「 リテールテインメント 」を主軸とする、豪のカルチャーキングスが初の海外店舗をオープン:小売業のスタンダードを刷新

DIGIDAY

ストリートウェアの小売店「カルチャーキングス(Culture Kings)」は11月5日、ラスベガス・ストリップのシーザーズパレスに14,000平方フィート(約1,300平方メートル)もの店舗をオープンした。カルチャーキングスは14年前に豪州で生まれたブランドで、2021年の収益は約2億ドル(約293億円)に達する。新店舗は、実店舗での「リテールテインメント(小売+エンターテインメント)」のアプローチに主軸を置き、体験を重視したものとなっている。

豪州にすでにある同ブランドの店舗を真似したラスベガス店には、ミュージシャン向けのレコーディングスタジオや、キャップを展示する高さ75フィート(約23メートル)の壁が備えられ、DJパフォーマンスが毎日行われる。店内の「シークレット・ルーム」には、ストリートウェア市場でとても人気が高く、入手困難なアイテムが並ぶ。店内にはほかにもアーケードゲームや、バスケットボールのシャープシューターに挑戦できるハーフコートが設置されている。

「シークレット・ルームは、昨年オークランド店に初めて設置した比較的新しい機能で、ラスベガス店は導入2店舗目になる」と語るのは、カルチャーキングスの共同設立者兼COOであるターニー・ビアード氏。「シークレット・ルームでは他店舗やオンラインでは入手できない、一点ものの限定商品を扱っている。入室にはパスコードが必要で、まず鏡張りの部屋に通された後、シークレット・ルームに入ることができる」。

同ブランドの全店舗には「ザ・ヴォールト(The Vault)」と呼ばれる、プレミアムジュエリーを扱うスペースも用意されている。

小売業のスタンダードを刷新

多くのブランドがメタバースに参入し、店内のデジタル体験に力を入れるなど、没入感のあるアプローチが小売業では一般的になってきている。しかしストリートウェアの小売業は、依然として後れを取っている。

「米国で1号店を華々しくオープンさせ、舞台を作ることは、常に私たちの目標だった」と、カルチャーキングスの設立者兼CEOであるサイモン・ビアード氏は述べる。「この店舗で、小売業のスタンダードを刷新したかった。商品が少ない小さな店舗からわずか20分の距離に、同じような品ぞろえの店舗をもうひとつ構え、店員が一人そこで働いているというのは理にかなっていない。小売業のビジネスモデルは、そのように破綻していると常々感じていた」。

カルチャーキングスのコアな顧客基盤はZ世代とミレニアル世代で、男性客と女性客はちょうど半分ずつだ。常連客にはドレイク氏、エイサップ・ロッキー氏、ケラーニ氏などの有名人が名を連ねる。豪州ゴールド・コーストにひとつめの店を開き、それ以降は年に1店舗ほどのペースで新店舗をオープンし続けている。2021年9月に上場を果たすまでは、自己資金で経営してきた。

「私たちの顧客は毎週末買い物に行くわけではない。しかし店舗体験によって正しい心理状態になれば、彼らは活発化する」とサイモン・ビアード氏。「そのような瞬間が訪れるように、私たちは店舗をデザインした。私たちのターゲット層は若い男性で、ラスベガスは彼らが21歳の誕生日やバチェラーパーティー(新郎とその友人による独身最後のパーティー)、コンベンションなど、通過儀礼として訪れる場所だと私は考えている。彼らがその舞台の上で熱中し、真のブランド体験を実感してもらい、その後はオンラインビジネスで売上を立てていきたい」。

価値を創造することを重視

店舗には、カレ(Carré)、ゴートクルー(GOAT Crew)、セントモルタ(Saint Morta)など18以上の世界的なブランドとカルチャーキングスとのコラボレーション商品が揃う。また、60以上のブランドの限定商品も扱う。

「これらの素晴らしいブランドのおかげで、もっと大御所のスニーカー小売業の一部は、今まで容易に事業を行うことができていた」とサイモン・ビアード氏。「スニーカーをただ棚に並べて販売するだけでも成り立ったため、バリューチェーンのなかで価値を創造する能力を高めてこなかった。だが、私たちは、どのような靴が配分されても、ブランドに大きな価値をもたらすべく邁進することに常にフォーカスしてきた。現状に安住したいとは考えていない。価値を生み出さないと、ブランドは消費者に直接靴を販売するようになってしまうのだから」。

同社は体験型の店舗を、さらに米国主要都市にオープンする予定でいるが、両氏とも詳細は明かさなかった。

報道によると、カルチャーキングスやファストファッションブランドのプリンセスポリー(Princess Polly)、レブドールズ(RebDolls)を所有するブランドアクセラレーター「A.k.a.ブランズ(A.k.a. Brands)」は2021年9月、IPOで1億1,000万ドル(約160億円)を調達したという。当初の計画は1,390万株を1株あたり17~19ドル(約2,475~2,766円)で売る予定だったが、前週の市場のパフォーマンスを受けて、1,000万株を1株当たり11ドル(約1,600円)に引き下げて設定した。

[原文:Exclusive: Streetwear retailer Culture Kings opens first international store in Las Vegas

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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