「ブランドセーフティの実現は、ユーザーの安全確保から」:TikTok For Business Japan 手塚孝氏

DIGIDAY

「信頼できる広告環境」とはいかなるものか──。TikTokはいま、この問いに正面から向き合っている。

自粛生活による巣篭もり需要も相まって、世界中でその存在感が高まっているTikTok。米国時間9月27日には、同プラットフォームの月間アクティブユーザー数が、グローバルで10億人を突破したことが発表されている。そんなTikTokは、広告媒体としてのプレゼンスをさらに高めるため、ここ数年「信頼できる広告環境」の構築を推進中だ。国内でも、TikTok For Business Japanにより、広告ソリューションの拡充はもとより、コミュニティの安全性確保のためのルール作りや、外部とのパートナーシップの構築が積極的に推進されている。

「広告主にとって信頼できる環境を実現するには、広告主に向き合いつつも、コミュニティの安全性確保にも目を向けなければならない」。こう語るのは、2021年5月よりTikTok For Businessリーダーに就任した手塚孝氏。同氏は、前職であるGoogle合同会社にて、広告主やエージェンシー向けの広告営業を統括していた経験を持つ。そんな手塚氏に、TikTokがグローバルなプラットフォームとして目指す、「信頼できる広告環境」とはいかなるものか、具体的な取り組みとともに訊いた。

◆ ◆ ◆

――広告主が信頼できる広告環境を実現するためには、どのような要素が重要だと考えますか?

我々が重要視しているポイントは、主に4つです。それは「コミュニティの安全性確保」「ブランドにとって安全なソリューション」を構築すること、「透明性と説明責任を果たす」こと、そして「躍進を続けるためのパートナーシップ」を展開することです。

TikTokには、世界中からたくさんのユーザーが集まっています。彼らはさまざまなコンテンツを創造し、また発見しながらTikTokを楽しんでいます。我々は、広告主のみなさまに向き合いつつも、ユーザー側、つまりコミュニティの安全性にもしっかりコミットしていくことで、「信頼できる広告環境」が実現できると考えています。

信頼できる広告環境の構築を目指した活動の全体像

――ふむ。ではまず、コミュニティの安全性確保のための取り組みを教えてください

安心・安全なコミュニティを実現するために、我々はいくつかの方針を設けています。

1つ目が、適切な「ルール作り」です。我々は現在、サービス規約コミュニティガイドライン、プライバシーポリシーにおいて、TikTokで許されるコンテンツや行為などについて明確に規定しているほか、コンテンツのモデレーションルールについても随時見直すことで、最新の安全対策を適用するよう尽力しています。そしてこれらのルールに基づき、不適切なコンテンツについては、機械的ならびに人的な検知を行い、削除などの対応を取っています。また必要に応じ、警察などの関連機関への通報も実施しています。

2つ目が「ツール機能の拡充」です。TikTokでは、有害・不適切な動画・コメント・ダイレクトメッセージ(以下、DM)について、通報機能やアカウントを非公開にしたり、コメントやDMを受け取る相手を制限・ブロックできるよう、ユーザーが設定できるさまざまな機能を整備しています。また、青少年に関するトラブル防止のため、16歳未満のDM機能を無効にするとともに、すべてのユーザーは、DMで写真を送ることはできなくなっています。加えて、保護者がお子様の利用状況を把握したり、上記のような設定を管理することを可能にする、ペアレンタルコントロール機能の実装も開始しました。なお、こうした安全に関する機能は、現在も随時アップデートを行っています。

手塚孝/TikTok For Businessリーダー 広告代理店勤務の後、外資系金融機関にて日本市場での個人金融事業立上げに従事。その後Google合同会社で法人顧客ならびに広告代理店向け営業チームの統括を経て、2020年、TikTok For Business Japanに入社し、シニアディレクターとして広告代理店向け営業統括に従事。2021年5月からは、TikTok For Businessリーダーに就任し、日本市場での広告主、代理店向けサービスを提供するチームを主管している。

そして3つ目が「教育啓発の推進」です。具体的な取り組みとしては、誹謗中傷防止やオフライン接触の防止など、安全な利用を促す啓発動画を継続的に制作・公開し、アプリ内外での周知を実施しています。なお、重要な安全対策である「自画撮り被害の防止」「誹謗中傷の防止」「個人情報の保護」「詐欺被害の防止」、そして自殺予防性暴力防止については、専門機関と連携してアプリ内に特設ページを作り、適切な相談窓口を紹介するなどの取組みを行っています。実際に学校を訪問してセミナーを実施するなど、外部の教育機関などとの連携も、強化中です。

4つ目は「外部機関との連携」です。これは3つ目にも重なる部分です。たとえば我々は、2018年よりNPO・有識者・関係省庁等の専門家から、青少年の安心安全の課題についてヒアリングし、より良い安全対策に結びつけるため、「TikTokセーフティ・パートナー・カウンシル」を設置し、これまでに8回開催しています。また、業界団体である「安心ネット作り促進協議会」や「一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)」にも参加し、理事を務めています。加えて現在、「学ぶ働く暮らす支援プロジェクト」「#悩み相談プロジェクト」など、行政機関やNPOとの連携プロジェクトも実施中です。

TikTokが提携している外部機関

――なるほど。では、ブランドにとっての安全なソリューション構築については?

