Google 、パブリッシャーに特定の同意管理プラットフォーム利用を要求

DIGIDAY

Googleは、同社のサイト収益化ツールを利用する欧州拠点のパブリッシャーを対象に新たな方針を策定し、要件を提示した。新方針によるとパブリッシャーは、ユーザーの同意取得にあたり、業界標準のプライバシー保護プロトコル「透明性と同意のフレームワーク」(Transparency Consent Framework:以下TCF)に準拠した同意管理プラットフォーム(Consent Management Platform:以下CMP)のみを利用するよう求められるという。

新方針は、欧州経済領域および英国に本社を置き、AdSense、アドマネージャー(Ad Manager)、AdMobといったGoogle提供の収益化ツールを利用するパブリッシャーに適用される。該当地域では、GDPR(一般データ保護規則)により、広告エコシステムを構成するパブリッシャーとそのパートナー企業に、特定のプライバシー保護プロトコルに準拠した手順が義務づけられている。

新方針はオンライン広告業界の方向性を示唆する?

TCFは欧州IAB(欧州インタラクティブ広告協議会)主導により、オンライン広告業界各社がGDPRを遵守する手段として策定したプロトコルだ。しかしこのプロトコルも、GDPRが2018年に施行されて以来(5月第3週でちょうど5年になる)、紆余曲折を経てきた。

Googleの製品マネジメント担当ディレクターであるピーントゥ・パテル氏は5月第3週に公表した新方針について、TCF 2.2最終化に向けた対応だとし、今後数週間以内にGoogle認定のCMPベンダーを発表すると述べた。

「今回の方針は、オンライン広告業界の方向性を示唆する情報として、変化するユーザーの期待や規制当局の見解を反映して改定した」と同氏はいう。「業界各社も続いて、従来の方針を調整すると見込んでいる」。

Googleはすでに、TCFに準拠した認定CMPベンダーリストの作成を始めている(本稿執筆時には完成していなかった)。Googleの広報担当者によると、このリストはしかるべき手続きを経て、定期的に更新されるという。

「当社は、TCFを利用するパブリッシャーを引き続き支援するとともに、まだGoogleのAdditional Consent specification(追加同意モード技術仕様)経由でTCFに登録していないアドテクベンダーとも連携していく」と同氏は語った。また、CMP認証と取得手続きに関心があるベンダーは、Google CMP Certification Interest Formに必要事項を入力して利用してほしいと投げかけた。

懸念が見え隠れする

米DIGIDAYが取材した専門家によれば今回、必要な手続きは簡単に見えるが、懸念がないわけではないという。たとえば、方針改定にともない追加コストが発生する可能性や、Googleが業界への影響力をさらに強める可能性があるからだ。

デジタルメディア/アドテク分野のコンサルタントであるエミリー・パーマー氏は米DIGIDAYの取材に応え、次のように語った。「もしGoogleが有力CMPベンダーの認証を却下するような事態が起きれば、ただでさえ課題が山積みのパブリッシャーにとっては頭痛の種が増え、CMPベンダー各社にとっては忠告となるだろう」。

加えて、「Googleによる認証の判断基準が何なのか、興味深い」と同氏は述べる。「たとえば、CMPがパブリッシャーとユーザーのデータを利用目的に応じて、保護しているかどうかを判断基準とするのか。Googleとしては法的・倫理的責任を問われずにすむよう、一定の境界線を引いて認証可否を決めているはずだ」。

一方、ライオネス・ストラテジーズ(Lioness Strategies)のジャナ・メロン氏は、Googleの新方針が多くのパブリッシャーにとってコスト増を招く可能性を指摘する。

「方針への準拠は重要ではあるが、パブリッシャーにとっては懸念材料が増すばかりだ」と同氏は語る。「同意取得の仕組みがますます複雑化するなか、この分野に参入するアドテク企業が乱立し、エコシステムが肥大化すれば、プレミアムパブリッシャーにとって望ましくない事態を招きかねない」。

[原文:Google issues mandate requiring publishers to work with approved consent vendors

Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

Source

タイトルとURLをコピーしました