スポットCMで TikTok スタイルの広告を制作したリテーラーの狙い:「短編コンテンツで若い世代とつながることが重要だ」

DIGIDAY

1938年に創設された小売業者のトラクターサプライ(Tractor Supply)が、新しいキャンペーンを開始。「TikTokスタイルの広告」でブランドの認知度向上を目的としている。同社は広告予算をすべて、パラマウント(Paramount)のTVチャンネルに投入するようだ。

1938年に創設された小売業者のトラクターサプライ(Tractor Supply)が新しいキャンペーンを開始し、このプログラム用の広告予算をすべて、パラマウント(Paramount)のTVチャンネルに投入しようとしている。11月13日にドラマ「イエローストーン」 のプレミア放送に初登場した同社の新しい「TikTokスタイルの広告」は、ブランドの認知度向上を目的とした取り組みの一環だ。

ほかのストリーミングサービスに先立ってパラマウントで放送される「イエローストーン」において、関心を集めようという発想だった。また、「田舎のライフスタイルにスポットライトを当てたかった」とトラクターサプライのCMO、キンバリー・ガーディナー氏は語った。

Tiktokスタイルで親しみやすさを演出

新しい広告には、カントリーミュージックシンガー兼女優のレイニー・ウィルソンが登場し、彼女の成長の過程と現在の生活、それが自身の音楽に与える影響についての映像が流れる。

トラクターサプライとウィルソンのあいだで結ばれた契約の金銭面の詳細は明らかにされていないが、ガーディナー氏によると、トラクターサプライは、彼女の曲作りのインスピレーションの源泉になっている地に足がついた親しみやすい生活スタイルに忠実でありながら、独特なクリエイティブフォーマットを求めたという。

そのため、TikTokスタイル(つまり縦型の)広告が提案され、コアバリューが一致するという理由でウィルソンを起用。同社がTikTokスタイルの広告を制作したのは、これが初めてだった。「その魅力を、若い女性や多様なオーディエンス向けに拡大していくために、ウィルソンのような新進気鋭のアーティストが自然にフィットする」とガーディナー氏はいう。

このスポット広告は、2023年1月初めまで放送される「イエローストーン」の現シーズンを通して流される。また、「イエローストーン」のシーズンプレミア中、ウィルソンが自身のTikTokページで共有したところ、視聴回数が480万回を超えた。そのほか、同日にトラクターサプライとウィルソンのインスタグラム(Instagram)アカウントでもリールでオーガニックに共有され、視聴者数は11月末時点で23万2000人を超えている。「消費者が楽しく関わりながらトラクターサプライを発見する手助けをするようなやり方で、デジタルチャネルでの影響を拡大している」とガーディナー氏は語った。

Z世代向けにブランドは真正性を伝えようとしている

ガーディナー氏によると、有料メディアへの支出はすべて、パラマウントのTV放送のスポット広告に充てられたという。「『イエローストーン』のより広範なスポンサーシップの一環で、すでにTVメディア予算をパラマウントに充ててきた」とガーディナー氏は述べた。ただし、同氏が予算に関する数字を明らかにするのを避けたため、トラクターサプライの広告予算のうちどれほどの額がこのキャンペーンに配分されるのかは不明だ。分析企業パスマティクス(Pathmatics)のデータによれば、2022年になってから、トラクターサプライはこれまでに、1780万ドル(約24億3500万円)近くを広告に費やしているという。加えて、ガーディナー氏は、2023年にはYouTubeとTikTokを利用してソーシャル広告に投資する可能性について言及している。

マーケターによると、TikTokのようなプラットフォームは、Z世代のあいだで人気が高まっており、成功するためには、ブランドはターゲットオーディエンスとのストーリーテリングにおいて、真正性を伝えるべきだという。「ストーリーを簡潔かつ忠実に伝える短編コンテンツを公開して、ブランドが若い世代とつながることが、非常に重要だ」と、デジタルマーケティングエージェンシーのマングース・メディア(Mongoose Media)でCEO、創業者であるローレン・ペトルロ氏は語る。「広告が自然に見えるほど、ブランドの収益に貢献することになる」

TV広告測定ツール「アイスポット(iSpot)」のトラッキングによると、「イエローストーン」シーズン5のプレミア放送も、計1210万人に視聴され、ウィルソンのスポット広告は、リニアTV全体でこれまでに4000万のインプレッションを獲得しているという。マーケティング企業メタフォース(Metaforce)の共同創業者、アレン・アダムソン氏は、このキャンペーンはブランドが真正性を示すトレンドとも一致すると述べ、「ソーシャルメディアタイプの広告は、顧客と強力に結びつくだろう」と付け加えた。

[原文:Why Tractor Supply Company made its TV ad to look like TikTok

Julian Cannon(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:島田涼平)


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