先日、有名チェーンの「格安うなぎ」をひっくり返して裏側のブヨブヨ感を調べた結果について当サイトで公開した。覚えておられるだろうか? 内容が気になる人は記事を見ていただくとして、その検証中に私はふと思ったのだ。
うなぎじゃなくて、牛丼をひっくり返したら何が見えるんだろうか?
当然ながら肉とたまねぎと米とつゆしか出てこないだろうけれど、その断層はどうなっているのだろう? ……と考え出すと気になって仕方なくなったので、私は吉野家へ走った。
注文するのは牛丼の並盛、同じく並盛の「つゆだく」と「つゆだくだく」の合計3種。これを持ち帰り、30分ほど待ってからフタを開けてみる。
上から見ただけでは大きな差はないが、本番はこれから。別皿を用意し、プロが餃子をひっくり返す要領でクルリンすると……
見慣れない光景が広がった。なんだこれは。上から見るとまるで炊き込みご飯のようだが……
横から見ると地層。なんだか、400円くらいの牛丼がめちゃくちゃスケールの大きなものになったような気がする。
3つの山が、これまで積み上げてきた膨大な時間を静かに誇示している……と言いたくなるほどの壮大さを感じてしまうが、実際にはただ30分置いただけである。
・「つゆだくだく」は自然の脅威
それにしても、「普通の牛丼」と「つゆだく」では、つゆのシミ具合にそこまで大差がない。あくまでビジュアル面での話だが、写真を整理していると どっちがどっちか分からなくなるほどだった。
一方、「だくだく」は上から見たら一目瞭然。ひっくり返した時点で米の断層が割れていたので、つゆが相当しみ込んでいたようだ。
これをじっくり眺めていると、雨が降って地盤が緩んだ状態がどれほど危険なのか分かる気がする。『牛丼を通して学ぶ自然の脅威』って本が発売されたら、間違いなく「つゆだくだく」の写真が使われるだろう。
・上下の層は濃い
それはさておき、もう1つ私が気になったのはどの牛丼も白い米をはっきり確認できるのは真ん中の層だけという点。分かりやすいのは普通バージョンで、上(本来は下)の部分はいかにも肉汁がしみ込んだ感じになっているのに比べ、中間層は白米感強め。
したがって、ひっくり返して上から食べた場合、つゆがシミシミになった部分と最初に接触する。言い換えれば、もっとも空腹な状態で食べる「最初のひと口」が味の濃い米になるのだ。
さらに、メインとも言える肉がまるでプリンのカラメルのように底で鎮座しているから、宝探しでもするような気持ちで食べ進めることになる。なんて幸せな食べ方だろうか。
牛丼は本来こうやって食べるべきだったのだ! ……と言いたいところだが、ただ単に慣れない食べ方だから特別に感じただけかもしれない。
そのあたりを確かめるため、他チェーンのテイクアウト牛丼でもやってみたいところ。ちなみに今回上の3つを選んだのは、食べ切れる範囲で試したからに過ぎない。胃袋が回復すれば何度でもやる。
何回か試すことで、最強のリバース牛丼が見つかるかもしれないし、逆に「やっぱり普通に食うのがいいわ」となるかもしれない。どうなるかはまた追って報告しよう。
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.