TikTok にオーガニックなファンが多数。インディーズブランド、ミラニがビューティファンの注目を集める理由

DIGIDAY

ビューティブランドが、文化的な出来事、特にインターネットでの話題を何らかの形で利用しなければならないというのは、いまでは周知の事実だ。Glossyエディターのリズ・フローラ氏が5月に報告したように、この2カ月間、ソーシャルメディアは6月初めに終わった俳優のジョニー・デップ氏とアンバー・ハード氏の名誉毀損の裁判の虜になっていた。ビューティブランドのなかには、ミラニ(Milani)や、ハード氏をアンバサダーとして起用しているロレアル パリ(L’Oréal Paris)などしわ寄せを受けたところもあった。WWDによると、ディオール(Dior)は、ディオール ソヴァージュ(Dior Sauvage)フレグランスのキャンペーンにデップ氏が出演していたため多少の影響を受けたが、検索数と売上が増加したという。

インディーズブランド、ミラニの戦略

ロレアルやディオールというおなじみの由緒あるブランド名とは対照的に、ミラニは社歴20年のインディーズブランドである。アルタビューティ(Ulta Beauty)、ターゲット(Target)、ウォルマート(Walmart)、ウォルグリーンズ(Walgreens)で取り扱われており、多様な消費者を対象にした手頃な価格のブランドである。しかし、センセーショナルなデップ対ハード裁判を利用することは、1年以上にわたって構築してきた大規模な戦略のほんの一部に過ぎなかった。

2018年に内部変革を初めて試みた後、その年の5月にプライベートエクイティ会社のグライフォン・インベスターズ(Gryphon Investors)に過半数の株式投資を受けた。2020年に、ペリコン(Perricone)とコティ(Coty Inc.)での経歴を持つメアリー・ヴァン・プラーグ氏がミラニのCEOに就任。その直後に、コパリ(Kopari)とコティでの経験があるジェレミー・ローウェンスタイン氏がCMOに選ばれた。

リップ、アイ、フェイスメイクアップカテゴリーに関するニールセンのデータによると、ミラノは4月23日までの12週間で9位にランク入りしている。また、2021年の第3四半期から上昇傾向にあり、そのランキングトップ10では、E.l.fを除いて、コングロマリットに所有されていない唯一のコスメティックブランドでもあった。ミラニは売上高を共有していないが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、同社は2017年に4000万ドル(約54億円)の収益を上げ、価値は5億ドル(約672億円)であった。

TikTokのオーガニックなインフルエンサーファンたちのサポート

ミラニは、2021年2月にTikTokデビュー、以来支持を得ている。ミケイラ・ノゲイラ氏のようなファンのおかげで、ブランドの2022年のローンチのうち4点がTikTokで話題になった。その中には、合計で約730万回の視聴回数を誇るカラーフェティッシュフローラ・リップスティック(Color Fetish Flora Lipstick)がある。ノゲイラ氏のほかに、ロシオ・ソリア氏(@ Rocio.Roses、フォロワー140万人)もミラニのファンであり、ウォルマートでの5ドル(約670円)以下のお買い得商品についての動画でミラニについて触れている。ローウェンスタイン氏はミラニのパートナーシップのほとんどは無償であり、オーガニックなものだと述べている。

ソリア氏は高校の最終学年のとき、深夜ウォルマートへ行ってミラニを知ったそうだ。ミラニへの愛は大学に入っても続いた。「金欠学生だったけれど、ビューティユーチューバーたちが『ハイエンド』なコスメで演出している外見を再現したいと思っていた。素晴らしいミラニ製品のおかげで、それが実現できた」。

