください。

総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)|プロバイダ責任制限法Q&A
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai_04.html

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