初めての家庭用レーザーカッターと、「焼いた食べ物」バッジづくり

デイリーポータルZ

焼き餃子、制作中。

レーザーカッターとは、レーザー光を使って木や樹脂などの板材を切ったり、焦がして彫刻ができる機材。これが欲しい。今年か来年にはぜひおうちにお迎えしたい、だがお値段がやはりけっこうしますもので、はて手に入れるのはいつのことになるやら、とため息をついていた今日この頃。だがしかし。

このほどクラウドファンディングサイト「kibidango」にて、台湾FLUX社製「Lazervida」がなんともお値打ちな価格でCFスタート。そのサンプル機をお借りしてレビュー記事を書く機会に恵まれたのだ。夢のマシンがついに拙宅に!

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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これが…あの光か…

というわけで、ついにレーザーカッターがやってきた。

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オレンジ色の部品が、これがレーザー機器であることを主張してやまない。

そう、組み立て式である。初めてのレーザーカッターを、自分で組み立てるってんだから。長く生きてるといろいろなことがあるものだ。

動画のチュートリアルをざっと見てだいたいの流れはわかったが、やはり細かいところは文書で追っていきたく、英語のチュートリアルをわざわざ印刷し、翻訳ソフトでページをいちいち撮影して日本語に直し、書かれていることを飲み込みながら、えっちらおっちら、おっかなびっくり組み立てていく。最新ガジェットのレポートとは思えない文章である。

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えっちらおっちら組み立て中。
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プラ製のピンセットも付いてきたがちょっと頼りなかったかな。

サイズが約60cm四方というのは聞いていた。いつものワークテーブルになんとか載せられるかと思ったがギリギリで心もとない。幸いワークテーブルが拡張可能なものなので安心したが、そうでなかったらダイニングテーブルで動かさねばならんところだった。

組み立ての途中、「ここは果たして力尽くでねじ込んでいいところだろうか?」「これ本当にハマるのか?」という箇所がちょいちょいあったが結果オーライだったようだ。このあたり、3Dプリンタなどで経験する「海外製の革新的ガジェットにままある“こまけえこたあいいんだよ”精神」を彷彿とさせる、って本当か。

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ででーん。やっていけば組み上がるものですな(机が汚いのは勘弁して…)。

約40cm四方の大きなワークエリア!そして出力10W!これが10万円以下ですってよアナタ。

ところでご覧のとおりシンプルな作りであるから、操作画面がない。ということはPCとUSBケーブルで直接つないで、PC画面から操作するのである。うちの3DプリンタではUSBメモリでのデータ受け渡しだったので、うっかりしていた。作業部屋にでかいPC運んで接続した、そんな苦労を地味に記しておきたい。そろそろノートPC買おう。

ではさっそく起動してみよう。

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「Swiftray」という専用ソフトを使う。ここは素直に「test」なんて出しちゃおうかな。
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おお、うちで初めてレーザー光線が放たれた瞬間…
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まぁ最初は失敗。さてどんな失敗かな〜?

下のtestは線がガタガタ。デフォルトのスピードで動かしたところ早すぎてこうなったようで、少しスピードを緩めたらうまくいった。本体が軽めな分、アーム動作の振動でズレてしまうのかも。

上のtestは途中で止まってしまった。何度やり直しても止まる。これは端に寄せすぎるとこうなるようで、内側に場所をずらしたら以後いまくいった(※これは今後のアップデートで、事前に警告が出るようになるとのこと)。

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憧れのカッティングも、ほらこのとおり(焦げ具合はいろいろ試す余地ありそう)。
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すみません定番のこんな感じの出力も試しました。うちのわんちゃん。元々黒いので何がなんだか。
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おうち焼き板

うーん、面白い。やっぱりレーザーカッター面白い。もっといろいろ彫刻とか裁断とかしたい。

ところでさっきから、部屋に香ばしい匂いが漂っている。木を焼いた匂いなんだが、なぜか、私の大好きな炙りエンガワのような香り…

そうだ、それなら「焼いた食べ物」の写真を片っぱしから焼き付けて裁断して、焼いた食べ物バッジを作るのはどうか。

ドラえもんの話で、撮影したものをどんどんバッジにしていく素晴らしいカメラがあったけど、これはレーザーで焼いた食べ物をどんどんバッジにする素晴らしい機器なのだ。あっ、ちょっと何か違う気がする。まあいいか。

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いろいろな色味の板を買ってきた。焼いちゃうぞ〜
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こんな焦げ目をつけるぞ〜(この写真はフリー画像から。こんな肉、焼いたことないんで…)
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とりあえず自分のアルバムから餃子をUp。サイズは画面上で自由に変えられる。
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うーん、写真モードだと微妙か?
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今度は切り抜き。画面上で境界線を検出し、実行。
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焦げが広がるのを防ぐため、マステで境界を保護。
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いきなりすごい煙!