はじめに、我々が現在提供している広告フォーマットを簡単にご説明します。

まず紹介するのは、ユーザーがTikTokを起動した際、最初にフルスクリーンで表示される「TopView広告」です。また、TikTokにおいてもっともネイティブなフォーマットである「インフィード広告」も、多くの広告主のみなさまにご利用いただいています。さらに、TikTokコミュニティと共同でストーリーを作り上げ、ブランドの認知度とエンゲージメントの向上や、UGC生成を促すことができる「#Challenge(ハッシュタグチャレンジ)」も、TikTokの特徴的な広告フォーマットのひとつです。加えて、2D、3D、ARといった、我々が持つ先端テクノロジーを用いてユーザー向けのエフェクトツールが展開できる「ブランドエフェクト」も、我々ならではの広告アプローチを提供することができます。

これらのソリューションは、いずれもブランドセーフティ(適切な文脈で広告を表示することで、ブランド毀損を防ぐこと)を重視したものになっています。具体的には、「GARM(Global Alliance for Responsible Media:広告主・メディア・ハイテク企業などで構成される、インターネット上の安全基準団体)」が定める、ブランドセーフティに関する業界標準を念頭に置いて、フォーマットを設計しています。

TikTok For Business Japanが提供する広告ソリューション(クリックで拡大)

――もう少し詳しく聞かせてください

たとえば我々は、広告主のみなさまがユーザーによるコメントをコントロールするための多様な機能を提供しています。具体的には、コメントの無効化機能やキーワードを設定して不適切なコメントを除外するコメントフィルター、各コメントを「公開」か「プライベート」のいずれかに設定できる、マネージ機能などがあります。

また「#Challenge」に関しても、ブランドの安全性を担保するための仕掛けが施されています。たとえば広告主のみなさまは、「#Challenge」ページにてUGC動画を作成する際、ユーザーに対して倣ってほしいブランドガイドラインを提供できるほか、好ましくない、またはブランドのガイドラインにそぐわない可能性があるUGCには、審査チームが随時適時対処する仕組みを構築しています。

「TikTokには、ブランド毀損を防ぐためのさまざまな機能が備わっている」と語る手塚氏

――透明性と説明責任についてはどうでしょう?

透明性と説明責任については、特にコミュニティの安全性向上に重きを置いて取り組んでいます。その一環として我々は、定期的な透明性レポートを公開しているほか、透明性センターやトランスペアレンシーハブを設けたり、おすすめページの仕組みを公開しています。

2021年第2四半期のコミュニティガイドライン実施レポートには、コンテンツ面の安全性に関わるグローバルな成果が示されています。たとえば我々は、2021年4月から6月のあいだに、世界でコミュニティガイドライン、もしくは利用規約に違反した、81,518,334本の動画を削除するのに成功しています。なお、削除された動画のうち93%は、投稿から24時間以内に削除され、94.1%はユーザーから報告を受ける以前に削除され、87.5%は一度も視聴されずに削除された。つまり、非常に迅速な対応が可能になっているということです。

我々は現在、TikTokを13歳以上のユーザーの場として保持するために役立つ新しい技術の探求に注力しています。上記のアカウント削除のほかには、10代のユーザー向けに、デフォルトのプライバシー設定の強化や保護者の方向けの機能やツールの提供、「TikTok LIVE機能」や「ダイレクトメッセージ機能」など、一部の機能の利用を13歳以上に制限するという取り組みも行っています。

加えて広告コンテンツに関しても、虚偽、詐欺的、誤解を招くような広告からユーザーを保護するための厳格なポリシーがあります。広告主アカウントと有料広告はこれらのポリシーを遵守し、コミュニティガイドライン、広告ガイドライン、および利用規約に従わなければなりません。2021年下半期には、1,829,219件の広告コンテンツが、広告ポリシーとガイドラインに違反と判断され、却下されました。私たちは、広告を通して、信頼できるポジティブな体験をしていただけるよう尽力しています。今後も、私たちの掲げる高い基準を維持するため、人材とテクノロジーに投資を続けます。

透明性向上のための取り組み(クリックで拡大)

――ものすごい件数ですね。パートナーシップの展開についてはどのような取り組みを?

先にコミュニティの安全性確保の部分で述べたとおり、我々は各領域の専門家の意見を集め、近年の社会的な問題や未来の問題に備えるサポートをいただいています。

また同時に、広告主のみなさまにとって信頼できる広告環境を提供できるよう、業界との提携関係も深め、グローバルかつ権威的な機関に認定いただくように活動を続けています。具体的には、ブランドの安全性を促進し、業界水準を上げるために、グローバル、および日本市場において、広告業界の関連機関に評価いただき、またこれらに加盟しています。

代表的な例でいくと、TikTokはインターネット広告の健全な発展と社会的信頼の向上に取り組む「一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)」に加盟しています。また、広告業界で最大かつもっとも広範なグローバルなブランドセーフティ認証プログラムである、「TAG Brand Safety Certifiedプログラム」にも認定されています。なお「TAG」は、デジタルマーケティングにおける犯罪行為に対抗し、ブランドの安全性を強化するための業界横断的な取り組みです。

TikTokが加盟する広告業界の外部機関

――今後の展開について教えてください

我々は近いうちに、広告主が広告掲載先をより自由にコントロールするためのソリューションをローンチする予定です。このソリューションは、TikTokのコミュニティガイドラインや、GARMのスタンダード規定に反するコンテンツを除外することで、広告が不適切なコンテンツの近くに掲出されることを防ぎます。

また、今後もTikTok For Business Japanとして、ブランドセーフティの業界水準を世界的に向上させるため、「コミュニティの安全確保」「ブランドにとって安全なソリューション」「透明性と説明責任」「躍進を続けるためのパートナーシップ」の4つのポイントを軸に取り組んでいきます。ブランドにとって安全な環境を構築することは、ユーザーがありのままの自分を表現するための安全を確保することからはじまると考えています。

Sponsored by TikTok For Business Japan

Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Photo by 合田和弘

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