BuzzFeed 、コマース部門は不調ながら 売上は前年比26%増 : 第2四半期も同様の勢いの見通し

DIGIDAY

BuzzFeed社(BuzzFeed Inc.)はコマース事業が大きく落ち込んだにもかかわらず、2022年第1四半期の売上は前年比26%増だった。

同社がBuzzFeed、ハフポスト(HuffPost)、コンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)を完全に統合したあとの初めての四半期となる。これは主に、広告およびコンテンツの収益が増加したことによるもので、それぞれ前年同期比で26%増、65%増となった。

しかし、BuzzFeed社の主要な3事業のうち、コマースの売上は前年比27%減の1060万ドル(約13億円)でもっとも打撃を受けた。同社の収益性も打撃を受けたが、損失は会社が予想した範囲内だった。3月に同社は、2022年第1四半期の損失を1500万ドル(約19億円)から2000万ドル(約25億円)と予測していたが、実際の数字は前年比294%減の1680万ドル(約21億円)の損失だ。

主要な数字

  • BuzzFeed社の2022年第1四半期の収益は、2021年同四半期から26%増加し、9160万ドル(約116億円)となった。同社の2022年第1四半期の収益にはコンプレックス・ネットワークスの収益が含まれているが、2021年第1四半期の収益には含まれていない。買収が完了したのが昨年12月だからだ。
  • 広告売上(ディスプレイ、プレロール、ミッドロールの動画製品を直接プログラマティック形式で販売)は、前年同期比26%増の4870万ドル(約61億円)だった。
  • コンテンツ収益(長編および短編のカスタムコンテンツ、BuzzFeedスタジオス(BuzzFeed Studios)およびコンプレックス・ネットワークスの映画およびテレビプロジェクト)は、前年比で65%増加の3230万ドル(約40億円)となった。CFOであるフェリーシア・デラフォーチュナ氏は5月16日、投資家向け収支報告でこの収益増は「コンプレックス・ネットワークスの買収によって主に牽引されている」と述べた。
  • コマース部門の収益(アフィリエイトおよび製品ライセンス部門の収益)は前年同期比27%減の1060万ドル(約13億円)だった。
  • BuzzFeed社の所有・運営するプロパティおよびサードパーティのプラットフォームでの滞在時間は前年比4%減の1億8400万時間となった。
  • 調整後EBITDAは294%減少し、2021年第1四半期の430万ドル(約5億円)から2022年第1四半期には1680万ドル(約21億円)となった(純損失は4460万ドル[約56億円]。2021年第1四半期の純損失は1130万ドル[約14億円]であった)。
  • CEOのジョナ・ペレッティ氏は決算報告のなかで、2022年第2四半期の売上は少なくとも前年比20%増となり「1億ドル(約126億円)を超える」と予測している。

Facebookの利用時間減少、BuzzFeedの事業に与えるダメージ

BuzzFeedのオーディエンスはインスタグラムとTikTokに費やす時間が増え続け、Facebookに費やす時間が減っている。これは同社のコマースと広告のビジネスにプレッシャーをかけている。インスタグラムとTikTokにおいて、BuzzFeedは主に、ブランデッド動画コンテンツやカスタム動画コンテンツで収益を上げているが、それでもFacebookに比べると収益分配の機会は限られている。

デラフォーチュナ氏によると、滞在時間は主にサードパーティのプラットフォームで減少したが、BuzzFeedが所有・運営するプラットフォームでも減少しているという。BuzzFeedの所要時間はコムスコア(Comscore)とFacebookの測定に依存しており、TikTok、インスタグラム、Snapchat、Twitterなどでの所要時間は算出していないと彼女は言った。

BuzzFeedの広告売上は2022年第1四半期に前年同期比で伸びたが、この伸びは主に同社が所有、運営するサイトによるもので、サードパーティのプラットフォーム上で得られた広告売上は前年同期比で減少しており、デラフォーチュナ氏によればこれは「滞在時間の傾向と一致している」という。

滞在時間の減少もまた、コマース事業が大きな打撃を受けた理由のひとつだ。「弊社のコマースコンテンツへのオーディエンストラフィックの大半は、Facebook経由で発生している」と同氏は語る。Facebookに費やす時間が減れば、BuzzFeedのコマースコンテンツへのトラフィックも減り、売上も減る。

第1四半期の総売上に占めるコマースの割合は12%で、2020年の13%から減少している。これは、昨年6月の投資家向けプレゼンテーションにおいて、同社が今年のコマース事業のシェアを23%と予測していた数字からは程遠い(しかし、2022年通年の同社のコマースがどうなるかはまだ分からない。第4四半期はホリデーショッピングの影響でアフィリエイトやプロダクトの売上が伸びることが多いからだ)。

2022年第2四半期の予測:1億ドル以上

同社の最新の収益報告書によると、次の四半期には会社全体の収益は「前年比で20%弱」増加し、調整後EBITDAは200万ドル(約3億円)から700万ドル(約9億円)の範囲になる見込みだ。投資家向け報告でペレッティ氏は、同社が第2四半期の売上を「史上初めて1億ドル(約126億円)を超える」と見込んでいると述べている。

成長はBuzzFeedのコンテンツ売上に牽引されるだろうとデラフォーチュナ氏は言った。しかし、コンテンツの収益は、広告やコマースと比較して同社のもっとも利益率の低いビジネスであり、これは「調整後EBITDA数字に関連するため、一定の影響を与える」ことを意味していると彼女は語った。

プログラマティック広告の売上高も、第2四半期にはいくらか逆風に直面するだろう。同氏は、BuzzFeedの次の四半期の広告収入の成長率を「軟化する」と予測している。

「当社の主要広告パートナーの多くは、引き続きマクロ経済の課題に直面している。当社の顧客は、引き続きサプライチェーンと上昇するインフレーションの制約に直面している」と同氏は言う。「その結果、一部の広告主は支出を引き延ばしたり遅らせたりしている」と彼女は付け加えた。同氏は特に、テクノロジ、消費財、小売分野の広告主を例として挙げた。

BuzzFeedは今後、特に3つの分野に投資する予定だとペレッティ氏は述べた。具体的には、短編の縦方向の動画、同社の統合クリエイタープログラム「カタリスト(Catalyst)」、自社データソリューション「ライトハウス(Lighthouse)」だ。

[原文:The Rundown: BuzzFeed Inc. revenue up by 26% despite hits to commerce business, expects similar momentum in Q2

Sara Guaglione(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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