TikTokオーディエンスの中心がZ世代であることを思えば、ソリア氏のTikTokフォロワーの大部分が価格に敏感であることは理解できる。ソリア氏によるとフォロワーの大部分は学生と若い専業主婦だという。「セフォラで毎月300ドル(約4万円)を使うような贅沢はできない。廉価でリュクスなルックスを実現したいのだ、私がやったように」。偶然にも、1月に発売されたミラニの最新製品、フルーツフェティッシュ・リップオイル(Fruit Fetish Lip Oils)は、ディオールのカルト製品であるアディクト リップ グロウ(Addict Lip Glow)リップバームと比較されている。ミラニ製品は9.99ドル(約1300円)、ディオールは35ドル(約4700円)。ミラニのフルーツフェティッシュ・リップオイルコレクションは、週平均350%の売り上げを記録している。

「この製品が大ヒットするとは思っていなかったが、皆から購入されてTikTokに投稿されている。100以上の動画があり、売り切れ続出だ」とローウェンスタイン氏。

価格と多様性への対応が人気要因

TikTok、価格、多文化消費者の要望への対応を組み合わせて成功を収めたことは、ミラニにとって快挙である。カラーフェティッシュ・リップスティックとコンシール&パーフェクトクリームトゥパウダー・ファンデーション(Conceal + Perfect Cream to Powder Foundation)の2製品は、TikTokのオーガニック投稿が口コミで広まった後、週平均の売上高がそれぞれ328%と201%増加した。同社にはファンデーションとコンシーラーに幅広い色展開があり、コンプレクション(顔色)は重要なカテゴリーであるとは、ローウェンスタイン氏の弁だ。

「TikTokで動画を見ているとわかるのだが、その素晴らしい品質と革新性ゆえに、ミラニはディオールやシャーロット・ティルベリー(Charlotte Tilbury)、トムフォード(Tom Ford)などと比較されている」とローウェンスタイン氏。 ミラニの自社TikTokチャネルには、ユーザー生成コンテンツ、ビューティチュートリアル、遊び心あふれる「ビフォア&アフター」、小売業者へのコールアウトなどがある。同チャネルは140万のいいねと16.2万人のフォロワーを抱え、同社プロフィールには「多様性は我々のDNAにある。すべての人にラグジュアリーを」とある。

消費者に受け入れられる廉価で優れた製品

確かにメイクアップの売上は業界全体で回復を遂げている。米国のマーケットリサーチ会社、NPDグループ(NPD Group)によると、ビューティの最大カテゴリーであるメイクアップの収益は、2022年の第1四半期に前年比22%増の18億ドル(約2420億円)になったという。ミラニが基盤を持つリップ製品は、メイクアップの中でも前年比44%と最速で成長している。しかし、ミラニは(ラグジュアリーコスメブランドの)コピーになることを目指しているのではないと、ローウェンスタイン氏は強調する。「我々はビューティを民主化している。最高の製品を手に入れるために高級小売店で買う必要はない」。

確かに、ビューティ消費者たちは今まで以上にこの考えを信じているといえる。E.l.f.のようなブランドの成功を見ると、庶民的な価格で優れた製品を約束していることが支持されて、その好転は継続している。5月下旬の最新の収益レポートでは、E.l.f.ビューティは、2022年の第4四半期および年間の売上高が予想を上回っている。普段ディオールやトムフォードを愛用するビューティ消費者は、ラグジュアリー製品すべてではないものの、一部をすでに低価格のものに変更している。

金融サービス会社、ジェフリーズ(Jefferies)の消費者調査担当マネージングディレクター、ステファニー・ウィシンク氏は、「ビューティの購入者はより賢明になっている」と言い、デザイナージーンズからザラ(Zara)やH&Mのデニム製品への変更と同じような、価格の低い製品に移行する傾向がビューティにおいてより一般的になってきていると述べている。

高インフレで景気後退の懸念があふれ、その背後にはドルへの深い投資がある現状において、ミラニはいっそう多くの消費者を取り込む準備ができている。

「苦しいとき、消費者は品質を犠牲することなく賢明な選択をする。なので、ミラニは社会的な話題性と成長トレンドを継続する態勢を整えている」とローウェンスタイン氏。「ミラニを愛用する女性たちは妥協したくないのだ」。 

[原文:Beauty and Wellness Briefing: How Milani is grabbing beauty lovers’ attention

PRIYA RAO(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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