「多様性に富んだビジネスで成功を収め、楽観的に考えている」: BuzzFeed COO クリスチャン・バスラー氏

DIGIDAY

景気後退が予測されるなか、BuzzFeedもメディア業界に潜む経済的課題と無縁ではないが、同社COOのクリスチャン・バスラー氏は、2021年12月に完了したBuzzFeedとコンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)の合併を受け、この合弁会社は嵐を切り抜けるのに十分な多様性を備えていると確信している。

そして恐らく、特別買収目的会社(SPAC)を介しての株式公開が意図したように、公募という外部からの支援なしにそれが可能だろう。この記事の執筆時点のBuzzFeedの株価は1株あたり1.57ドル(約214円)で、公開当初の初値である10ドル(約1361円)を大きく下回っている。確かに、株式市場も好調とは言えず、新規公開企業であればリスクを抱えることになる。

その影響はすでに広告業界全体に出始めているが、ベーズラー氏は米DIGIDAYに対して、BuzzFeedのオーディエンス規模とコンプレックスの文化的影響力のおかげで、BuzzFeedは広告主の支出を維持し、さらに新しいビジネスを獲得する準備が整っていると語る。これは、2022年5月に発表された第1四半期決算報告で不振だったコマース事業を再び軌道に乗せるために重要なことでもある。

BuzzFeedの営業チームはこの数カ月で、BuzzFeed、コンプレックス、テイスティ(Tasty)、ハフポスト(HuffPost)を含む同社の全ブランドを対象に活動するひとつの運営組織に再編成された。しかし、前回の決算報告では、CFOのフェリシア・デラフォーチュナ氏が、この先数カ月のプログラマティック広告収入は「軟調」だと予測するなど、第2四半期がかつて期待されたような黄金期にはならないだろうという不吉な予兆がまだいくつか示されている。

ベーズラー氏は、米証券取引委員会(SEC)の規制を理由に、業績や売上について多くを語らなかったが、会社の現状については楽観的な見方を示した。それでも、3月に従業員の1.7%がレイオフされるなど、2020年春/夏のプレイブックから引きちぎられたページが2年後に復活するという兆候が見え始めるかもしれない。結局のところ、BuzzFeed 2.0がどれだけ強く自立できるかは、時間がたてばわかることだ。

以下、ベーズラー氏との対談のハイライトを、わかりやすくするために若干編集、まとめてお届けする。

◆ ◆ ◆

  1. ──多くのメディア企業が、差し迫った不況の影響を感じ始めているか、あるいは避けられないと思われる景気減速に備えようとしている。BuzzFeedは、この可能性に備えるために、いま何をしているのか?
  2. ──現在、BuzzFeedの株価は1株あたり1.5ドル(約204円)あたりで推移している。SPACを介して上場した意図は事業のための資金を調達することだったが、経済の減速につながる可能性があるため、BuzzFeedは資金を調達するのではなく、収益から得られる資金だけに頼ることになるようだ。迫り来る不況に対してBuzzFeedをどのように位置づけるか?
  3. ──CEOのジョナ・ペレッティ氏は、同社を表現する言葉として「レジリエント(弾力性、柔軟性、回復力があること)」を用いている。コンプレックス買収後、同社は、パブリッシャーがすでに感じ始めている広告市場への打撃に耐えられると思うか?
  4. ──営業チームをどのように再編成し、広告主との対話をどのように変えて、双方(BuzzFeedとコンプレックス)のビジネスをより効率的に販売できるようにしたのか?
  5. ──コマースについて少し聞かせてほしい。2022年第1四半期の決算報告では、コマース収益がBuzzFeedの総収入の約12%を占めていた。予測では総収入の25%に近づくとされていたが、そうはならなかった。BuzzFeedのCFO、フェリシア・デラフォーチュナ氏は、四半期ごとの投資家向けプレゼンテーションで、その一因はFacebookからのリファラルが減少していることにあると述べている。その事業を年間予測の割合まで持っていくために、どのような戦略を立てているか?
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──多くのメディア企業が、差し迫った不況の影響を感じ始めているか、あるいは避けられないと思われる景気減速に備えようとしている。BuzzFeedは、この可能性に備えるために、いま何をしているのか?

我々が見ているもの、あるいは市場で感じていることについて、すでに共有されている以上のことは言えないし、この質問については一般的なことしか話せない。私はコンプレックスの買収によって6カ月前にBuzzFeedに入社したばかりで、BuzzFeedの業務やここでの私の役割についてはかなり経験が浅い。しかし、BuzzFeedはパンデミックとその後の不況を乗り越えて、2020年は前年2019年の赤字から一転して黒字になるなど、強い企業のひとつだ。

コスト削減だけでなく、売上の拡大や多様化によっても、そうなっている。BuzzFeedのチームは、非常に機敏で俊敏であることが証明されており、新しい製品、新しい収益化、新しいオーディエンスチャネル、さまざまな形式のオーディエンスとの関わり方について常に革新的であることが分かっている。このことは、チームがマクロの変化に対応し、それを革新のチャンスと捉えていることで、何度も示されている。

