「我々は今、当初の規模をはるかに超えた」:ライブコマースNTWRKのCEOアーロン・レバント氏が描く、ビッグネームたちとの関係だけに頼らないその後の成長戦略

DIGIDAY

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ライブストリームショッピングは、米国ではまだメインストリームにまで到達していないが、NTWRK(ネットワーク)はこの点で貢献できると考えている。

同社のプラットフォームは2018年に開設され、それ以来、毎年規模が倍増しているという。NTWRKのライブストリームコマースの手法は、ブランド、小売業者、セレブリティのパートナーシップと、限定版のドロップの組み合わせで構成されている。

NTWRKのCEOを務めるアーロン・レバント氏は、設立時のアイデアについて、「ライブで魅力的なエンターテイメントプラットフォームであり、世界の有力ブランドやセレブリティが独占商品をドロップし、FOMO(Fear Of Missing Out:フォーモ、取り残されることへの恐れ)や見逃せないと感じさせる瞬間を作り出せば、商品は飛ぶように売れると考えた」と説明している。同氏はさらに、「我々はいま、その規模をはるかに超え、その先にある新しいカテゴリー、新しい垂直市場、新しい商品を供給する側に到達した」とも述べている。

レバント氏は11月、米モダンリテールのポッドキャストに参加し、NTWRKの成長と野心、および米国全体のライブストリームショッピング市場について語った。NTWRKの初期における着想のひとつは、ゲームショーアプリの「HQ」だった。「利用者は1日に1回か2回、プッシュ通知を受け取る。そして人々が大挙して視聴し、積極的に参加する。私はこれと同じ観念を、商品ドロップに適用したいと考えた」と、同氏は述べている。

同氏はファッションとストリートウェアのバックグラウンドを持ち、それらの過去のキャリア上のつながりが、NTWRKの初期の文化的価値を高めることにつながった。セレブリティとの過去からの関係を活用することで、「こうした関係があったおかげで、我々は、ごく短期間かつ非常に安価に大きなオーディエンス基盤を作り上げることができた」と同氏は語る。同プラットフォームはナイキ(Nike)などのブランドに加えて、ビリー・アイリッシュ氏やオデル・ベッカム・ジュニア氏などのセリブリティからのドロップを行った。

レバント氏は、このようなブランドやクリエイターとの直接の関係こそが、NTWRKを成功に導き、競合他社と差別化できた理由だと語る。「当社はピアツーピアのプラットフォームではない。誰でもがサインアップして当社のツールを使って販売することができるわけではない」と、同氏は述べている。

NTWRKは依然として成長し続け、コレクターアイテムや玩具のような新しいカテゴリーに拡大しつつあるが、米国では未だニッチな市場である。しかしレバント氏は、中国のようにライブストリーミングがより普及しているほかの諸国に、米国も追いつくだろうと考えている。

「中国における直感的なモバイルファースト技術の使用と採用は、いまだ米国よりはるかに進んでいる。米国が追いつくまでには数年かかるだろうと考えている」と、同氏は述べている。

対談からいくつかの要点を以下に紹介する。これらは、明瞭化のため多少の編集を加えたものだ。

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クリエイターの定義の拡大について

「多くのビッグブランドやセレブリティたちとの関係があり、彼らが早期に参加してくれたことで、我々は、ごく短期間かつ非常に安価に大きなオーディエンス基盤を作り上げることができた。そして我々は、それを続けていきたいと常に願ってきた。ゲーム、アート、音楽、ファッションなど、幅広いポップカルチャーにおけるビッグネームたちとの独占的な商品づくりは、今日も続いている。しかし、それにも限界がある。我々が保有するそうした関係には限りがある。また、緊急性のある商品を世に送り出してくれるような著名な人物の数は、本当に限られている。このため我々は、当社のマーケットプレイスの供給側としての拡大を続けてきた。現在は、スニーカーの再販業者などが、たとえばセレブリティの独占販売などよりも、はるかに大きな収益上げている。セレブリティの独占販売は、ファネルの頂点で人々を引き寄せる、目立つ商品だ。しかし、彼らは実際のところ、我々が毎月開催する何千ものライブストリームによって留まっている状態だ」。

NTWRKがほかのライブストリーミングプラットフォームと異なる点

「NTWRKが、市場に存在する、たとえばソーシャルコマースやライブビデオプラットフォームなどとどう違うのかを理解するための鍵は、当社はピアツーピアプラットフォームではないということだ。インスタグラムやYouTubeのアカウント、eBayアカウントなどのように、誰もがサインアップして当社のツールで販売をはじめられるようなものではない。たとえば、靴を持っている人ならほとんど誰でもストックX(StockX)で販売することができるだろう。我々はB2Cのプラットフォームだ。当社は主に企業と仕事をしているが、我々はそれらの企業をクリエイターと呼ぶ。当社が付加的価値がある、またはクールだと判断した商品を販売する、有名な人、法人、ブランドだからだ。そして、この定義も年々拡大してきた。最初は単に有名なセレブリティやブランドのことだったが、現在では小売業者やプロの再販業者とも仕事をするようになった。そして再販の世界でも、主に数百万ドルの店舗や倉庫を持ち、そこに在庫を抱えている人々と主に仕事をしている」。

米国はいまだ中国に遅れている

「私の考えはこうだ。中国は、モバイルファーストの技術やスーパーアプリにおいて、我々より5〜6年進んでいる。上海のレストランでは、すでにパンデミック前に、WeChat(ウィーチャット)を使用して、レストランのQRコードを使って注文することができた。しかも、単にメニューを見るだけではなく、動的に料理を注文し、支払いを済ませ、店員と一切会話することなく外に出ることができた。しかし、パンデミック後である現在、我々はやっとQRコードで静的なメニューを見られるようになったところだ。我々は依然として後れをとっているのだ。このため、中国における直感的なモバイルファースト技術の使用と採用は、いまだ米国よりはるかに進んでいる。我々米国が追いつくには、あと数年はかかるだろうと考えている」。

[原文:‘There’s only so many really illustrious people out there who put out products’: Ntwrk’s Aaron Levant on expanding the livestream platform beyond its celebrity roots]

CALE GUTHRIE WEISSMAN(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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