9月上旬、セレブ創業のビューティブランド、キアラ氏のOAM(「On a Mission」の略)がローンチされた。Glossyポッドキャストの「Week In Review」で取り上げたように消費者はセレブブランドに対して食傷気味である。だが、セレブブランドへの好き嫌いにかかわらず、それらのブランドが話題を集めているのは明らかだ。
Glossy独占のローンチメトリックス(Launchmetrics)の最新データによると、2022年にもっとも話題を集めているセレブ創業のビューティブランドの5つは、上から、リアーナ氏のフェンティビューティ(Fenty Beauty)、カイリー・ジェンナー氏のカイリーコスメティクス(Kylie Cosmetics)、セレーナ・ゴメス氏のレアビューティ(Rare Beauty)、ミリー・ボビー・ブラウン氏のフローレンス・バイ・ミルズ(Florence by Mills)、アリアナ・グランデ氏のR.E.M.ビューティ(R.E.M. Beauty)だ。これらのブランドはメディアへの影響の価値を表すMIVによってランク付けされた。このローンチメトリックス独自の測定は、インフルエンサー、紙メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランドのメディアチャネルの影響を追跡するものである。
Advertisement
ローンチメトリックスのCMO、アリソン・ブリンゲ氏は次のように述べている。「インフルエンサーとセレブリティは、現在のビューティの裏にある推進力だ。VIPはいつも業界と長期にわたり関係を築いてきているが、この数年はセレブが所有するビューティブランドが台頭する傾向が見られ、セレブが持つ大規模なソーシャルフォロワーから多大な恩恵を受けている」。
ローンチメトリックスは、これらの5ブランドについて、またブランド関連の会話を盛り上げたのは誰か、何かについての洞察をGlossyに提供した。
1位:フェンティビューティ
今年の冒頭以来、フェンティビューティはMIVで2億1300万ドル(約304億円)を獲得している。メディアとインフルエンサーの発言はMIV合計にそれぞれ37%と36%貢献して、フェンティに最大の価値をもたらしている。当然ながらリアーナ氏がこのブランドでは最大のボイスである。同氏の今年のソーシャル投稿により、フェンティビューティは合計480万ドル(約6.8億円)のMIVを獲得。ローンチメトリックスによると、リアーナ氏が同ブランドのアフリカへの拡大を発表したインスタグラムの投稿だけで150万ドル(約2.1億円)のMIVが発生した。ミケイラ・ノゲイラ氏のソーシャル投稿はさらに340万ドル(約4.8億円)のMIVをもたらした。それは、ロサンゼルスのアルタビューティ(Ulta Beauty)でのフェンティビューティのローンチを祝い、ノゲイラ氏が妊娠中のリアーナ氏を撮影したTikTokコンテンツだった。
マディソン・ビア氏によるスポンサー付きの1投稿でフェンティはMIVで100万ドル(約1.4億円)を獲得。この投稿はフェンティビューティのプロフィルターファンデーション(Pro Filtr Foundation)の宣伝用に投稿されたシンプルなセルフィーである。
ブリンゲ氏は次のように述べている。「(セレブ創業者とともに)ビューティインフルエンサーは、ビューティ市場に関心を寄せる非常に熱心なオーディエンスのおかげでこれらのブランドのMIVを大幅に推進している。さらに大きなMIVの獲得を目指すセレブ所有ブランドにとっては、創業者だけではなくインフルエンサーコミュニティを活用して消費者との強力な関係を構築することが重要だ」。
最後に、ローンチメトリックスからはフェンティビューティの総MIVのうち1060万ドル(約15億円)が中国のメディアプレイスメントから発生し、そのMIVの93%がソーシャルプレイスメントのみから生じていることが言及された。
2位:カイリーコスメティクス
