TikTok、Amazonプライムデーの売上をけん引する存在に:「オーディエンスが極めて適している」

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

Amazonの今年2回目のプライムデー(Prime Day)に向け、プレバイオティック炭酸飲料ブランドのポッピー(Poppi)はトラフィックの増加に期待してTikTokの投稿を作成した。

ポッピーはこのTikTok動画で、プレバイオティック飲料のことをはじめて知った場所について動画にコメントすると、プライムアーリーアクセスセール(Prime Early Access Sale)の記念として、同社のブランド付き冷蔵庫が当たるチャンスがあると呼びかけた。また、イベント期間中はAmazonでポピーの商品が30%オフで購入できると視聴者に呼びかけた。

Amazonのプライムアーリーアクセスセールは10月12日に終了したが、ポッピーの戦略は成功したようだ。TikTokの投稿だけでも130万回以上再生され、1万2200以上のコメントが寄せられた。セール後の週末には、健康的な炭酸飲料ブランドである同社のAmazon店舗での売上は、通常の週の3倍に増加すると予測された。

@drinkpoppi Win a fully branded fridge full of poppi. 30% OFF ON AMAZON NOW! #greenscreen #drinkpoppi #amazon ♬ original sound – Poppi

TikTokを経由した顧客獲得

ポッピーの動画は、短いバイラル動画のプラットフォームであるTikTokが、特にセール期間中において、Amazonへのトラフィックを促進するのにいかに重要な存在になっているかを示す一例にすぎない。専門家によると、この変化は、テック大手である同社がアトリビューションのフレームワークを拡張し、ベンダーがTikTokキャンペーンを自分たちのAmazonアカウントに繋げて、コンバージョン率をより的確にトラッキングできるようにしたことにより起こったと語る。ブランドがAmazonマーケットプレイスで販売するのを支援している代理店も、Amazonのプラットフォームは、Amazonでインパクトを生み出したいという小売業者にとって、マーケティング戦略の重要な要素になっていることに同意している。

「TikTokは、このセールで最高の買い物をしたいと考える熱心な視聴者の認知度と検討意欲を高めるものだ」と、ポッピーの創業者で最高ブランド責任者を務めるアリソン・エルスワース氏は米モダンリテールへのメールでの回答に記している。「プライム・アーリーアクセスの投稿に過去最多のコメントが寄せられ、当社のポッピー・カウンタートップ冷蔵庫がファンに人気が高いことを学んだ」と、エルスワース氏は付け加えた。

ポッピーの夏のプライムデーセールは、1週間で100万ドル(約1億4900万円)以上の売上を達成したという。同社の前回のプライムキャンペーンは、おもにTikTokコンテストにより後押しされたもので、500万回以上再生され、メールやSMS、有料広告、コンテンツを含むデジタルマーケティング施策に支えられた。「TikTokはプライムデーがはじまる前から大規模なリーチを提供し、消費者が当社のウェブサイトやAmazonを通してポッピーにエンゲージするように導く重要な要素だった」とエルスワース氏は述べている。

ポッピーのTikTokページのフォロワー数は21万7000ユーザーを超えた。同社がTikTokで得た数十億ものインプレッションから考えて、顧客のかなりの割合と、サブスクリプション会員は、このプラットフォームを通じて獲得したものだ。「大きなショッピングデーには、このような熱心なファンと再度関わり、リピート購入は約2倍に増加した。同時に新しいユーザーの獲得数も約3倍に増加した。これらが合わさり、大きな利益が得られた」と同氏は述べている。

Amazonインフルエンサープログラムの影響

「プライムデーのようなイベントにTikTokが大きな影響を及ぼす理由は、オーディエンスが極めて適しているためだ」と、PCAグループのデジタルマーケティング代理店であるセラ(Sela)で最高マーケティング責任者とマネージングディレクターを務めるブラディ・ドネリー氏は述べる。同社は美容・健康分野の物流とデジタルマーケティングサービスを提供している。「TikTokには消費者がいることがわかっている。そのため、それに適したブランドは、TikTokに予算の大部分を費やすことになる。TikTokが、費やす資金に見合うほどのデータとテクノロジーを保有していないくてもだ」とドネリー氏は付け加えている。

eコマースソフトウェアプロバイダのプロフィテロ(Profitero)でマーケティングインサイト担当副社長を務めるアンドリュー・パール氏によると、TikTokがAmazonに影響を及ぼすおもな方法は、2017年に開始された有料のAmazonインフルエンサープログラム(Amazon Influencer Program)によるものだ。Amazonインフルエンサープログラムによって、クリエイターはTikTokなどのソーシャルチャネルで商品を宣伝することや、Amazonストアフロント(Amazon Storefronts)を作成することで報酬を得られるようになる。今年は、クリエイターが特定のAmazon商品やキャンペーンを自分のオーディエンスに紹介するなど、クリエイターたちは夏のプライムデーのプロモーションにおいて不可欠な存在となった

「今回と7月のプライムデーにおいて、TikTokユーザーはこれらの動画を見て、TikTokから直接リンクを使用して、AmazonアプリでインフルエンサーのAmazonストアフロントに移動する。これによって、TikTokから直接Amazonプライムデーのショッピングに移動できる。これはすべてのインフルエンサーに共通するもののようだ」と、パール氏は説明する。

パール氏によると、一部のブランドはAmazonのページで商品名に「TikTok」というフレーズを入れはじめるほどになっており、その一例として、LEDライトストリップの色変更キットを挙げている。

