D2C リテールテックを丸裸にする、新DB「アンバルドルド」 : 注目の50ブランドの裏側とは?

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アンバルドルド(Unbundled)は、ベンチャーキャピタル企業のインターレースベンチャーズ(Interlace Ventures)による新しい無料のオンラインデータベースだ。その目的は、成長中のブランドと、それらのバックエンドにあるテクノロジースタックとの橋渡しをすることとなっている。

コンセプトは簡単なものだ。アンバルドルドは、現在市場で普及している50のオンラインブランドを、ワービーパーカー(Warby Parker)からオリポップ(Olipop)までを調べ、公開されている情報を使用して、それらの事業を支えているリテールテクノロジーをリストする。たとえばオールバーズ(Allbirds)なら、使用されている17のテクノロジーとして、返品を処理するループリターンズ(Loop Returns)や、顧客との対話をカスタマイズするダイナミックイールド(Dynamic Yield)などが、アンバンドルドによってリストされている。

市場をさらに理解するために

インターレースのマネージングパートナーを務めるジョーゼフ・サルトル氏(同氏はアンバンドルドを考案し、空き時間に主要部分のコーディングを行った)によれば、オンラインブランドの成長に興味を持ち、この競合的な市場をさらに理解しようとしている人々に役立つツールを作り上げるというのが最初のアイデアだった。eコマース統合の世界は混乱を招きやすく、そして成長し続けている。最初の頃はShopify(ショッピファイ)サイトを立ち上げ、いくつかのプラグインを見つけて追加すれば、個別化された環境を作り上げることができた。しかし今日では、このエコシステムは見た目ほとんど同じのソリューションを提供しているベンダーであふれかえっている

サルトル氏が言い表しているように、ブランドが新しいテックを調査するときは「Shopify アプリストア(Shopify App Store)に行くか、Google検索を使用する」。その結果、多くの企業は新しいツールを、自社ネットワークか、綿密でない調査でのみ見つけることが珍しくない。

サルトル氏は、コマース関連ブランドのプレシードやシードの投資に特化するインターレースに2019年から勤務している。同社は昨年、ベインキャピタルベンチャーズ(Bain Capital Ventures)およびペイパルベンチャーズ(PayPal Ventures)の後援を受けて、最初の1400万ドル(約16億1000万円)の資金調達を完了し、ベイタ(B8ta)やカーゴ(Cargo)などの企業に投資を行った。過去1年間、サルトル氏は、このプラットフォームの小型版を自分用に作成するため週末を費やした。同氏はこのプラットフォームがさらに大規模なコマース業界により使用される、より堅牢なツールに拡大可能なことに気がついたと語っている。すべてのデータをコンパイルするため、同氏は業界の記事や企業ウェブサイトを熟読し、さらに各ブランドのソースコードも読み込んだ。

さまざまな方法で分析できる

アンバンドルドは、さまざまな方法で分析できる。利用者は、各ブランドのページに移動し、そこで使用されているテックスタックを確認することができる。または、特定の問題のソリューションを探し、利用可能なテック製品のリストと、それらの製品を使用しているブランドのリストも参照できる。eコマースのアナリティクス、サステナビリティ、予測などさまざまなトピックを参照可能だ。

このプラットフォームでは、「期待の新星」など各種の観点から、注目すべき企業をピックアップすることもできる。サルトル氏によれば、これは今までに調達した資金、またはその企業が自己資金で起業した場合は成長を示す、ほかの指標に基づいて行われる。また、創設者に女性、黒人、ラテンアメリカ系の人物が含まれているかに基づいてベンダーをフィルタリングすることもできる。

サルトル氏は、自身のバブル、そして投資プールの外にあるブランドやベンダーを示すために大きく苦労したと付け加えている。同氏は次のように述べている。「当社のポートフォリオをほかの新興企業より優先するようなことは、このプラットフォームには根本から存在しない。同じようなことを行っている他社が存在すれば常に提示されるし、それらを使用しているブランドも同様に示される」。

急成長するeコマースエコシステム

10年超にわたってバックエンドのコマーステクノロジーの普及は広がってきたが、急成長しているeコマースエコシステムへの外部からの関心はこの数年間で確実に加速した。リテールテクノロジーに関するシービーインサイト(CB Insights)の最新レポートによれば、全世界のリテールテックの資金調達は2021年に1000憶ドル(約11兆5000億円)を超え、これは2020年の2倍を超えている。一方でリテールテックのエグジット数は2021年に前年比で78%増加した。

ピュブリシスグループ(Publicis Group)で最高コマース戦略責任者を務めるジェイソン・ゴールドバーグ氏は語る。「誰もが新しいパートナーを、特に新しい問題の解決を手助けしてもらうために、探し求めている」。リテールテックはいく年にもわたって関心対象の分野だったが、カーブサイドでの受け取りからソーシャルライブストリーミングまで、各種の新しい実験に応えてくれるベンダーへの需要は明らかに強まってきていると同氏は語る。

しかし同氏は、活気のあるD2C新興企業に注目することがもっとも役に立つのは、小規模で成長段階のブランドだろうと言及している。同氏は次のように述べている。「小規模な企業の創設を計画しており、Shopifyで立ち上げを行い、店舗用のPOSシステムが必要なら、ワービーパーカーやボンバス(Bombas)がどのようなPOSシステムを採用したかを調べるといい。ターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)が気にするようなことではないだろう」。

それらの前提のうえで、M&Aの増加とともに、大手のブランドや小売業者の一部は有望な新興企業を自社の傘下に置くことを求める可能性があると付け加えている。

「エコシステムを助けるための研究結果」

実際に、このようなデータベースは次の新星を見つける方法のひとつだ。ゴールドバーグ氏は次のように述べている。「次の世界的なShopifyになるということは、投資家が支持し得る金融における野望だ。これは、今から5年後に勝利する企業やベンダーは、おそらく5年前のものとは姿が異なっているということに言及するのに適した場所だ」。

サルトル氏によれば、希望は、成長中のリテールテックスタック業界に光を投げかけ、分析する目的をより多く持つということだ。「我々にとって、これはエコシステムを助けるための研究結果だ」と同氏は述べている。

[原文:New database Unbundled tries to demystify the DTC retail tech ecosystem]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:長田真)

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