「次世代につながる富を築く」:A-Frame Brands創業者が語る、BIPOCセレブたちのブランドを支援する理由

DIGIDAY

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ブランド育成企業のA-Frame Brands(エーフレーム・ブランズ)は2019年の創業以来、タレントが設立したブランドの育成と立ち上げに取り組んでいる。

セレブリティ主導のブランドがブームになるなかで、A-Frame Brandsは、この分野で特にBIPOC(黒人、先住民、有色人種)の著名人に特化した育成を試みていると語った。持株会社である同社の最初のブランドは、プロテニスの大坂なおみ選手による有色人種の人々向けのスキンケアブランド、キンロー(Kinlò)で、昨年秋にオンラインで発売された。6月にウォルマート(Walmart)での発売が開始した。

この春には、ドウェイン・ウェイド氏とガブリエル・ユニオン氏による有色人種の子ども向けのベビーケア用品のブランド、プラウドリィ(Proudly)を立ち上げた。A-Frame Brandsは、多様な創設者を持つ小売ブランドの育成と規模拡大とともに、それらを身近なものにすることをミッションのひとつとしている。同社によると、同社の取締役会の50%は女性だという。

A-Frame Brandsの共同創設者でCEOを務めるアリ・ブルーム氏は、ミュージシャンのジョン・レジェンド氏が立ち上げる新しいスキンケアブランドを含む傘下のすべてのブランドが、全国の小売店で入手・販売できるような買い求めやすい価格設定になっていると語る。レジェンド氏のブランドは1月にはじめて公表されたもので、まだ名前が決まっていないが、特にメラニン色素の量が多い人々が抱える肌トラブルに対処するものになるという。

ブルーム氏は、キンローが大手小売業者で販売されることは、同社のほかのブランドが将来的にどのような売れ行きになるかを示す青写真としても役立つと付け加えた。A-Frame Brandsは3月、フォアランナーベンチャーズ(Forerunner Ventures)とイニシャライズドキャピタル(Initialized Capital)の主導による1120万ドル(約14億8000万円)の資金調達ラウンドを発表し、さらに多くのブランドの立ち上げと成長を支援することになった。

ブルーム氏は米モダンリテールとのインタビューにおいて、セレブリティが創設したブランドの隆盛、全国の小売で販売する必要性、使命感にあふれた新興企業の構築について解説した。以下の対談内容はわかりやすさを考慮し、編集を加えたものである。

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−−ブランド開発の対象となるセレブリティの創設者はどのようにして探すのか?

最大の目標は、有色人種の著名人の立場を向上させ、ブランドを推進して次世代へつながる富を作り上げることだ。当社には95%が女性か有色人種で構成されるチームがあり、この社内の構造が、創設者たちのあいだに富を築こうとする体制に反映されているのだと、私は考えている。

当社は、単にライセンス供与やスポンサー契約を行うのではなく、エクイティ・モデルを理解している創設者と深く関与している。我々は、彼らの人材チームと協力し、彼らがどのような商品やブランドを開発したいのかを見極める。たとえば、当社がもっとも新しく発表したパートナーであるジョン・レジェンド氏の場合は、商品開発をする前に、市場化の機会と、アーティストであり活動家としての同氏の立ち位置について話し合った。

−−セレブリティが指揮を執る商品開発はどのようなアプローチで取り組むのか?

その多くは、適切なパートナーを選ぶことが重要だ。現在のところ、セレブリティの作り上げたブランドの多くは、ハイエンド市場の要求を満たすことを中心にしている。当社は、セレブリティの代理人から多くの依頼を受けている。しかし、我々はそのセリブリティの資質を中心としながら、そのフォロワーやコミュニティにも関連するブランドを構築したいと強調している。我々は、一個人の問題を解決するためにブランドを構築するわけではない。もし誰かが、ラグジュアリーな男性用スキンケアラインを作りたいと依頼してきたら、それは我々が行うことではないと回答する。

商品そのものが、多くの人々が抱える本当の課題を解決する必要がある。たとえば、プラウドリィの独自性は、7歳未満の有色人種の子どもに向けた商品である。これは、現在の人口の大きな割合を占める層だ。このカテゴリーではすでに、スーパーグープ(Supergoop)のようなハイエンドのブランドが輝かしい業績を挙げている。しかし当社は、同じ課題を10ドル(約1320円)のアイテムで解決したいと考えた。大坂氏自身、日焼けについて個人的な経験がある。同氏はふたつの人種に属するテニスプレイヤーであると同時に社会活動家でもあり、ブランドに国際的な訴求力を与えてくれる。

−−A-Frame Brandsのブランドは、多くのD2Cブランドと同様にオンラインで販売を開始し、そのあとで小売業者による販売を計画している。御社が抱えている各ブランドの販売チャネルについて、どのように計画しているのか?

D2C企業を立ち上げる従来型のモデルはもう使えなくなったため、当社のブランドを立ち上げるには小売店とのパートナーシップが基盤となる。我々の目標は、オムニチャネルのブランドを作り上げ、適切な層の消費者に到達できるようなチャネルで販売することだ。それは、セフォラ(Sephora)やノードストローム(Nordstrom)だけではなく、ウォルマート(Walmart)や、ターゲット(Target)、アルタ(Ulta)、ウォルグリーン(Walgreens)など、世界中の店舗で商品を手に取ってもらうことを意味している。

20年以上小売業に携わってきた私とパートナーは、小売業のバイヤーや投資家の名簿を作り上げた。我々のチームは、投資家や小売業のパートナーと知り合い、その経験を活かして、これらのブランドを成長させていきたいと考えている。今秋には、プラウドリィの最初の卸売販売先を発表する。これは、全国展開の小売業者になる予定だ。レジェンド氏のブランドはすでに、今後数カ月で小売店とのパートナーシップを開拓するべく動いている。

−−多くの小売業者は、より多様なブランドを支援し、販売することを公約している。このような誓約のなかで、A-Frame Brandsはどのような役割を果たすと考えるか?

当社の目標のひとつは、小売業者がBIPOCが創設したブランドを取り扱うというコミットメントを確実に実行することだ。これらの小売業者の多くは2020年にこの公約を行っており、当社はこの約束が守られていることを常にチェックしている。このもうひとつの面は、多くの小売業者は、新しいブランドを既存ブランドと同様に扱い、店頭で必要なサポートを常に提供するとは限らないことだ。そこで当社は、このような面においてブランドが必要とするサポートを行いたいと考えている。

[原文:‘Build generational wealth’: A-Frame Brands founder on launching BIPOC celebrity-led brands]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image via A-Frame Brands

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