JCペニー 、オンラインクイズで顧客ロイヤルティを向上へ:「より魅力的な方法でブランドとの関わりを深める」

DIGIDAY

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JCペニー(JCPenney)は、来店回数を増やす試みとして、オンラインクイズを使い、顧客が何を望んでいるのかを問いかけている。

百貨店である同社は5月、買い物客に向けたクイズを開始し、顧客のライフスタイルについての好みやショッピングの習慣などについて質問している。顧客がクイズを完了するとリワードポイントがもらえ、特定の数量に達すると買い物に使用できる。同社はこれまでに3つのクイズを開始し、今年中にさらに3つのクイズを計画している。

来店者数が減少するなかで

2020年12月に連邦破産法第11章の適用を脱し、再建を終えた同社は、オンラインクイズを使って熱心な顧客ベースの来店を促進するための手段を講じている。同社は、ゼロパーティーデータ企業のジェビット(Jebbit)と共同でこれらのパズルを作成しているという。JCペニーにメールアドレスを提供した買い物客にクイズを送信することで、同社はすでに同ブランドで買い物をすることを好んでいる顧客について、カスタマイズしたマーケティング活動を行うことができる。

JCペニーでロイヤルティのシニアマーケティングプロジェクトマネージャーを務めるデビィ・スタンフォード氏は次のように述べている。「このクイズの目的は、顧客のトランザクションの行動から学べるということにとどまらず、顧客から直接学べるということだ。トランザクションを通じて常にこのような種類の属性を把握できるとは限らない」。

同社は今年度、2021年に比べて10%増の90億ドル(約1兆3100億円)の収益を見込んでいる。しかし、来店者の動向を分析する企業であるプレイサー・エーアイ(Placer.ai)によれば、同社の訪問客数は2019年と比較して7月には28.8%、6月には35%減少した。JCペニーは何人の利用者にオンラインクイズを送付したのか明かしていないが、同社にメールアドレスを提供した利用者の大部分がリワード会員だと語った。また同社は、アクティブなリワード会員の数が2400万人を超えているとも語った。

スタンフォード氏は、同社には季節限定のクイズと、いつでも受けられる「常設」のクイズの両方があると語る。これまでのところ、80%以上の完答率を誇るクイズもあるという。

ゼロパーティーデータの取得

同社は、クイズから得られたデータを、メッセージやコンテンツに反映させているという。たとえば新学期についての季節限定のクイズは、親が子どもの望むスタイルを見つけることを目的としたもので、2万2600回以上閲覧された。同社のこのクイズは7月から8月まで利用可能で、楽しい質問と役に立つ質問を混ぜて利用者に問いかけ、利用者が価格をどの程度気にするかを測定するものだ。

スタンフォード氏は次のように述べている。「当社は確実に、メッセージとコンテンツに影響を与え、買い物客の関心事に対してより直接的に語りかけることができた。これは、メッセージ、品揃え、コンテンツなど来年の新学期に向けて計画を立てる際に役立つだろう」。

またJCペニーでは、買い物客が自分のスキンケアの最大の悩みを解決するような製品を発見できる美容に関するクイズも用意している。このクイズでは、どのようなスキンケアの悩みを解決したいのか、どのようなタイプの商品に興味があるのかなどを質問する。買い物客が抱えるスキンケアの悩みの上位を知った同社は9月、さまざまな商品をバーチャルで試せるツールや、AIによるスキンケアアドバイザーツールの運用を開始した。

ベラルディ・ウォン(Belardi Wong)でデジタル戦略および統合マーケティング担当バイスプレジデントを務めるカラー・マーフィー氏は、Appleのトラッキング防止のアップデートや、サードパーティー製クッキーの運用終了が迫っていることから、ゼロパーティーデータ、すなわち消費者が自発的に提供したデータの獲得は、近年の小売業者にとってさらに重要性が増していると語っている。顧客から直接手に入れたデータがなければ、顧客のショッピング体験をパーソナライズ化することはさらに難しくなる。

ブランドへの関与を促す

このような事情から、いくつかの小売業者はデータの価値下落に対処するため独自のオンラインクイズを開始することになった。たとえば、D2Cブランドのドーラッシェズ(Doe Lashes)にはラッシュ(まつ毛)クイズがあり、顧客に送信するメールをカスタマイズし、商品化の意思決定に役立てることができるようにしている。

「オンラインクイズにより、顧客が自分自身についての情報を提供し、顧客が興味を持つ方法で回答し、ブランドに関与することが可能になる」と、マーフィー氏は述べている。

ただし、データの収集は最初のステップに過ぎず、その洞察を小売業者の戦略に反映させることが、オンラインクイズに関する小売業者の最大の課題のひとつだと同氏は語る。さらに、小売業者はそれらのクイズが興味を引くものでありながら、人々の注意をショッピングからそらさないよう気を付ける必要がある。

「具体的な質問とそれにアクションがすでに結び付いているようなクイズは、ブランドや小売業者にとってもっとも効果的で長続きすることがわかっている」と同氏は述べている。

JCペニーのスタンフォード氏は、同社は丸1年分のクイズを計画しており、さらに多くの常設クイズを開始する方法も模索していると語る。また、これらのクイズは顧客獲得ツールとしても利用可能だと同氏は述べている。

同氏は次のように述べている。「多くの人々は、1年のうち特定の時期にJCペニーでショッピングを行うことを考えている。ほかの時期にもJCペニーでのショッピングを考えてもらえるように、当社への関与と認知を維持することが重要だ」。

[原文:How JCPenney is using online quizzes to drive loyalty]

MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Imafe via Jebbit

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