メール、SMSマーケティングを洗練させる大麻ブランド:「少なくとも、15万人の消費者と直接対話できる」

DIGIDAY

フロリダ州を拠点とする大麻企業フルーエント(Fluent)は、メールマーケティングを着実に強化し、騒々しくなる一方のデジタル環境で、買い物客と直接やりとりするコミュニケーション手段を構築しつつある。

大麻を合法化した2018年農業法により、大麻規制は緩くなった。だが、FacebookTwitterGoogle傘下のYouTubeのようなソーシャルメディアプラットフォームでは、大麻の広告にまだ制限が課されており、フルーエントのような大麻ブランドにとって、デジタル広告は不透明感が漂う。

インフルエンサーマーケティングを通じて次善の策を見いだした大麻ブランドもあるが、クリエイティブディレクターのオス・グラツィアーニ氏によると、フルーエントは代わりに、メール戦略へと方向転換し、支出を前年比で25%増やしたという。現在フルーエントのメールおよびSMSマーケティング向け予算は、年に約35万ドル(約4180万円)だ、とグラツィアーニ氏は付け加えた。そのうち約20%をメールマーケティングに充て、残りの予算はSMSマーケティングに回しているという。

いかにメールに価値を持たせるか

「メールに回帰しようと決めたのは、少なくとも、消費者と直接対話できるからだ」とグラツィアーニ氏はいう。「我々は毎日メールを待っている顧客の素晴らしいデータベースを構築した。彼らはそのメールにある程度の価値があるとわかっていたのだ」

この3年間、フルーエントはメール戦略を採用し、毎年、メールマーケティングに25%以上支出してきたことにより、今では、ブランドの主要なリテンションツールになっている。最近は、テキストメッセージによるマーケティングも組み合わせ、そうした取り組みのなかでセグメンテーションのテストを行っている、とグラツィアーニ氏は語る。収集した情報のおかげで、フルーエントは、マーケティング戦略と製品戦略を打ち出せたという。

現在、フルーエントは、メールやテキストメッセージを週に10~14通送り、同ブランドの小売店を訪れた時に登録する顧客には、平均で日に1~2通のメールを送信している、とグラツィアーニ氏は話す。同氏によると、着手して以来メールリストは2000件から15万件へと増加したという。

「開封率とエンゲージメントに注目しており、メールに価値を持たせることがすべてだということが明確になった」とグラツィアーニ氏は述べ、フルーエントのマーケティングメールには、割引情報、新製品の発売、会社による発表が含まれていると付け加えた。

フルーエントにとって、メールおよびSMSマーケティングは、顧客のリテンションとブランドの認知度アップに役立つ費用対効率の高いツールとなってきた。グラツィアーニ氏によると、テキストメッセージによるキャンペーンにより、売上は、このキャンペーンを実施しなかった日と比べて20%増の場合もある。

ファーストパーティデータ戦略として理にかなっている

カンター(Kantar)によると、2021年のメディアに対するフルーエントの支出額は、2020年の2655ドル(約32万円)から大幅に増加し、2万2000ドル(約263万円)を超えたという。2019年には、フルーエントのメディアに対する支出額は2万5000ドル(約300万円)だった、とカンターは報じている。なお、カンターが追跡していないため、それらの数字にソーシャルメディアは含まれていない。

メールマーケティングは依然として、ブランドと顧客のあいだの不変のコミュニケーションチャネルであるが、iOS15において実施されたようなデータプライバシー対策は、サードパーティのデータソースからメールを受信しているブランドの場合、メールマーケティングに「とどめの一撃」になった、と広告の専門家は指摘する。

だが、マーケティングエージェンシー、EGCグループ(EGC Group)でプレジデントを務めるニコール・ペン氏によると、フルーエントのようにファーストパーティデータに依存してメール登録者リストを作成しているブランドの場合、メールマーケティングは理にかなっているという。

「メールやSMSなら、ブランドがファーストパーティデータを頼れる。消費者について入手可能なパーソナライズされた情報が多いほど、良い」とペン氏はメールに書いている。

だが、ペン氏は、広告主に対して、注意を払ってデータと受信箱を扱うよう警告している。「(自身のブランドは)受信箱にある唯一のブランドではない(60または70のブランドのうちのひとつと思われる)。役に立たなかったり、記憶に残らなかったりするコンテンツや体験で過度に頻繁にやりとりすれば、オプトアウトされる可能性がある」。

「挑戦し甲斐があるハードル」

デジタル広告分野が依然として大麻反対であるなかで、フルーエントは、ソーシャルメディアだけをブランディングの機会として利用し、メールおよびテキストメッセージによるマーケティング活動を継続する計画だ。

「可能な時に、ソーシャルメディアを利用する準備ができているのは確かだ。今のところ、非常に挑戦し甲斐があるハードルのように感じられる」とグラツィアーニ氏は語った。

[原文:Inside Fluent cannabis company’s email and SMS marketing strategy to grow first-party data

Kimeko McCoy(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:分島翔平)

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