有料となった Twitter の認証バッチで相次ぐなりすまし:「突然ガードレールがなくなったような感覚」

DIGIDAY

11月第2週、Twitterにおけるブランドの安全性に関する新たな疑問が表面化した。ユーザーは8ドルを支払うことで「公式ユーザー」としての認証を与えられることになったため、イーライリリーや任天堂などのブランドの公式アカウントを装うユーザーが続出。本来ならブランドが投稿しないような内容を投稿し話題を集めた。

Twitterを取り巻く状況は変わり続けている。

イーロン・マスクのリーダーシップの下、Twitterが今後どうなるか、広告主がどのような役割を担うのかは不確実なままである。

11月第2週、Twitterにおけるブランドの安全性に関する新たな疑問が表面化した。ユーザーは8ドル(約1110円)を支払うことで「公式ユーザー」としての認証を与えられることになったため、イーライリリー(Eli Lilly)や任天堂(Nintendo)などのブランドの公式アカウントを装うユーザーが続出。本来ならブランドが投稿しないような内容を投稿し話題を集めた。

特にイーライリリーにとっては、偽ユーザーによるなりすましへの対応は大きなコストがかかった。有料のユーザー認証機能は一時停止されたが、一部のマーケターはプラットフォームへの支出を一時停止するだけでなく、プラットフォームへの投稿自体を停止し、バレンシアガ(Balenciaga)プレイビル(Playbill)などはアカウントを停止した。

危機対応計画の必要性

キャンベル・イーウォルド(Campbell Ewald)のソーシャルメディア戦略ディレクターであるニック・メイヤー氏は「(状況の変化に)ついて行くのは本当に難しい。全てがめまぐるしく変化している」と述べ、プラットフォームの「予測不可能性」がマーケターを困難な状況に追い込んでいると付け加えた。「私たちが一番助言をしているのは、危機対応計画を立てることだ。実際のところ、(トラブルに)巻き込まれるときは巻き込まれてしまうものだからだ」。

マーケティング担当者や代理店の幹部たちは、突然(安全性を保障する)ガードレールが取り外されたような感覚を持っていると言う。自分のブランドが突然なりすましや、イーライリリーのような問題に巻き込まれていないかを確認するために、Twitterを監視し続けていると述べている。プラットフォームの監視、有料広告や投稿の一時停止を除けば、長期的に何をすべきかは、Twitterからのガイドなしには分からないと、マーケターや代理店の幹部は言う。

メカニズム(Mekanis)のパートナーで最高ソーシャル責任者のブレンダン・ガハン氏は、「Twitterの評判は損なわれている」と述べた。「広告主はこれまで以上にプラットフォーム上での自身の役割を精査している。多くの企業が広告支出や投稿を取り下げたり、一時停止したりしている。この数週間の行動により、ブランドたちはマスクが自分たちの利益を念頭に置いていると信頼し続けることが難しくなった。混乱が起きていることで注意がいろんなところに散ってしまっている。マーケティング担当者の我慢にも限界がある」。

ワールドカップへの変化

Twitterでの騒動はワールドカップの直前に起きた。ワールドカップはTwitter上で人々の話題を集める、数少ない世界的なスポーツイベントのひとつであり、今月後半に開幕した。マーケティング担当者や代理店の幹部によると、ワールドカップに関する話題やソーシャル上でのコメントを生み出すためにTwitterを利用してきたブランドも、現在のTwitterの不確実性を受けてそうすることをためらうかもしれない。とはいえ、そもそもTwitter上でのブランドたちの話題や活動はここ数年あまり活発ではない、と代理店の幹部は指摘している。

「Twitterで大きな存在感を示しているブランドにとっても、Twitterが広告キャンペーンの中心であった時代から数年が過ぎた」とメイヤー氏は述べた。「スーパーボウルで、ブランドたちのやり取りが大きな話題を集めたのは過去の話だ。少し干上がってしまった。クライアントたちは、複数のプラットフォームに焦点を当てるのではなく、数点のプラットフォームに焦点を当てるようになってきている。今回のTwitter騒動は変化を加速させるかもしれない」。

[原文:Marketing Briefing: Twitter brand impersonations cause some marketers to seek crisis response plans

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)


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