いちおう集塵機をかけていたのだが、そこに収まらないくらい煙がブワーッと出てくるので、しかたなく窓を開けて団扇でずーっとあおいでいた。どんな未来だ。

でも木材裁断時の高出力、かつ覆うものも排気ダクトもないオープンな作りの機器ということで、仕方ない、切断時はとにかく窓を開けてあおぐことにしたい。ガレージみたいなところがあれば良いのだけどね…

さて写真からの彫刻は微妙かもしれないので、白黒2階調にして、濃度を調整してやってみる。

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それも画面上で簡単にできてしまいます。
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2階調だし、今度は逆に焦げ目を足すべく、マステせず裁断。そして窓開けてあおぐ。
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薄目で見れば餃子である。

ちょっと意図した仕上がりではないが、餃子が焼けた。なぜか花火のような匂いがするが。

この調子でどんどん焼いていこう。画像は牛タン、ステーキ、ハンバーグ、干物など用意してある。それぞれの地の色に合った板を使って焼こう。

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木材の種類によっては、脂分の影響だろうか、焦げ目も匂いもさまざまである。
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紫檀は彫刻はできるが裁断が全然できなかった。裏までなかなかレーザーが通らない。
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花梨も、引くほど閃光を発したが…
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マステでかばいきれないくらい焦げてしまったので板を変更。これはこれで鉄板焼きっぽいが。

板の色が濃いと焦げやすくなったり裁断できないのかと思い、薄めの色の上記の板でやってみたが、やはり裁断まではできなかった。板の特性をもっと知らないといけませんねこれは。レーザー加工に適した板を今度は選ぶようにしたい。

ちなみにこの機器はデフォルトの設定だとけっこうな出力なので、出力を10%20%と下げながら加工してみたらうまくいった。が、板の種類や厚さによって上記のような結果になったりなど、調整の余地はいろいろありそう。このサンプル機、3ヶ月くらい貸してほしいな。もっといろいろ試してみたい。

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なんとか焼き上がった(裁断できた)食べ物に、ピンを貼り付けてバッジにしていく。
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「焼いたもんバッジ」完成!どれがどれだか、わかるかな。
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居酒屋の定番、ホッケバッジ!
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日本の食卓にはやっぱりこれ、アジの開きバッジ!
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どかっと食べたい、ステーキバッジ!
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これもハンバーグバッジ!だからハンバーグは微妙なんだってば!
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実装してみました。犬が手を出してきて困った(画面左)。

いろいろ試してみたが、焦げ目があるからといってすぐに食べ物そっくりになるかといったら当然ダウトで、単純な階調でも耐えられるほどのわかりやすい形(干物系)、焦げ目のわかりやすさ(網目になってるとか)がポイントだと思う。

でも「食べ物」を単純に木材に焼いていくのは非常に楽しかったので、ぜひ皆さんにも体験していただきたいところである。これつけて秋は焼肉屋やBBQへGOだ。ただし本物の調理のごとく、換気や火元の管理は厳重にネ!

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改めて全貌
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うまく調整するとこんなにきれいに彫刻やカットができるそうです
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アクリルに彫刻してライトと組み合わせるとこんなことも!

まとめ

サンプル機ということで、この原稿を書いている今はもう返却してしまいましたが、早くまたいろいろ使いたい!もともと欲しかったし!ということですでに私買ってしまいました早割で。

記事にも書いたように、良い点や注意すべき点(排気やもろもろの微調整など)もあると思いますが、個人的には入門機のつもりで、なんとかレーザーカッターというものと取り組んでいきたいと思ってます。

【告知1】

10月29日〜11月6日「江古田のまちの芸術祭」にてミニ展示をします。「江古田HUT」というイカすコーヒースタンド店内に所狭しと作品を並べます。ただし土日のみの営業なので、実質29・30と5・6のみの展示ですね。私は初日と最終日にちょこっと顔出します。お店は11時から19時までです。
http://furuto.art.coocan.jp/akusesarypage4.html

【告知2】

以前個展をさせていただいた白金台の東京妙案ギャラリーにて、「愛の秘密工作室」というグループ展に参加します。11年前に大阪で初回でした。今年春には伊豆で2回目、そしてついに東京でやります。11月4日〜13日です。詳細は乙幡のツイッターで追ってお知らせいたします。

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