ハイブリッドワークの支援ツールが、続々と出現中:「人々は『非同期』な働き方を望んでいる」

DIGIDAY

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パンデミックによるリモート勤務によって引き起こされたワークフローとコミュニケーションにおける突然の変化を、企業は最新のテクノロジー、試行錯誤、あるいはその場しのぎの対策で切り抜けてきた。そのなかで実験的に活用されたのは、物理的に分散した従業員たちを結束させ、生産性を最大化することを約束する新しいプラットフォーム群だ。

そして多くの企業が、今後も広がっていくであろうオンラインとオフィスの両方を活用した「ハイブリッドな非同期な働き方」へと移行しようとするいま、経営者たちは次のテクノロジーオプションを模索している。

彼らが、ハイブリッドワークをサポートするためのインフラを求める理由のひとつは、従業員たちがそれを要求していることにある。クラウド上のコミュニケーションとコラボレーションのプラットフォームである、フューズ(Fuze)が、9000人近いビジネスリーダーと従業員を対象に行った最近の調査によると、彼らの75%がフレキシブルな勤務形態は必須であると答え、65%が長期的に柔軟性が向上させるためには、転職も辞さないと答えた。

さまざまなソリューションが出現

Googleドライブ(Google Drive)やGoogleドキュメント(Google Docs)、Dropbox(ドロップボックス)、Slackといったプロダクトは何年も前から存在しているが、この1年でさらに不可欠なものとなり、現在は、パンデミック後の社会に適合するような調整も施されている。加えて、Googleワークスペース(Workspace)やマイクロソフト(Microsoft)のチームズ(Teams)、Facebookのワークプレース(Workplace)などの最新バージョンも、ハイブリッドな働き方に不可欠なツールとして、自らを位置づけている。もはやテック関連企業であれば、大小を問わず、ハイブリッドなオフィスのニーズに合わせたイノベーションやマーケティングを進めていないところはないだろう。

そんななか、Googleは先ごろ、ワークスペース・フォー・エブリワン(Workspace for Everyone)を発表。これを用いれば、Googleアカウントを持ってる人は誰でも、法人顧客向けの機能を使用することができる。この新機能は、ユーザーがどこからでも会議にアクセスできるようにすることを目的としており、主催者がハイブリッドな会議をスムーズに計画できるよう、カレンダー機能も追加されている。マイクロソフトのチームズも、コラボレーションの幅を拡大している。ズーム(Zoom)では、ビデオ通話に49人を参加させることができるが、現在チームズでは98人が参加できるようになっているのだ。同社はまた、アウトルック(Outlook)に新たな設定を追加し、会議中の疲労を軽減するため、短い休憩を設定できるようにした。

ほかのプラットフォーム勢も、ハイブリッド業務を容易にしたいという企業のニーズから恩恵を受けている。たとえばドーナツ(Donut)は、Slack内でチームメイトを引き合わせ、従業員同士の仲間意識やコラボレーションを構築するための、さまざまなプログラムを提供している。これまで、アクシオス(Axios)やNetflixをはじめ、1万5000社以上が同社のサービスを採用しているという。同様に、チームズに搭載されているアイスブレーカー(Icebreaker)のボットは、毎週チームメンバーからペアを選び、ふたりでランチをしたり、コーヒー休憩を一緒に取るといったアクションを促すことで、従業員間の繋がりを育んでくれる。

AIとVR技術も、ハイブリッドな職場に影響を与えている。HTCは最近、VRヘッドセットのVive Focus 3(ヴァイブフォーカス3)を発売。昨今このツールは、医療従事者の遠隔トレーニングから、大学でのオンライン授業の支援まで、さまざまな場面で使用されつつある。ソフトウェアエンジニア向けの新人研修ツール、エディファイ(Edify)の創設者であるクリステン・ブキャナン氏によると、ハイブリッドな業務は、スクリーン上ではなく、より没入感があるバーチャルオフィスのような場で体験されるものになるという。このことは、トリプルシート(Tripleseat)、チームフロー(Teamflow)、ワークフロム(Workfrom)などのプラットフォームの人気が高まっている事実にも関係しているだろう。

「人々は、常にZoomを繋いでいなければならない状況に辟易しており、非同期に仕事をする新しい方法を求めている」。

オフィスのあり方も変化

不動産に関しても変化が見られる。デスクパス(Deskpass)は、25以上の都市にまたがるコワーキングスペースのネットワークを構築し、ハイブリッドワークへの移行にあたって、オフィス面積の縮小を図る企業の要望に応えようとしている。タスクラビット(Task Rabbit)やグッドRx(GoodRx)などの企業に採用されている同社の技術を使えば、チームがオフィススペースや会議室をシームレスに調達し、その場で予約することを可能にする。デスクパスによると、会員数は今年に入って300%増加し、シドニーに最初の海外拠点を開設した。

しかし、ハイブリッドな世界では、オフィスが完全になくなるわけではない。これを前提に、物理的なワークスペースの再構築に力を入れている企業もある。そのうちの1社が、テスラ(Tesla)やマスターカード(Mastercard)などの企業に職場の自動化技術を提供する、クレストロン(Crestron)だ。

クレストロンのエンタープライズ部門VPのアンドリュー・グロス氏は、テクノロジーは長期的なハイブリッド作業を可能にするためにオフィスを再構成するうえで、大事な要素になると認めたうえで「未来の職場は、社員が来て、仕事をして、帰るだけの空間以上の存在になる必要がある。それは、コラボレーションや人々のつながりが優先される空間だ」と述べる。

企業に求められる「長期視点」

ハイブリッドな仕事の仕方というと、最新のチャットボットやバーチャルホワイトボードが思い浮かぶが、影響力のあるテクノロジー製品の多くは、企業のITマネージャーなるポジションの存在を念頭に置いて開発されており、彼らがより分散した、柔軟な勤務体系で働く従業員をサポートできるよう支援している。なかでも、米ボーダフォン(Vodafone US)の社長兼CEO、デーヴィッド・ジューステン氏によると、デバイスをリモートで追跡、管理、トラブルシューティングするための新しいツールや、オフィス内外におけるネットワークへの通信接続に対応するための技術への関心が、高まっているという。

「企業にとっても従業員にとっても、最適な仕事の仕方を実現する新しいツールが出てくるだろう」と、ジューステン氏は述べ、企業側が従業員に対して提供する、家庭向けのビジネス・ブロードバンドをその一例としてあげた。これがあれば、リモートワーク中の接続を心配する必要がなくなる。また、ビジネスアプリケーションやデータ、eメールへのアクセスを可能にするクラウドベースのソフトウェアを活用することで、リモートワークをしている従業員のプライバシーを保護できる例も挙げている。

「私はこの1年で、仕事の仕方を考えるうえでフォーカスすべき要素は、場所ではなく人々の行動であることに気づいた」とジューステン氏。「ハイブリッドリモートモデルは、今後益々広がっていくだろう。企業はそれを見越して、長期的な視点でもってソリューションを導入すべきだろう」。

[原文:‘People are looking for ways to work together asynchronously’: Tech providers rush to meet needs of hybrid workplaces

TONY CASE(翻訳:塚本 紺、編集:村上莞)
Illustration by IVY LIU

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