カイリーコスメティクスが2位にランクイン。1.8万のプレイスメントで1億6400万ドル(約234億円)のMIVを生み出した。インフルエンサーが主導権を握っており、同ブランドのMIVの44%を占めた。カイリー・ジェンナー氏自身のMIVへの貢献は4400万ドル(約63億円)。同氏に続いて、母親のクリス・ジェンナー氏と妹のケンダル・ジェンナー氏が2位と3位を占め、それぞれ500万ドル(約7.1億円)と340万ドル(約4.8億円)のMIVを獲得した。カイリー氏のヌードマットリップグロス6点のローンチを発表したインスタグラム投稿はMIVで170万ドル(約2.4億円)を生み出し、カイリー氏との姉妹コラボレーションを宣伝したケンダル氏による投稿はMIVで150万ドル(約2億円)を集めた。
3位:レアビューティ
フェンティビューティやカイリーコスメティクスと同様に、レアビューティ最大のボイスは創業者のセレーナ・ゴメス氏自身である。レアビューティはMIVで合計1億4400万ドル(約205億円)を生み出しているが、そののうち6000万ドル(約86億円)はインフルエンサーからのもので、ゴメス氏だけで1000万ドル(約14億円)を獲得。「興味深いことにレアビューティ最大の投稿はコールドプレイとセレーナ・ゴメス氏の『Let Somebody Go』のビデオクリップで、これはコールドプレイのYouTubeチャンネルに投稿され、レアビューティが言及されていた。このプレイスメントでレアビューティは170万ドル(約2.4億円)のMIVを獲得。さらにこの曲の異なるバージョンのクリップによってMIVが220万ドル(約3.1億円)になった」ことがローンチメトリックスの洞察で示されている。同ブランドのトップインフルエンサーは、@marialeで知られるマリアレ・マレロ氏。インスタグラムで600万人のフォロワーを抱えるマレロ氏は6つのプレイスメントでレアビューティに200万ドル(約2.9億円)のMIVをもたらした。
4位:フローレンス・バイ・ミルズ
フローレンス・バイ・ミルズは今年MIVで5400万ドル(約77億円)を獲得した。ローンチメトリックスの洞察によると、同ブランドは自社メディアチャネルとセレブのボイスに大きく依存しており、全体のMIVにそれぞれ44%と39%貢献している。これまでのところミリー・ボビー・ブラウン氏はブランドのトップでありMIVで800万ドル(約11億円)を生み出している。同氏によるトッププレイスメントはインスタグラムの1投稿で、そのキャプションには同ブランドの製品を使って「すばやく新鮮な」外見を演出する方法が詳しく説明されていた。これによってMIVで160万ドル(約2.3億円)が生み出された。トップインフルエンサーは41.1万人のフォロワーを抱えるYouTuberのクリスティーX氏で、3つのプレイスメントで61.3万ドル(約8736万円)のMIVをもたらした。もっとも効果があった投稿はYouTubeのショートビデオで、同氏はこのブランドのシューユーネバーコンシーラー(See You Never Concealer)の使い方を実演し、140万回以上視聴された。
5位:R.E.M.ビューティ
最後はアリアナ・グランデ氏のR.E.M.ビューティだ。2021年11月にローンチした同ブランドはこれまでにMIVで5200万ドル(約74億円)を獲得している。前述のブランドと同じように、ブランドの最大のボイスはアリアナ・グランデ氏だ。ローンチメトリックスの洞察によると、グランデ氏は「ブランド所有のメディアチャネルを超えている」という。グランデ氏はMIVで1900万ドル(約27億円)を獲得、一方、R.E.M.ビューティの複数のメディアチャネルはMIVで980万ドル(約14億円)だった。グランデ氏の最大の投稿は、R.E.M.の「チャプター2」ローンチを発表したインスタグラムの1投稿で、MIVで160万ドル(約2.3億円)の価値があった。フェンティビューティの場合と同様に、R.E.M.のインフルエンサー投稿で最高の成果があったものはミケイラ・ノゲイラ氏の投稿。ソーシャルプレイスメントの4投稿で89.2万ドル(約1.3億円)のMIVに達した。
[原文:Launchmetrics x Glossy Research: Fenty Beauty and Rare Beauty among 5 buzziest celeb beauty brands]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)