画像生成AIのStable Diffusionにも使われるAIフレームワーク「PyTorch」がMetaから独立してLinux Foundationに移行

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Facebook(現Meta)の研究チームが2016年に開発したオープンソースのAIフレームワーク「PyTorch」は、画像生成AIのStable Diffusionを含む数多くのAIプロジェクトに利用されています。2022年9月12日、PyTorchが「PyTorch Foundation」という名称で独立し、Linux Foundationの下で統括されるプロジェクトに移行することが発表されました。

Announcing the PyTorch Foundation to Accelerate Progress in AI Research | Meta
https://about.fb.com/news/2022/09/pytorch-foundation-to-accelerate-progress-in-ai-research/


Welcoming PyTorch to the Linux Foundation – Linux Foundation
https://www.linuxfoundation.org/blog/welcoming-pytorch-to-the-linux-foundation/

PyTorch strengthens its governance by joining the Linux Foundation | PyTorch
https://pytorch.org/blog/PyTorchfoundation/

PyTorch gets lit under The Linux Foundation • The Register
https://www.theregister.com/2022/09/12/pytorch_meta_linux_foundation/

PyTorchはFacebookが開発したオープンソースのAIフレームワークであり、Pythonを使用できることもあって人気を集めました。PyTorchを率いるSoumith Chintala氏は、「PyTorchは当初のビジョンをはるかに超えて成長しました。PyTorchを基盤に使用した約15万4000件ものプロジェクトが2400人以上の貢献者によって構築され、AI研究と商用製品利用のための主要なプラットフォームになりました」と述べ、自動運転やヘルスケアなどの産業界から大学をはじめとする研究機関まで、幅広い分野に影響を及ぼしていると主張しています。

MetaはPyTorchに対する最大の貢献者であるものの、これまでにもAMD・Amazon Web Services(AWS)・Google Cloud・HuggingFace・Lightning AI・Microsoft Azure・Nvidiaなど、多くの企業が技術的貢献およびコミュニティ構築に多額の投資を行ってきたとのこと。

そしてMetaのマーク・ザッカーバーグCEOは9月12日、Facebookへの投稿で「私たちは、Metaの研究者が率いるオープンソースのAIフレームワークであるPyTorchを、Linux Foundationの下で統括されるプロジェクトに移行します」と報告しました。Linux Foundationは非営利の技術コンソーシアムであり、Linuxの標準化やサポートを促進することに加え、さまざまなオープンソースプロジェクトのホストや共同開発にも取り組んでいます。新たなPyTorch Foundation理事会には、MetaのほかにAMD・Amazon・Google・Microsoft・Nvidiaなどのパートナーが参加するとのことです。

PyTorchやLinux Foundationの公式SNSアカウントも、PyTorchがPyTorch Foundationとして独立し、Linux Foundation管轄のプロジェクトになることを報告しています。

Together with the @LinuxFoundation, we look forward to unlocking the value of shared technology by furthering the collaborative development of open source software.

Learn more about the #PyTorchFoundation and what’s next, as we look to accelerate progress in #AI. https://t.co/s79ETliDXd

— PyTorch (@PyTorch)


Metaは、PyTorchがMetaから独立してPyTorch Foundationへ移行することにより、多様な理事会グループによる透明かつオープンな意思決定が行われることが保証されると主張しています。「PyTorchはオープンソースかつコミュニティファーストの哲学によって構築されており、これは財団への移行でも失われることはありません」「今後、フレームワークの貢献者は新たなPyTorch Foundationパートナーが提供する健全なガバナンス、多様なリーダーシップ、追加投資の恩恵を受けるでしょう。財団は『オープンであること』『中立的なブランディングの維持』『公平性の維持』『強力な技術的アイデンティティの構築』という4つの原則の順守に努めます」とMetaは述べています。

また、Metaは引き続きPyTorchへの投資およびAIフレームワークとしての使用を継続すると表明しており、「移行はPyTorchのコード、コアプロジェクト、開発者のオペレーティングモデルに変更を加えることを意味しません」と説明しました。

Linux Foundationは声明で、「今日、私たちはPyTorchをLinux Foundationに迎え入れることに興奮しています」と述べ、PyTorchは医療診断ツールや自動運転車用のソフトウェア、天文学者向けの画像解析ツールなど、さまざまな分野に利用されていると指摘。「PyTorchのような重要なテクノロジーの基盤となる可能性を秘めたプロジェクトは、中立的なホームから恩恵を受けます」「ユーザー、メンテナ―、コミュニティは、それらを永続的に信頼できるコモンズの一部と見なし始めます」「私たちは、Metaの『私たちにトーチ(torch)を渡す』という信頼に感謝しています」と述べています。

海外メディアのThe Registerは、「PyTorchを単独で取り扱わないというMetaの決定は、特定のブランドとの提携や自由を制限するソフトウェアライセンスなど、制約のあるソフトウェアに依存したくないというテクノロジー企業やオープンソースコミュニティの意向を反映したものです」と述べました。

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