なぜ素数は螺旋を描くのか?

GIGAZINE
2023年05月06日 08時00分
メモ



一見すると規則性のないように考えられる素数は、任意の観点から結びつけるとまるでらせんを描いているように見えることがあります。数学者のグラント・サンダーソン氏が、こうした性質と数学の魅力を紐付けて解説しています。

3Blue1Brown – Why do prime numbers make these spirals?
https://www.3blue1brown.com/lessons/prime-spirals

ある二次元平面に点を置く場合を考えます。以下の画像において、点(1,1)は原点から角度1ラジアン、距離1の位置にあります。同様に(2,2)(3,3)(4,4)の点も置いていきます。


このように点を増やし続けると次第に螺旋(らせん)状に広がり、「アルキメデスの螺旋」と呼ばれる図形を形作ります。


この図形から素数だけを抜いてみるとこんな感じ。穴の空いた部分が素数ということですが、およそ規則的とは思えません。


しかし、これを大きなスケールで見てみると別のパターンが見えてきます。穴の空いた部分は健在ですが、光の束が4本ずつ分けられているように見えるのです。以下の動画を再生すると、4本の束を強調表示している様子が分かります。

もっと細かく見ると、細かい螺旋は20本の線で構成されており、より大きなスケールで見ると合計280本の線が集まっているように見えます。

ただ、こうした規則性は素数に限った話ではなく、整数だけをピックアップしても同じような線が現れます。しかし、こうした規則性がなぜ生まれるのかというのは謎であり、素数に限って突き詰めると、素数の分布に関する最も重要な定理のひとつ「ディリクレの定理」にたどり着きます。

螺旋をより深く見ていくと、規則性のある数字の並びが1本の線を構成しているのが分かります。1つは6の倍数(6k)で、その次の線は6k+2で、その次は6k+3で、といったように、6という数字が見えてきます。

これは、角度を1ラジアンとした都合上、6ラジアン回転するとほぼ1周したことになるためです。6ラジアンは360度に満たない(約344度)ため、少しずつ点が螺旋を描くように配置されるのです。

サンダーソン氏は、このような形で数学の面白みに触れる意義について「確かに、教科書や講座で学習することで、重要な事実をより集中的に学ぶことができ、つまらない行き止まりがはるかに少なくなります。しかし、これらのトピックを自分で再発見することには特別な意味があります。オイラーのトーシェント関数を定義する前に効果的に再発明したり、連分数について学ぶ前に有理近似について疑問に思い始めたり、ディリクレという名前を聞く前に剰余クラス間で素数がどのように分割されるかを真剣に調べたりしてそれらのトピックを学ぶと、押しつけられた定義としてではなく、親しみやすい友人として見ることができます」と話しました。

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