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食料品プラットフォームは、新しい顧客を呼び込むため、ショッパブル(買い物可能な)レシピの活用をはじめている。
2018年に南アジアの料理を専門に創設されたオンライン食料品店のクイックリー(Quicklly)は、現在ビジネスの3%がショッパブルレシピによるもので、これを5%に増やすことを目標にしている。一方でウマミカート(Umamicart)の売上の50%以上はショッパブルレシピによるもので、同社のウェブサイトに掲載されたバイラルな投稿が何千回も閲覧されている。インスタカート(Instacart)も3月に、動画共有アプリのTikTok、食料品ネットワークのテイスティ(Tasty)、およびハーストマガジン(Hearst Magazines)傘下のデリッシュ(Delish)の刊行物などと自社の食料品プラットフォームを統合し、ショッパブルレシピの提供を開始した。
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パンデミック期間に増加した料理コンテンツ
多くのeコマースのカテゴリーと同様、オンラインでの食料品ショッピングはパンデミックのあいだに大幅に増加し、Adobeのレポートによると、今年はその成長が1兆ドル(約134兆円)に達すると予測されている。同時に食品関連のコンテンツ、特に調理動画はさまざまなソーシャルプラットフォームにおいてますます人気のコンテンツとなってきた。その結果として、多くの食料品の新興企業は、売上とサイトへの訪問を促進するため、ショッパブルレシピに投資をはじめた。食料品の新興企業がレシピの作成にどれだけのリソースをつぎ込むかは各社で異なる。一部の企業は社内でレシピを作り出すのに対して、自社のフォロワーと連携してオンラインクックブックを作り出している企業もいる。
アドビのレポートによると、多くのeコマースカテゴリーと同様に、オンライン食料品ショッピングはパンデミックの間に大幅に増加し、その成長率は今年1兆ドルに達すると予想されています。同時に、食品コンテンツ、特に料理動画は、さまざまなソーシャルプラットフォームでさらに人気を集めている。その結果、多くの食料品ベンチャー企業は、売上とサイトへの訪問を促進する手段として、ショッパブルレシピに投資するようになりました。食料品スタートアップがレシピ開発に注ぐリソースはさまざまで、自社でレシピを構築するところもあれば、自社のフォロワーとチームを組んでオンライン料理本を構築しているところもある。
D2Cマーケティング代理店のベラルディ・ウォン(Belardi Wong)のプレジデントを務めるポリー・ウォン氏は次のように述べている。「当社は、消費者がそのサイトに長く関わるほど、そこで商品を買い求める可能性が高いことを事実として知っている。自社商品を使ったレシピや、自社商品を使った料理のヒントとコツが載っていれば、ブランドへの信頼と権威に繋がる。これにより、大きなブランディング効果も得られる」。
ウマミカートでレシピがバイラル化すると、多くの場合はページが40万回程度閲覧される。バイラル化したレシピには、ガパオライスやスパイシーなラクサヌードルスープなどがある。
ショッパブルレシピの需要は、パンデミックの禍中に消費者のあいだでいくつかのトレンドが発生したことに起因すると、ウォン氏は語る。パンデミックにより自宅で料理をする人々が増え、オンラインコンテンツへのエンゲージメントや、オンラインで食料品を買い求めることが増加した。消費者市場調査企業のハンター(Hunter)による2021年の調査では、消費者の71%はパンデミックが終了したあとでも積極的に料理を続けるつもりであると示された。
食料品店が新しいレシピのアイデアを作り上げる方法
各社は、ショッパブルレシピに関して、それぞれ異なる戦略を作り上げてきた。食料品店はレシピを生み出す方法だけでなく、それらのレシピを提供するチャネルも探求してきた。
たとえばクイックリー(Quicklly)は、新しいレシピのアイデアを一般から募集している。人々は「クイックリーマスターシェフ(Quicklly Master Chef)」に登録し、レシピを提出して、そのレシピから販売されたすべての商品について報酬を得ることができる。レシピの作成者は、販売された材料から10%の手数料を受け取ることができる。
クイックリーの共同創設者であるケバル・ラジュ氏は次のように述べている。「レシピプログラム全体の構想は、それをオーガニックな成長させることだった。クイックリーマスターシェフは自分のレシピをソーシャルメディアで広めることができ、それによってクイックリーという社名もけん引力を獲得し、シェフたちのつながりを活用してオーガニックにリーチを広げることができる」。
