9兆6000億円規模のMicrosoftのActivision Blizzard買収を阻止するため当局が反トラスト訴訟を起こす可能性が高いとの報道

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2022年1月18日頃から、「オーバーウォッチ」「Call of Duty」などのゲームを扱うActivision BlizzardにMicrosoftが買収を持ちかけています。大手企業の市場独占になりかねないこの買収について調査しているアメリカ連邦取引委員会(FTC)が、間もなく買収阻止を目的とした反トラスト法訴訟を起こす可能性が高いと報じられました。

Feds likely to challenge Microsoft’s $69 billion Activision takeover – POLITICO
https://www.politico.com/news/2022/11/23/exclusive-feds-likely-to-challenge-microsofts-69-billion-activision-takeover-00070787

FTC likely to file lawsuit to block Microsoft bid for Activision -Politico | Reuters
https://www.reuters.com/markets/deals/ftc-likely-file-lawsuit-block-microsofts-69-bln-bid-activision-politico-2022-11-23/

政治系ニュースサイトのPoliticoによると、Microsoftによる約690億ドル(約9兆6000億円)規模の買収に異議を唱えるべく、FTCが訴訟の準備を進めていると関係者が語ったとのこと。事情に詳しい関係者によると、FTCはまだ訴状の完成には至っておらず、両社の弁護士とも話をしていないようですが、Microsoftのサティア・ナデラCEOやActivision Blizzardのロバート・コティックCEOからの証言録取といった重要な作業の大半は終えているとのことで、早ければ2022年12月にも提訴される可能性があるそうです。

Activision Blizzardは数多くの人気ゲーム開発企業を傘下に収めており、仮にMicrosoftが競合他社にゲームを提供することを拒否した場合、サブスクリプションサービスやゲーム機市場の競争が損なわれると懸念されています。

特にMicrosoftのゲーム機「Xbox」と競合する「PlayStation」開発元のソニーは「この取引はソニーの競争力を損なうだけでなく、消費者にはゲームの選択肢が減り、開発者にはゲームを発表する場所の選択肢がなくなります」と訴えていました。

しかし、Microsoftはこれに対し「ソニーは大型タイトルのCall of Dutyについて懸念しているといっていますが、我が社はこのタイトルをPlayStationでも利用できるようにすることを繰り返し約束しています。このゲームは現在どの定額制サービスでも提供されておらず、将来的にXboxのサービスに追加しても、ソニーに損害を与えることはありません」と反論しています。


FTCの懸念はCall of Dutyにとどまらず、Microsoftが将来的に未発表のタイトルを活用してゲーム事業を強化する可能性を視野に入れ、調査を進めているそうです。

この買収取引に詳しい関係者によると、程度の差こそあれ、Googleもこの取引に反対しているとのこと。Googleは、「MicrosoftがChromeに提供するゲームパスの品質を意図的に低下させており、Activision Blizzardを所有することでそのインセンティブがさらに高まり、最終的にハードウェアの売り上げがMicrosoftに傾き、Googleからも離れてしまう」と主張しているそう。


訴訟となれば、世界最大のテクノロジー企業の力を抑制しようとするFTCにとってこれまでで最大の動きとなるとPoliticoは記しています。Microsoftは1998年にOSとブラウザの抱き合わせ販売を行っている件について大規模な訴訟をFTCに起こされていましたが、結果的にMicrosoft側に有利な条件で和解が成立しています。このため、Politicoは「技術分野の反トラスト法問題の白馬の騎士のような地位を築いてきたMicrosoftにとって、大きな黒星となるのではないでしょうか」と述べました。

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