カスタマイズヘアケアブランドのプローズ(Prose)は、8月頭にスタイリングジェルを発表。スタイリング製品を通じて、カーリーヘアの顧客にリーチする機会を切り開いた。
現在、プローズはカールクリームとドライシャンプーを提供しているが、同社CMOのミーガン・ストリーター氏は、D2Cヘアケアブランドである同社としては、ヘアスタイリングの領域に進出する余地があると考えている。さらに、同ブランドの顧客のデモグラフィックは、カーリーヘアの顧客ベースを拡大する機会を示しており、プローズの消費者の70%はタイプIIの髪質、つまりほとんどがストレートとウェーブの髪質だと付け加えた。一般的に、アンドレ・ウォーカーのヘアタイピングシステムによる分類では、カーリーやコイリーの髪の人はタイプⅢとタイプⅣの髪質であり、各カテゴリーでさらにa、b、cのサブカテゴリーに分類される。
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カーリーヘアーのブログ、ナチュラリーカーリー(NaturallyCurly)の2018年テクスチャートレンドレポート(TextureTrends Report)によると、米国の人口の推定65%がカーリー、コイリー、ウェービーの髪質で、テクスチャーのある髪の女性がありのままの髪の質感を受け入れる割合は増加している。プローズの共同創業者でCEOのアルナウド・プラス氏は、同社のアクティブな契約者は25万人で、2022年には1億ドル(約136億円)以上の売上を獲得する見込みだという。
いま重要なのはパーソナライゼーション
プローズはカスタマイズされた製品を作るために、髪質、スタイリングの好み、ライフスタイル、髪の目標などに関する5分間のアンケートを顧客に対して行っている。いまはシャンプー、コンディショナー、ヘアサプリメントなど10種類の製品を販売中だ。同社は2022年から2023年にかけての主要成長分野として、製品の拡大に注力しており、それによって同社はトップラインとボトムラインの売上を伸ばし、全体的な収益性を成長させることができるだろうとプラス氏は述べている。
「個性という意味で、いまとても重要となっているのが、パーソナライゼーションだ。このスタイリング製品によって、従来の型にさほどとらわられず、自由にのびのびと自分らしさを表現し、ありのままの自分になることができる」とストリーター氏は言う。「まさに汎用性が高いのだ」。
この製品は主にカーリーヘアに有効なので、プローズは約5人のスタイリストとカーリーヘア提唱者からなる諮問委員会からフィードバックを得つつ開発を進めた。また同社では、カーリーヘア製品専任の開発者も雇用している。プラス氏によると、製品の処方を決定するアルゴリズムがカーリーヘアやコイリーヘアのタイプによりうまく作用するように、パーソナライゼーションアンケートを微調整したという。
ブランドのパーソナライゼーションレベルは犠牲にしない
プラス氏いわく、売上の80%近くは既存顧客からのものだ。プローズはサプライチェーンのインフレにより、2021年12月に平均4%ほど価格帯を引き上げている。
「新規顧客を獲得する前に目指すべきは、既存顧客をつねに驚かせ、喜ばせること」とプラス氏は話す。「ブランドにとって重要なのは、特に(最初の数年間は)ビジョンを貫き、ブランドを展開させていく方法に一貫性を持たせること。チームやブランドのビジョン、あるいはブランドのパーソナライゼーションレベルを犠牲にすることになる場合、当社はいつも卸売りへの参入を拒否してきた」。
注目すべきは、プローズの競合であるファンクション・オブ・ビューティー(Function of Beauty)が2020年12月にターゲット(Target)との卸売りに参入し、2021年以降はコーウォッシュやそのほかのカーリーヘア製品をリリースして、カーリーヘアの顧客を狙っていることだ。創業7年となるこのブランドは、最近、経営幹部を新たにし、2020年にLキャタルトン(L Catterton)が主導する1億5000万ドル(約200億円)のシリーズBを調達し、10億ドル(約1334億円)評価額を求めたと報じられている。2020年以降、アーバンアルケミー(Urban Alchemy)やストランズ(Strands)といった、そのほかの新しいカスタマイズヘアケアブランドも登場している。
今年最大のローンチとなるスタイリングジェル
プローズはカール・アウトサイド・ザ・ラインズ(Curl Outside the Lines)と名づけた今回のローンチを発表するために、デジタルと屋外でのキャンペーンを展開している。同社は、初のブランドアンバサダーとして、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド(The Walking Dead)」やマーベル映画『エターナルズ(Eternals)』に出演している聴覚障害を持つ米国人俳優ローレン・リドロフ氏とパートナーシップを結んだ。また、スタイリングジェルの汎用性を示すために、3名の異なるカーリーヘアスタイルのモデルも起用している。ストリーター氏によると、今回のキャンペーンのテーマは「エネルギー、表現、大胆な色」で、制作されるコンテンツの約75%が動画だという。同氏は具体的な広告投資については言及を避けたものの、スタイリングジェルは今年最大の製品ローンチだと述べた。
「デジタルペイドメディアへのアプローチ方法を多様化しようとしている。YouTubeのチャンネルでテストを行っているが、これは以前にはやったことがない。また屋外広告も、これまで行ってきたよりも広範囲に展開している」とストリーター氏は語っている。
キャンペーンの成功の主な指標は売上だが、ストリーター氏によれば、プローズではソーシャルメディアの自社チャンネルでのエンゲージメント、売上コンバージョン、キャンペーンの新規顧客獲得能力も検証する。
「(カスタマイズされた)スタイリングは、かなり大きな市場だ」とプラス氏は述べた。「市場の規模は大切だが、ブランドがもたらす有益な点として差別化も重要だ。引き続きこのサブカテゴリーの中で当社は拡大していくと確信している」。
[原文:Approaching $100 million in sales, Prose goes after curly-haired customers]
EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:猿渡さとみ)