ラジュ氏は、同社には、あまりに似通ったレシピを公開しないよう、承認プロセスを設けていると語る。現在クイックリーのサイトには、バターチキンや、ティッカマサラ、シャヒパニールといったインドや南アジアの有名な料理のレシピが約20件掲載されている。同社は、今後数週間にさらにレシピの追加を計画している。
「バターチキンのレシピを今すぐ試してみたいと思えば、すべての材料、ソース、たんぱく質が揃っている」と同氏は述べている。「利便性の観点で、ユーザーの生活をとても楽にしている」。同社は収益の正確な数値を明かしていないが、2021年に収益が350%成長し、昨年公表されたシード前資金調達ラウンドで127万ドル(約1億7000万円)を調達した。
トレンドを掴むきっかけに
一般の人々の協力を得てレシピを作成している企業はクイックリーだけではない。アジアおよびヒスパニック系の食料品業者であるウィー(Weee)は、ユーザーがアプリにレシピ動画をアップロードすると、動画に載せられている材料をクリック操作だけで購入できる。ホームブランドのフード52(Food52)でも、ユーザーが自分のオリジナルのレシピとストーリーを投稿できるが、食材を販売するのではなく、レシピで使用されている調理器具を紹介するのが特徴だ。
一方でインスタカートは、ソーシャルメディアプラットフォームやメディアアウトレットとの提携を選択した。同社はこれにより、ユーザーがレシピを見つけるために以前から訪問している場所で、ユーザーと接触する。たとえばTikTokのユーザーがテイスティのアカウントでレシピを調べると、「レシピを見る」ボタンがあり、そこからインスタカートのウェブサイトに誘導することができる。
食料品の新興企業のなかには、自分たちで課題に取り組むことを選ぶ企業もある。食品関係の刊行物と提携しているほかの食料品店とは異なり、ウマミカートは、ほぼ自社チームのメンバーがアイデアを出し、自社でレシピを作り上げる。同社のプラットフォームには現在、東アジアと東南アジアの料理を中心に30のレシピがあり、毎週新しいレシピが公開されている。
食料品店のスタートアップの中には、自分たちの手で問題を解決することを選ぶ企業もある。食品出版社と提携している他の食料品店とは異なり、Umamicartはレシピを開発するために、おもにチームメンバーからのアイデア出しに頼っている。同社は現在、東アジアと東南アジアの料理を中心とした30種類のレシピをプラットフォームに掲載しており、毎週新しいレシピを発表している。
ウマミカートの共同創設者でCEOを務めるアンドレア・シュウ氏は、「当社は常に、当社固有の顧客に最適と考えるものを作り上げることをめざしている」と以前に米モダンリテールに語った。「当社の顧客は、たとえば私の両親のような年配の世代の買い物の仕方とは全く異なっている」。同社は現在までに、700万ドル(約9億3800万円)の資金を調達した。
ショッパブルレシピは、食品業者が最先端のトレンドを見極めるためにも役立つと、ウォン氏は語る。これによって、各社は自社の顧客が関心を抱いているカテゴリーや、どのような商品を発売すべきかについての見識も得ることができる。
同氏は次のように述べている。「何が求められているかの認識は確実に得られる。それによって、自社で今後、どの商品が売れ行き上位になるかを早期に予測できるようになる」。
利便性を期待するユーザー
ウォン氏は、ショッパブルレシピの公開について大きなリスクはないと語る。しかし、ユーザーは、ユーザーエクスペリエンスが貧弱なことに寛容ではない。ユーザーは、すべての材料が同じ場所で入手できないと不満をつのらせるようになると、同氏は述べている。
人々は、期待に応えれらないブランドをすぐに切り捨ててしまうものだ。コベオ(Coveo)の昨年のレポートによると、73%の消費者は、3回以下でも悪いカスタマーエクスペリエンスがあるとその会社の利用を打ち切るという。
しかし、食品業者の新興企業はショッパブルレシピを中止することは考えていないようだ。ウマミカートは、今後数カ月でショッパブルレシピの数を2倍にすることを計画していると語る。クイックリーはレシピチャレンジを行い、最高のレシピを作り出した利用者に賞を授与することを計画していると述べた。
ウォン氏は次のように述べている。「ショッパブルレシピはますます成長していくと考えている。それとともに、食品や食料品をオンラインで買い求めるというアイデアも一般的になっていくだろう」。
[原文:To grow sales, online grocery platforms are building out recipe hubs]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Quicklly