コンプレックス側も同様で、2020年に初めてパンデミックが発生したとき、コンプレックスは(番組やスタジオを持つ)大規模な動画ビジネスを行っていた。コンプレックスのチームは、リモートでの撮影に非常に迅速に対応した。エピソードの欠落も起こらず、スポンサーシップも以前と同様に続いた。コアビジネスに支障をきたすことはなかった。パンデミックのあいだも、毎年開催しているビッグイベント「ComplexCon(コンプレックス・コン)」を開催し、大規模なバーチャル・フェスティバルとして「ComplexLand(コンプレックスランド)」をスタートさせた。過去数年間、数々の困難を乗り越えてきており、そして今後数年間、どんな困難が待ち受けていようとも、常に適応し、革新し、その過程でコアビジネスを改善し、向上させることができるという自信はある。

──現在、BuzzFeedの株価は1株あたり1.5ドル(約204円)あたりで推移している。SPACを介して上場した意図は事業のための資金を調達することだったが、経済の減速につながる可能性があるため、BuzzFeedは資金を調達するのではなく、収益から得られる資金だけに頼ることになるようだ。迫り来る不況に対してBuzzFeedをどのように位置づけるか?

株式公開企業として、株価について、株価を動かす原動力となるもの、いま起きていること、それをどう思っているかについて、我々はコメントできない。概ね、我々はビジネスとしての可能性に自信を持っており、今後数年間に取り組んでいることすべてを実現して、この会社を成長させたいと考えている。

──CEOのジョナ・ペレッティ氏は、同社を表現する言葉として「レジリエント(弾力性、柔軟性、回復力があること)」を用いている。コンプレックス買収後、同社は、パブリッシャーがすでに感じ始めている広告市場への打撃に耐えられると思うか?

(我々は)市場で何が起こっているか、我々のパートナーにどんなトレンドが起こっているかを常に注意深く見ていくだけでなく、同時にオーディエンスにも注目している。2020年のパンデミックとその後の不況で、オーディエンスの行動も変化しており、この間に小売の多くがオンラインでおこなわれるようになった。しかし、より広い意味で、コンプレックスとBuzzFeedを統合してひとつにまとめた理由は、このふたつのビジネスが非常に補完的だという点にあると考えている。BuzzFeedにはスケールがあり、コンプレックスにはBuzzFeedより男性のオーディエンスが多い。

また、我々が提供する製品は、コンプレックス側では番組やComplexCon、ComplexLandなど、よりカスタム性が高く、(BuzzFeed側は)よりスケーラブルでパフォーマンス重視のものとなっている。だからこそ、我々は両方のパートナーにサービスを提供することができる。

一般的に、景気後退や経済的困難があると、共に仕事をするパートナーは少なくなり、大きくなっていく。だから、一般的には、クライアントはより少ないメディア企業、より少ないパブリッシャーと仕事をし、幅広く活動するのではなく、より深い関係を築いていこうとするだろう。今回の合併によりあらゆる層、あらゆるジェンダーのオーディエンスを満足させることができ、それらすべてにまたがるスケールで有意義なブランドを持つことができると感じている。なので、経済的な課題に対しても十分な態勢が整っていると感じている。

──営業チームをどのように再編成し、広告主との対話をどのように変えて、双方(BuzzFeedとコンプレックス)のビジネスをより効率的に販売できるようにしたのか?

以前、我々がコンプレックスだけ、BuzzFeedだけだったときは、クライアントが求めているもの、たとえば、やはり革新的で画期的なものを求めているなど、いくつかの項目をチェックしていたが、すべてをチェックしていたわけではない。しかし、クライアントは、価格設定や多くの人に届けるという点での効率性を求めてもいる。単独でも、その一部を解決することはできたが、統合により、すべてを解決できると感じている。

統合された営業チームは4月から活動を開始し、(それ以来)統合された営業チームと営業サポートチームができて、1クライアントにつき1人のセラーを配置している。我々は、すべてのブランドとすべての製品でアプローチを統一し、パートナーのどのようなニーズにも対応できるようにしている。

──コマースについて少し聞かせてほしい。2022年第1四半期の決算報告では、コマース収益がBuzzFeedの総収入の約12%を占めていた。予測では総収入の25%に近づくとされていたが、そうはならなかった。BuzzFeedのCFO、フェリシア・デラフォーチュナ氏は、四半期ごとの投資家向けプレゼンテーションで、その一因はFacebookからのリファラルが減少していることにあると述べている。その事業を年間予測の割合まで持っていくために、どのような戦略を立てているか?

コマースは、BuzzFeedにとってもコンプレックスにとっても、もっともも若いビジネスのひとつであり、何が機能するか、どのプラットフォームが機能するか、どのコンテンツが最も有効かを学ぶ、まだ初期段階にある。

コマースに対するアプローチもそれぞれ異なる。BuzzFeedサイドでは、アフィリエイトコマースと小売店での買い物を促すことを目的としているが、コンプレックスサイドは、コンプレックスブランドを冠したオリジナル商品を作って消費者に販売したり、村上隆氏(などのアーティスト)とコラボして商品を販売したり、より所有的で文化的な瞬間を構築することを目指している。

このように、多様性に富んだビジネスですでに多くの成功を収めており、私は将来について非常に楽観的に考えている。

[原文:BuzzFeed boasts confidence in its diversified business seven months after going public

Kayleigh Barber(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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