オムニコム、 カンヌで ウォルマート との提携を発表:エージェンシーもeコマースの取り組みを強化

DIGIDAY

メディア業界ではeコマースはまだホットな話題にはなっていないとでも言うかのように、オムニコム(Omnicom)は、6月20日~24日にフランスで開催されたカンヌライオンズで、大手小売業者とのeコマース関連の提携を発表した。

オムニコム・メディア・グループ(Omnicom Media Group:以下、OMG)とウォルマート・コネクト(Walmart Connect)の提携は、ウォルマートのDSP(デマンドサイドプラットフォーム)とオムニコムのネットワークのあいだに2021年秋からある関係を基に構築される

これはデータを中心とした取り組みだが、リテールメディアチャネルの影響力の増大と、eコマースにおけるメディアエージェンシーのフットプリント拡大を反映している。実際、小売企業もエージェンシーも、メディアとマーケティングの激戦区であるこの分野で少しでも優位に立とうとしている。

ウォルマートのデータシグナルを利用可能に

両者の提携の内容について、具体的にはこの合意により、オムニコムのすべてのエージェンシーは同社のマーケティングオーケストレーションプラットフォーム「オムニ(Omni)」上でウォルマートの顧客に対してクロススクリーンプランニングを実行できるようになる。

プランナーはウォルマートのオーディエンスに対して最も効果的なリーチとコスト効率を持つドメイン、アプリ、スクリーンを特定できる。オムニID(Omni ID)を用いて、広告主のファーストパーティデータをウォルマートDSPにプッシュし、そこでウォルマートのオーディエンスと組み合わせることができる。

ウォルマートの最高売上責任者(CRO)、セス・ダレール氏は、ウォルマートが持株会社と締結した最初のパートナーシップだと説明する。「オムニコムには、ウォルマートと関わりのない顧客やクライアントのグループがあり、ウォルマートで買い物をする消費者から得たデータシグナルを、(フォルクスワーゲンなど)オムニコムの自動車関連クライアント向けの広告やメディア投資に応用する機会がある」とダレール氏は述べる。

「ウォルマートにとっても有意義な協働ができる領域」

OMGの最高アクティベーション責任者を務めるミーガン・パリュウカ氏は、「ウォルマート、トレードデスクAPIへのアクセスが可能になることで、カスタム入札最適化やサプライパス最適化ができるようになる」と述べる。

「クライアントのファーストパーティデータをオムニID経由でウォルマートDSPにプッシュし、適切なインベントリーパスを計画し、それを実行することができる。ウォルマートが当社のプランニング機能の一部を担っていることは、CPG広告主にとって大きな利益となる。これは非エンデミックな商品にとって特に強力だ。ウォルマートのデータを使用して、店舗での測定ではなく、他の成果に向けて最適化することができるからだ」。

この提携の副産物のひとつは、4700店あるウォルマートの店内TVネットワークにオムニコムのプログラマティックOOHをつなげるようになることだ。

「これは我々にとってイノベーションとなる領域であり、本当に面白い展開が期待できる」とダレール氏は語る。「オムニコムはプログラマティック屋外広告の分野を常にリードしてきた。だから、これは本当に面白いと思うし、我々にとって有意義な協働ができる領域だ」。

オムニコム全体でeコマースの取り組みを強化

ウォルマートとの提携は、持株会社全体でeコマースの取り組みを強化・調整するオムニコム全体の取り組みの一環だ。商取引を成功させるためには、他者が何をしているかを全員が把握する必要があるため、これはどうしても必要な動きとなる。フランク・コケナッシュ氏が今年3月、グループ本社のeコマース担当CEOとして採用された理由もここにある。

「メディアとコマースの交差に利害関係を持つのはオムニコムだけではない」と、フォレスター(Forrester)のバイスプレジデントでエージェンシーアナリストのジェイ・パティシャル氏はいう。「これは同業他社との競争で優位に立つための動きだ」。

オムニコムは、6月中にほかの小売メディアプラットフォームやパートナーとの戦略的な発表を行う予定であり、DIGIDAYではそれを伝える予定だ。

[原文:Omnicom strikes pact with Walmart, first of several e-commerce moves by the media group at Cannes Lions

Michael Bürgi(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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