デジタル動画 戦略で注目される、これからの「検索」:Z世代にとってTikTokは新たな検索エンジンに

DIGIDAY

YouTubeは、市場最大のデジタル動画プラットフォームであるだけでなく、世界第2位の検索エンジンでもある。しかし、YouTube以外のクリエーターやパブリッシャーの動画戦略において、YouTubeほど「検索」が大きな役割を担っていないのが現状だ。しかしいま、この状況に変化の兆しが見えている。

TikTokはレコメンドコンテンツのアルゴリズムに定評があり、その検索機能性の高さで注目を浴びたばかりだ。Googleの役員が7月13日に開催された業界のイベントで述べた話によると、全米の18歳から24歳の40%近くが、Google検索やGoogleマップの代わりにTikTokやインスタグラムを検索エンジンとして利用しているという。

一方のピンタレスト(スクラップブックサイトであり、画像検索エンジンでもある)は、もっぱら自社をデジタル動画プラットフォームとして位置付けており、それはその姿勢は変わらない。7月12日には、YouTubeでオリジナル・プログラミングのグローバル統括だったネイディーン・ジルストラ氏の採用を発表しており、同氏はプログラミングおよびオリジナルコンテンツのグローバル統括責任者を務めるという。

オーディエンスの視聴行動に注目

  • Z世代のオーディエンスではTikTokを検索エンジンとして利用する傾向が強く見られる。
  • ピンタレスト(Pinterest)の動画プラットフォームは検索主導のオーディエンスに対応している。
  • リファイナリー29(Refinery 29)やテイストメイド(Tastemade)といったパブリッシャーは、オーディエンスの動画検索で恩恵を得ている。

レコメンドではなく検索主導

検索主導による動画視聴が YouTube以外に広がることは、バイスメディア・グループ(Vice Media Group)のリファイナリー29やテイストメイドのようなショッピングガイドや料理レシピなどの実用的な動画を制作する動画パブリッシャーにとって、歓迎すべきニュースのようだ。こうした動画は、プラットフォームに見られるレコメンド機能に頼るのではなく、オーディエンスが自ら検索して探しだす傾向がある。

「私たちリファイナリー29は、サービスコンテンツに精通している。私たちが目指すのは、行動につながるコンテンツをオーディエンスに届けることだ。これは、ピンタレストが目指す方向性ともぴったり合致する」。リファイナリー29とi-Dでオーディエンス・コンテンツ戦略担当バイスプレジデントを務めるタマール・ライリー氏はそう話す。バイスメディア・グループの広報によると、2022年6月、リファイナリー29のオーディエンスは6100万人に達したという。

もちろん、すべての動画が検索エンジンで調べられるわけではない。しかしだからといって、検索型アプローチがコメディのような一般的なエンタメ分野の動画に適用されないということでもない。たとえば動画にキャプションや説明文を追加すれば、プラットフォームのアルゴリズムに動画の情報がその分多く提供されるので、当該動画か検索結果に表示される確率が高まる可能性があると業界関係者は話す。また、エンタメ動画全般を制作するメディア企業の役員も、「同じ理由により、キャプションファイルのアップロードという観点でFacebookが重要なのは周知の事実だ」と話す。

オーディエンスの動画検索で恩恵

特にピンタレストの動画視聴者は、検索で動画を探す傾向が強いことがわかっている。食と旅を中心に扱うパブリッシャーのテイストメイドは、ピンタレストに4万を超える動画を投稿し、1500万のフォロワーを抱えているが、同社のソーシャルコンテンツの責任者ローレン・アルソ氏によると、ピンタレストのオーディエンスの行動は、「非常に検索中心」であるという。同社の広報はピンタレストの月間視聴者数を公表しなかったものの、平均すると、ピンタレストの月間グローバルアクティブユーザー層の17.5%が、2022年第1四半期では毎月テイストメイドの動画を見ているという。なお、ピンタレストの四半期決算報告書によれば、第1四半期における同社の月間グローバルアクティブユーザー数は4億3300万人である。

ピンタレストの検索型視聴は、レシピ動画のような実用的なコンテンツを中心に提供しているテイストメイドの動画アプローチに役立つだけではない。ほかのプラットフォームで利用するプログラムの作り方のヒントにもなる。「私たちはいつも関心をもって、どのようなコンテンツやテーマ、カテゴリーがピンタレストで取り上げられているのかをチェックしている。その2週間後に、ピンタレスト以外のプラットフォームで取り上げられるであろう未来図を垣間見ることができるのだから」とアルソ氏は話す。

その逆も真なりと言えるだろう。検索エンジンの最適化戦略をすでに構築しているパブリッシャーなら、これまでの見識を利用して、自社サイトにあるテキストベースのコンテンツに検索トラフィックを誘導する方法を考えたり、YouTubeやピンタレスト、TikTokなどで動画を展開する戦略を練ったりすることもできるはずだ。

リファイナリー29のライリー氏は、「Z世代がTikTokを検索エンジンとして活用している様子を見ると、いまこそ、検索データ関連で得た気づきを活用する絶好のチャンスで、もっとチーム内で協力して知恵を絞ればよいと思う。ドットコムのコンテンツだけでなく、SNSも注視すべきだ」と話す。

[原文:Future of TV Briefing: How search stands to play a bigger part in digital video strategies

Tim Peterson(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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