蒲焼こう(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

以前見たテレビで、タモリさんが酒の肴として「ちくわの蒲焼」を紹介していた。ちくわをそれっぽく切って、タレをつけて蒲焼にしたもの。貧乏時代にそれを「うなぎの蒲焼だ~」と言って食べていたそうである。

あれはいったいどんな味がするのだろう。以来、作ってみたく思っていた。

また、同じく魚からできた練り物なら、うなぎの蒲焼っぽくなるのではないだろうか。
そんなわけで、練り物を片っ端から「蒲焼いて」みることにした。
お金のない日にうなぎが食べたくなっても、もうこれで大丈夫だ!

2007年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:マンガのようなバッティングをしたい(デジタルリマスター)

> 個人サイト 妄想工作所

練り物しばりじゃなかったのか

スーパーで、いわゆる「練り物」の棚をあさり、以下の食材を調達してきた。順に見ていこう。

RIMG2588_photos_v2_x2.jpg
あきらかに練り物じゃないものが、でかでかと混じっているね。
RIMG2589_photos_v2_x2.jpg
原材料:魚肉・でんぷん・卵白他
RIMG2590_photos_v2_x2.jpg
原材料: 魚肉・でんぷん・豚脂肪他
RIMG2591_photos_v2_x2.jpg
原材料:小麦粉・食塩
RIMG2592_photos_v2_x2.jpg
原材料: 魚肉・卵白・やまいも他
RIMG2593_photos_v2_x2.jpg
原材料:魚肉・でんぷん他
RIMG2594_photos_v2_x2.jpg
原材料:魚肉・でんぷん・卵白他
RIMG2595_photos_v2_x2.jpg
原材料: 魚肉・卵白他
RIMG2596_photos_v2_x2.jpg
原材料:小麦粉・食塩他

練り物というのは、魚肉に何の種類の魚を使っているかでバリエーションはあるものの、原材料に大きな違いはないようだ。

すみません、しらっと小麦粉モノを混ぜていました。そう、ちくわぶと平打ちうどん。

「細長きゃいいだろ」という、厳格な判断のもと、選定した食材である。

さて、テレビの記憶を頼りに、ちくわなどを「さばいて」いこう。うちのは全部 活きがいいよ!

RIMG2600_photos_v2_x2.jpg
へぃらっしゃい!
RIMG2603_photos_v2_x2.jpg
何らかの切り込みを入れていたと思う。ハモの骨切りみたいになったがまあいいだろう。
RIMG2604_photos_v2_x2.jpg
なるとを縦に切る喜び!
RIMG2605_photos_v2_x2.jpg
食いだおれ人形の服を思い出す。
RIMG2608_photos_v2_x2.jpg
うなぎの厚さにいちおう合わせる、という考え。

全部を背開きにして、いよいよタレつけて蒲焼である。いったいこれに背があるのか、という問題はこの際どうでもいい。

くどいようだが、うなぎの代わりになるものがあれば!だって買って帰っても高いんですもの、うなぎ!

RIMG2612_photos_v2_x2.jpg
肩寄せ合って運命にうち震える練り物ら。
いったん広告です

うっすらとうなぎに見えてきた

さて買ってきた「蒲焼のたれ」で、カバカバ焼いてみたい。タレには単に「蒲焼」と書いてあるだけなので、これを魚肉ソーセージにつけて焼いたって全くかまわないらしいのだ。

RIMG2613_photos_v2_x2.jpg
3本も買ってしまいました。どれだけ塗りたくって焼くのか。

魚焼き網を十分熱して、まずは材料を空焼きする。うなぎの蒲焼で検索したら、そういう焼き方があったからだ。なるべく「うなぎ」の場合にのっとって焼いてみたい。

RIMG2615_photos_v2_x2.jpg
焼き色がついてきた。頼むぞ。
RIMG2618_photos_v2_x2.jpg
刷毛を買い忘れたのでスプーンで。なんと味気ないことか。
RIMG2620_photos_v2_x2.jpg
お!うなぎ!(まぼろし)
RIMG2621_photos_v2_x2.jpg
落ちたタレが焦げていい感じに!うなぎ!(妄想)
RIMG2622_photos_v2_x2.jpg
きょとんとしているが。
RIMG2624_photos_v2_x2.jpg
なぜかプクッと膨れてきた。うなぎ!(空想)
RIMG2628_photos_v2_x2.jpg
そして全部焼いたのがこちら。カルビのようでもある。カルビ!(幻覚)
いったん広告です

以下、まったくもって茶色い写真がずらずら続くわけだが、それでもひとつひとつ味見の結果を見ていくことにしよう。知人にも加わってもらい、食べ比べてみたのが下の結果だ。

ちなみに星の評価は、5つで「あんた、うなぎそのもの」、1つで「蒲焼じゃなかったらこんなとこにおまえはいられないんだよ」をあらわします(相対評価)。

RIMG2630_photos_v2_x2.jpg
はんぺん。やわらかさがもっともうなぎ寄り。
うなぎ度:★★★
RIMG2631_photos_v2_x2.jpg
すじ。味がもっともうなぎ寄り。
うなぎ度:★★★★
RIMG2632_photos_v2_x2.jpg
うどん。なんだかかわいそうなことをした気がするが、嫌いじゃないぜ。
うなぎ度:★★
RIMG2633_photos_v2_x2.jpg
かまぼこ。最初は「何かの蒲焼!」と思えたがやはり核心は「かまぼこ」だった。
うなぎ度:★★
RIMG2634_photos_v2_x2.jpg
ちくわ。ほぼかまぼこに同じ感想。ちくわはちくわな気がする。
うなぎ度:★★
RIMG2635_photos_v2_x2.jpg
ちくわぶ。「きりたんぽ」や「五平餅」の感覚に近い。こいつも嫌いじゃないぜと来た。
うなぎ度:★★
RIMG2636_photos_v2_x2.jpg
なると。ちくわ・かまぼこと根底は同じ食感と味。ストライプで健闘したのだが・・・。
うなぎ度:★
RIMG2637_photos_v2_x2.jpg
魚肉ソーセージってすごいと思った。蒲焼にしても「魚肉ソーセージ」の矜持を持っていたからだ。
うなぎ度:★
いったん広告です

はっきり申しまして、あのタレをつけて焼けば第1次味覚はほぼ同じなのである。
そこから食べ進むにつれて、食感やら、素材そのものの味が第2次的に出てくるわけですね。

そんな中から、もっともうなぎに近づいたものを発表します。

すじ! 

RIMG2642_photos_v2_x2.jpg
味はいちばんうなぎに近かった。荒々しいすり身が功を奏したか。

はんぺん!

RIMG2645_photos_v2_x2.jpg
やわらかさはいちばんうなぎに近かった。すじと合わせれば「うなぎ」を名乗ることを許す。どうやって合わすかは各自考えてください。

審査員特別賞・魚肉ソーセージ!

RIMG2641_photos_v2_x2.jpg
「これはこれであり」とは知人談。蒲焼にも屈しないギョニソーの底力を思い知らされました。

アイデア賞・うどん!

RIMG2638_photos_v2_x2.jpg
どこが「アイデア」かは置いといて、こういうのが晩御飯に出てきても私は母を恨みません、という感じ。おやつにもグー。

けっきょく、ちくわの蒲焼をうなぎに見立てるあては外れてしまったが、もしかしたら本物のように、いったん蒸したりしてみるといいかもしれない。

目打ちでまな板に固定したり、袋から取り出すときに「おっとっと」とつかみ損ねたりするともっといいかもしれない。

Source

タイトルとURLをコピーしました