さまざまな高級美容ブランドのAmazon販売を管理するスーパーオーディナリー(SuperOrdinary)は、「#tiktokmademebuyit」が、Z世代のTikTokオーディエンスをAmazonの買い物客に変えるのに役立っていると語る。tiktokmademybuyitというハッシュタグはTikTokで255億回以上も再生されており、各ブランドやインフルエンサーが、新しい商品の説明や紹介を行うさまざまなTikTok動画に使用されている。ベーヘ(Vehhe)ブランドの充電式キャンドルライターや、プズマグ(Puzmug)のオイルスプレーディスペンサーなど多種多様な商品が、このハッシュタグの動画で紹介された後、トレンド入りしている。

スーパーオーディナリーのクライアントサービス担当バイスプレジデントを務めるアマンダ・ゴードン・ヒンショー氏は次のように述べている。「特にプライムデーでは、一部のトップクリエイターが、Amazonで販売されている自身のお気に入り商品をどのように使用しているかを語るコンテンツをいくつも投稿しているのが見られた。これらの動画は、高いコンバージョンと収益を生み出す商品でコミッションを獲得するために、アフィリエイトリンクによってクリエイター自身のストアフロントにリンクしている。このようなクリエイター、売り手、ブランドの関与は、結果的にすべての関係者の利益になる」。

インフレ下での実施

TikTokで買い物をしたのか、ほかのソーシャルチャネルで買ったのかにかかわらず、この2回目のプライムデーでは、インフレが心にのしかかっているなか、人々がより大きな割引を探し求めたようだ。

ポッピーのエルスワース氏は、買い物客がこのプライム・アーリーアクセス・セールにおいて、Amazonが普段推奨するものよりもさらにお買い得な、大幅割引を探していたと語る。Amazonはプライムデーのクーポンで最小20%の割引を行うことを勧めている。これに対してポッピーは30%の割引を行った。

「標準の10〜20%の割引と、さらに大幅な割引では、買い物客のエンゲージメントとコンバージョンへの意欲がまったく異なる。ポッピーでは、30%オフのクーポンに特典をつけることで効果を発揮している」と、エルスワース氏は述べる。

ピースアウトに聞く、アマゾン戦略に関する3つの質問

D2Cスキンケアブランドのピースアウト(Peace Out)が、2月にAmazonのマーケットプレイスで販売をはじめた目的は、同ブランドのニキビ用パッチ、毛穴パック、セラムを無許可で販売している再販業者による収益減少に対抗するためだった。

同社は 2月に同プラットフォームに参入して以来、200以上の無許可転売業者を排除し、無許可転売業者対策に成功している。しかし、それ以上に重要なのが、同社は6カ月にわたってAmazonのマーケットプレイスで130万ドル(約1億9400万円)以上の商品を販売したことだ。

それに伴い、ピースアウトはAmazon広告(Amazon Ads)を開始し、2022年の残りの期間、Amazonへの支出を倍増させることで、Amazonでのビジネスを加速させることを計画している。また、Amazonでの販売により、セフォラ(Sephora)や自社サイトといった他チャネルとは異なる顧客ベースにアクセスできるようになり、ブランドにとっては新たな顧客インサイトを得ることもできた。

ピースアウトのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるアントン・ランチン氏は、米モダンリテールによるインタビューで、スキンケアブランドである同社が、Amazonでの販売開始以後に学んだ内容について明かした。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮して編集を加えたものである。

――ピースアウトスキンケア(Peace Out Skincare)がAmazonでの販売をはじめたきっかけは何か?

Amazonは最大のオンラインコミュニティであるため、当社のブランドをAmazonのコミュニティに紹介することが重要だった。Amazonは単なるショッピングプラットフォームをはるかに超えたものだ。

これは大きな百貨店のようなものだ。実際に顧客に会い、その習慣を学び、誰が我々に関心を持ち、話しかけ、カウンターに立ち寄ってくれるのかを理解できる。我々にとって、Amazonは知識の源だ。そして、当社は若いブランドとして非常に特別な商品を保有しており、これらの商品は、ある意味では親密な関係で取り扱い、購入されるべきものだ。このような商品をオンラインで購入したい人もいるため、実店舗が必ずしも最良の選択肢であるとは限らない。

――Amazonの消費者はほかのオンラインの買い物客とどこが異なると考えるか?

Amazonの消費者は、第1に極めて視覚的であることを好む。第2に商品の性能について、ごく短く簡潔な動画形式で見ることを好む。これらの消費者は、商品がどのように機能するか、誰かが実際に使っているところを見て、どのように製品を使い、どのような結果を期待できるのかを理解したいと思っている。

Amazonでは、当社とほかのブランドを比較し、自分の目で確認できる。Amazonの消費者はとても現実的だ。多くのブランド、サービス、広告が秒ごとに入れ替わるのを見ている。このため、これらの消費者は非常に知識があり、Amazonで見つかるものすべてを知っている。

――これまでで最大の学びは何か?

Amazonの買い物客は静止画のみを見ることを好まず、動画を好む。彼らは、動画コンテンツを通して学んでいるのだ。

そのため、当社のコンテンツはAmazonのコミュニティに合わせてカスタマイズするべきだ。すべての商品ページには必ず動画のプレゼンテーションを含める必要がある。これは、当社が現在めざしていることだ。今月は、Amazonのキャンペーンを撮影している。創業者のエンリコ・フレッサがどのようにブランドを設立したのか、創業者のストーリーを一部紹介するものだ。

[原文:Amazon Briefing: TikTok is now a big driver for Prime Day sales]

VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Poppi

Source